理学療法士 おかむー

PTとして40年弱、前半は臨床、後半は教育に携わってきました。 PTの向上に重要として…

理学療法士 おかむー

PTとして40年弱、前半は臨床、後半は教育に携わってきました。 PTの向上に重要としているのは‘考える力’と思っています。 今後、PTの‘考える力’はもちろん、PTが関わる分野についての自身の考え を配信していきたいと思います。

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学校内の臨床教育について

こんにちは、理学療法士のおかむーです。 今回は、「学校内の臨床教育について」を、お話したいと思います。 ただ、これは私見ですので参考までに。 臨床教育は卒後教育のように、臨床で働き出してからのイメージですが、学校内でも可能と考えます。 学校の臨床教育というと、まず、思い浮かぶのは臨床実習やOSCEです。 そりゃ、臨床に出て、社会的営みの中で仕事を円滑に進めるとした総合的な教育でしたら、臨床実習が最も効果が高いかと。 しかし、臨床教育を分割して、セラピストが患者さん

    • PTとして40年 臨床の歩みと変化

      こんにちは、理学療法士のおかむーです。 今回は、「PTとして40年 臨床の歩みと変化」について、お話したいと思います。 この‘note’を拝見すると、若い方が多い印象です。 そのため、これからを担う方々に、私が歩み・変化してきた40年の経緯が参考になれば幸いです。 ただ、これは、いち個人のものなので、あくまで参考程度までに。 Ⅰ. 初 期 何もわかっていない若造でした。 痛ければマッサージや物理療法を行なう。 関節が硬ければ揉みほぐす。 関節が動かなければ、

      • 用意周到で気難しいが働き者下腿三頭筋

        こんにちは、理学療法士のおかむーです。 今回は、「用意周到で気難しいが働き者下腿三頭筋」について、お話しします。 Ⅰ. 働き者下腿三頭筋 下腿三頭筋はいろいろな使われ方をします。 ① 歩行では、立脚期の重心前方移動のためのコントロール ② 蹴り出しのための前足部剛性 ③ 方向転換時の体重支持とバランス 例えば 左下肢を軸に、左方向に方向転換する場合、体幹を方向転換したい左に回旋させます。 それでは不十分なので、体幹の左回旋を補助するために左股関節を内旋させます

        • 膝におかしな感じがある症例

          以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。 情報) 歩行で左膝が外側スラストしている感じがある。 長距離歩行では、左膝関節内側に重い感じがある。 そのようになってから左足にベンチが出来るようになった。 背臥位で寝ていると左膝が過伸展して沈み込む違和感がある。 立位で体幹を左右に回旋させると、左膝関節がはまっていない感じがある。 きっかけは、数年前にリハビリ学校の授業で、左片麻痺様の歩行を30分ほど実施してからである。 実施し

        学校内の臨床教育について

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        • 私見
          11本
        • 臨床的知識
          19本
        • リアル臨床“下肢編”
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        • リアル臨床“頭頸体幹骨盤編”
          16本
        • リアル臨床“上肢編”
          17本
        • リアル臨床“中枢系編”
          9本

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          階段下りの膝折れと歩行時大腿痛の症例

          以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。 情報) 20代男性の方である。 3週間前にバスケットボールで右大腿内側の挫滅にて2週間松葉杖歩行を実施する。 その後、階段の下りで力が入らず、膝折れを起こす。また、右立脚後期に右大腿内側に張る痛みが出現する。 右下肢を軸にした段差の下りでは、膝関節屈曲途中の大腿四頭筋の使用を強く必要とする頃に膝折れを起こした。 Q) 痛みの原因は? A) 立脚後期につっぱる痛みである。この時期、立脚

          階段下りの膝折れと歩行時大腿痛の症例

          後方重心歩行に前足部が与える影響

          こんにちは、理学療法士のおかむーです。 今回は、「後方重心歩行に前足部が与える影響」について、お話しします。 高齢者の歩行として、後方重心になりやすい特徴があります。 この後方重心は、大まかには下肢の問題と体幹の問題に大別されます。 その中で、前足部が関係していた方について、症例でお話しします。 情報) 身体障害はないが、加齢により歩行能力の低下が起きている。 症例は歩行時、後方への転倒の危険性がある。 歩行周期は左下肢) ここで、大腿四頭筋による影響のよう

