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短歌

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お母さん、ありがとう。

お母さん、ありがとう。

当つる掌に柔く冷たし母の頬 白き柩に小さく眠る

みなさんのお母さんは、どんな人ですか?
今日は私の母のこと、お話しさせてください。

今年の春、私の母が亡くなりました。
私の母は謙虚で強くて優しくて可愛いい、
私にとって「たんぽぽ」みたいな人でした。

姉たちは小さい頃よく叱られたと言いますが、
四番目の私と五番目の妹は、叱られたことなどなかったように思います。

ただ、母は私が教師になって地元

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【土曜短歌】2022年2月26日

【土曜短歌】2022年2月26日

塩つぽいフライドポテト食べ終へてグラス半分飲む氷水

もうジャンクフードなど食べてはならない年頃です。
なんですが、、、フライドポテトが辞められません。

油の匂いが鼻につくなあと思いつつ、
塩味の虜になって、つい食べ過ぎてしまいます。
その後、罪悪感を洗い流すかのように、冬でも氷水をごくごく飲む。
グラス半分になった氷水が、やってしまった後の、
よくわからない達成感と後悔を表現している短歌です。

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【土曜短歌】2022年2月19日

【土曜短歌】2022年2月19日

吐く息をまた取り込みて 私の濃度が高まるマスクの日々に

まだまだ寒い日が続いています。
新型コロナ関連のニュースが、まだまだテレビを賑わせていますね。

最近ではマスクをしていないと不安になる・・・
言い換えれば、顔を半分隠せる安心感のようなものがあるのは
私だけでしょうか。

ただ、本当に息苦しくなるのも事実。
呼吸が浅くなっているようで、頭がくらくらすることもあります。

吐く息をそのまま吸

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【短歌日記】2022年2月5日(土曜日)

【短歌日記】2022年2月5日(土曜日)

吾が選ぶコーヒーカップ作り手はレジ打つ若き波佐見焼き職人

コーヒーカップを買いました。波佐見焼の器(うつわ)のお店で、絵柄のかわいいカップや元気が出そうな色合いのもの等色々ありましたが、選んだのはこのカップ。

緩く丸みを帯びて、その形に穏やかに添っているストライプで「雰囲気あるからこれ!」と言って決めました。

レジでお兄さんが丁寧に包んでくれて、お支払い。レジ袋に入れてもらい受け取るとき、「

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【短歌日記】2022年1月15日(土曜日)

【短歌日記】2022年1月15日(土曜日)

携帯の充電外し湯たんぽの熱持つまでをしんしんと夜

このところ、私が住む静岡県内も厳しい寒さが続いています。
あまりに寒いので、年明けに大急ぎで蓄熱式の湯たんぽを買いました。

それまでスマホの充電器が占拠していたコンセントに、
湯たんぽの充電器を差し込んでスタンバイ。
湯たんぽが熱を持つまでの間、夜はしんしんと冷えていくという歌を詠みました。

足を温めるというのは身体にも良い効果があるのでしょ

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【短歌日記】2022年1月8日(土曜日)

【短歌日記】2022年1月8日(土曜日)

冬日差し 横がけ席に虹と乗る 京浜東北線は北へ

各地降雪となりましたが、正月五日はとても良いお天気でした。
埼玉にいる私の恩師に会いに行ったのですが、
途中から一車両丸ごと私だけの空間に。その時、冬の日差しが電車のガラス窓に屈折したためか、車内に虹が見えたのです。
虹と一緒に、電車の横がけ席に乗っているなんて、絵本のようだなと。
なんだかとても、嬉しい気持ちになりました。

よくあること、なんで

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【短歌日記】2022年1月1日(土曜日)

【短歌日記】2022年1月1日(土曜日)

起きて来る順にいくつと聞く数の
         餅を焼きたり吾の正月

そんなに厳格な家ではないので、帰省した子どもたちが起きて来る時間はバラバラ。朝帰りの子もいる。

それでもお正月の朝はお雑煮と決まっているので、
舅姑が年末についたお餅を焼いてお雑煮を出す。
それが私の正月の仕事という事です。

静岡県遠州地方の雑煮は、醤油仕立てで具は大根だけという質素なもの。
ただ、焼津産の削り節を山ほど

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【短歌日記】2021年12月11日(土曜日)

