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君の視線と僕の視線

趣を大事にするフクロウが言いました
「突然降る雨を見てごらん。
空は誰かの心の叫びを、涙に変えているのだろう。
その涙が静かに染み込んで、悲しみを包み込み、
深い感情の川を流れてゆく。
雨の一滴一滴に物語が宿り、
心の奥底に届いて、響く音楽のように。
それはただの水滴ではない、心の詩なんだ。」

精確さを求めるハヤブサが答えました
「空が泣く…詩的で美しい見方だね。
でも、僕にはそれはただの気象現象に見える。
雨は湿度と気圧の変化によるものだし、
そこに感情はないと思うんだ。
でも、君がその中に物語を見つけることも、
人間の豊かな心の一面だと思うよ。」

創造力を大切にするフクロウが言いました
「青く広がる空を見てごらん。
もしこの広がりの中を泳げたら、どれほど心が解き放たれるだろう。
無限の可能性が待つ空の海で、
新たな自分を見つけるかもしれない。
夢見ることでしか感じられない、自由の感覚を。」

現実主義のハヤブサが答えました
「空が青いのは、物理的な現象の結果だよね。
でも、君の言うようにその先に夢を見つけるのも悪くない。僕にとっては、現実を知ることが安心感を与えてくれるけれど、君のように想像を広げることも時には必要かもしれない。そうすることで、新しい考え方に出会えるかもしれないね。」

フクロウが微笑みながら言いました
「私も、現実を知ることで見えてくる安心感がわかるよ。物事の理屈がわかると、心が落ち着くこともあるものね。でも、その理屈を土台に、夢を見つける自由もまた素敵だと思うんだ。」

思いを重んじるフクロウが言いました
「波の上に漂うクラゲのように、
感情に委ねてみるのもいいじゃないか。
心の海の中で、揺れ動く感情の波を感じ、
自分の中にある真実を探す旅に出る。
混沌とした水の中でこそ、
心の声が浮かび上がってくるのだから。」

効率を求めるハヤブサが答えました
「波の上に漂っても、ただ流されるだけだ。
現実は厳しい。感情に流されることなく、
データに基づき、計画を立てて行動することが大事だ。
感情は動機付けにはなるが、
最終的な決断は論理と計算が導くべきものだ。」

小説の一節のように生きるフクロウが言いました
「君の視線は事実を探す。僕の視線は詩を紡ぐ。
異なる視点が、異なる真実を見せてくれる。
互いの視点を尊重し、共鳴することで、
見えていなかった新たな世界が開けるんだ。」

分析を好むハヤブサが答えました
「確かに、視点の違いが新たな気づきをもたらすことはある。事実を基にした議論も、感性を基にした考えも、
どちらも僕たちにとって重要な発見の道具だ。
君と話すことで、僕も新しい世界を見つけられるかもしれない。」

フクロウは言いました
「私たちの異なる視点が出会うとき、
世界はもっと深く広くなるんだよ。
感情も理論も、どちらも欠けてはならない真実の一部。
それぞれの視点を持ち寄って、新たな可能性を探るのさ。」

ハヤブサは言いました
「そうだね、互いに認め合いながら学ぶことが、
本当の理解に繋がるのかもしれない。
これからも君と話し合いながら、世界を広げていこう。」

ふと、月が雲間から現れ、その光が二人を照らす。
フクロウが言いました
「月が綺麗な夜は、心が休まるね。」

ハヤブサも微笑んで答えました
「そうだね。月明かりの下で、こうして話していると、
なんだか心が穏やかになる。」

二人は互いに顔を見合わせて、優しく笑いました。


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SAI - 青の世界と物語
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