15. 父はマスター? /純喫茶リリー
ある日曜日、リリーのカウンターの向こうに見慣れない男の人が立っていた。律子のお父さんだ。
山田のババが店に入ってくると、「お!今日はマスターがおるんか!」と声を上げた。
「マスター?」律子はその言葉を初めて聞いた。
まさか、律子のお父さんがリリーの「マスター」だなんて。
その時まで、律子は自分のお父さんがリリーで働いているなんて、想像したこともなかった。
ババが「マスターがコーヒー淹れとるんか!かっこいいな、りっちゃん」
というと、律子は「うん…でも、普段は見たことがないから