【短歌日記】2021年12月11日(土曜日)

挽きたてが宇宙と膨らむ珈琲の滴の速度わが冬時間
焙煎してから日が浅く、挽きたてのコーヒー豆を、いつもハンドドリップで淹れています。挽きたての豆は宇宙のビッグバンのように膨らみ、吸収した湯を珈琲色の滴に変えてサーバーへ溜めます。
ぽとりぽとりと落ちる滴が、私の冬の時間を刻んでくれる、という歌です。

冬の朝は冷たく空気が乾いているため、コーヒーの香りが一層濃く感じられます。珈琲の香りには癒しの効果が

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【短歌日記】2021年11月5日(金曜日)

【短歌日記】2021年11月5日(金曜日)

テーブルの脚にぶつけし親指の爪割れて
なほ秋の夜の更く

ただただ痛い・・・
そして、自分の体は脆くなっているのか?という危機感に襲われながら深まる秋を感じています。

【短歌日記】2021年10月31日(日曜日)

【短歌日記】2021年10月31日(日曜日)

階下より姑の呼ぶ声 パソコンの向かうの人らに聞こゆる高さ

リモートワークで小さな子どもが飛び入り参加というのはよく聞きますが、何も知らない姑が、それはそれは大きな声を張り上げて私を呼んでいる。

ズームで講義を受けていたから、慌ててミュートにしたものの、きっとパソコンの向こうの人たちにも聞かれていたでしょう。

毎日、いろんなことがあります。

【短歌日記】2021年10月24日(日曜日)

【短歌日記】2021年10月24日(日曜日)

里山の日溜りに咲く藤袴旅する蝶に恋ひ慕はれて

何千キロも旅をするという蝶、アサギマダラをご存知ですか。

静岡県には秋になると到来し、秋の七草である「藤袴」を好む蝶、というのは聞いていたのですが、今日、近くの里山へ散策に行った折に実際に見ることが出来ました!

私たち(友人と一緒にいきましので)が近づいても逃げることなく、藤袴にべったりの何匹ものアサギマダラを見て、これはもう熱愛に近いほど惚れら

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【短歌日記】2021年10月17日(日曜日)

【短歌日記】2021年10月17日(日曜日)

助手席に鯛焼き三つ焼き立てを
     小雨の午後にアクセルを踏む

少し雨が降っただけで、寒くなって来ました。
そんな日曜日に、ホカホカの鯛焼きが恋しくなるのは
私だけでしょうか。

日常詠の一環として、短歌日記を始めてみることにしました。体調の悪いとき以外は習慣にしようと思います。
短歌を詠んで26年になりますが、口語とか文語とかに囚われていて、自由に発表するなんて・・・と気が引けて、これまで

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【短歌日記】2021年10月11日(月曜日)

【短歌日記】2021年10月11日(月曜日)

他所の子の就職活動 プロ野球ドラフト会議が夕食の菜

プロ野球ドラフト会議の季節になりました。
野球好きのわが家の舅姑、夫は毎年欠かさずに見ています。

プロ野球ファンにとって、どのチームが上手く選手強化できたかを楽しむためのイベントだと思うのですが、ここ何年かのTVの特別番組では、過剰に「苦労したあの子の夢は叶うのか」というドラマを見せてくれています。

ドラフトにお声が掛からなくても、野球して

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【短歌日記】2021年10月1日(金曜日)

【短歌日記】2021年10月1日(金曜日)

味のない栗ご飯なり 
   夕方の息子の電話とLINEが理由

男の子はやたらと熱を出す
男の子はやたらとケガをする
男の子はやたらと負けず嫌い

そして母はいつまでも息子が心配です。

一人暮らしをする大学生の息子からの連絡で
また心配事が増えました。

日常詠の一環として、短歌日記を始めてみることにしました。体調の悪いとき以外は習慣にしようと思います。
短歌を詠んで26年になりますが、口語とか

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