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短編小説|109の世界
寝過ごしてあわててたどり着いた渋谷。待ち合わせたレストランはつぶれてなかった。それはおかしい。本当はあるはずだった。
しばらくレストランの前で待ってみても、彼女から連絡はなかった。スクランブル交差点まで戻ってきて、信号が変わって人々が歩き出した。駅の方に渡ると、いつものようにハチ公前に待ち合わせの人がたまっていたけれど、ハチ公の両耳がピンと立っていて、どことなく雰囲気が変わっている気がした。
短編小説|フラミンゴおじさんは死んだ
少年がフラミンゴおじさんにはじめて会ったのは、朝から雨の降っている日曜日のことだった。おじさんは森の中でグリズリーベアとインディアン・ポーカーをしていた。少年はその時のことを今でもはっきりと思い出すことができる。でも、フラミンゴおじさんは死んだ。少年はホットミルクをすすった。
少年はよくフラミンゴおじさんの小屋を訪ねた。ある雨の日も、少年はこっそり家を抜け出して、フラミンゴおじさんのもとへ向