          後方重心歩行に前足部が与える影響

          私の立ち上がり介助法

          こんにちは、理学療法士のおかむーです。 今回は、「私の立ち上がり介助法」について、お話しします。 私が考える介助のポイントは 介助する側も、される側も安心感がある。→安定性 できるだけ楽に介助する。→力を入れる所と抜く所、メリハリをつける。 全身を使う。 です。 では、両下肢にあまり力が入らない、ハードな方と仮定して説明します。 ① 移乗動作のテキストで説明していたように、相手の両大腿遠位を介助者の両膝で挟み込みます。 これにより、対象者の膝折れを防ぎます。

          私の立ち上がり介助法

          私のベッドサイドでの癖

          おはようございます、理学療法士のおかむーです。 今回は、「私のベッドサイドでの癖」を、お話しします。 癖になっていることと言っても、仕事前の験を担ぐルーティンではありません。 自身の腰を守る仕草です。 やり方は一つ。 ベッドに片脚を乗せる。ただそれだけです。 これにより、前傾姿勢が少なくなり、対象者に近づくことで腰にかかる負担が減ります。 これは、理学療法士になって早い時期から実践し、途中から無意識に乗せるようになり、癖になってしまいました。 この仕草は、ベッ

          私のベッドサイドでの癖

          歩容から歩幅の違いの原因を探る

          こんにちは、理学療法士のおかむーです。 歩容には、いろいろな情報が隠されています。 それを見出すのもセラピストの醍醐味かと。 見出すポイントは、歩容における共通点です。 今回は、「歩容から歩幅の違いの原因を探る」と題して、その共通点から原因を探りたいと思います。 以下、症例でお伝えします。 歩幅は、右が左に比べて長く、右足に左足を揃える歩行である。 Q) ここから読み取れることは? A) 座位で両下肢を上げられるので、右遊脚時間が長く、左が短いために起こった。

          歩容から歩幅の違いの原因を探る

          息苦しさと頸部の張りがある症例

          情報) 若い方である。 2~3年前から息苦しさ(吸気が入りにくい)を感じていた。 特に、お風呂に肩までつかると呼吸がしづらく半身浴になってしまう。 その後、頸部筋群が張るようになり、頸部全体がこわばり、上があまり向けなくなる。 今は、頸部前面から鎖骨部に張り感がある。 Q) 原因は? A) 吸気が行いにくいことから、呼吸筋の低下や胸郭の可動域の低下を疑う。 Q) そこで、姿勢を観察すると 立位では体幹がやや後傾し、後方重心であった。 座位では胸椎下部を中心

          息苦しさと頸部の張りがある症例

          右背部痛の症例

          情報) 右肩甲骨内側に鈍痛がある。 痛みは1日中変化なくあるが、臥位では痛まない。 また、右肩関節外転90度で痛みが増す。 右肩は脱臼の既往がある。 Q) どのように考えるか? A) 指で示した部位の痛みが起こる組織として 筋(菱形筋、僧帽筋、起立筋群)、肋骨、胸椎、靭帯、関節(椎間関節、肋椎関節)、神経がある。 Q) どの組織か? A) 鈍痛なので、筋、骨、関節包のいずれかが考えられる。 ここで、痛み部位への外傷などの既往がないので骨の可能性は低い。 関節

          足を組むことについて

          こんにちは、理学療法士のおかむーです。 今回は、「足を組むことについて」を、お話しします。 電車や会議室、あるいは教室などで足を組んでいる人を見かけます。 電車などでは、怖そうな方が足を組んで、威嚇している風な印象の人もいますが そのような人でも、座るとすぐに足を組まれる方もいます。 そのような方は、怖そうな人でも、「あ~、腰が悪いんだな~」と思ってしまいます。 では、何故、そう思うかですが 足を組む肢位は、股関節の屈曲、内転です。 この股関節肢位で伸張させる

          足を組むことについて

          ぎっくり腰の症例

          情報) 数日前に右腰の重さを感じ、マッサージとしてテニスボールを右の腰に当て、そのまま寝てしまった。 朝起きて、中腰姿勢をとると右腰に激痛が走った。 痛みの部位は右PSIS周囲である。 それからは、洗面時の前かがみ姿勢や前傾から戻すときに痛みが出現する。 しかし、前かがみ姿勢では、膝を伸展すると痛み、曲げると痛まない。 また、階段の上りで右下肢を振り出した時に痛みが生じる。これは速い振り出しで起こる。 他に、咳をするときや体幹の左右回旋で起こる。 特に、朝の起

          私の車椅子移乗介助法

          こんにちは、理学療法士のおかむーです。 今回は、「私の車椅子移乗介助法」について、お話しします。 病院や施設などに行くと、介助者が腰にコルセットを巻いてる姿を見かけます。 患者さんや入所者の方の介助は、腰に負担がかかります。 特に、移乗介助では、対象者を持ち上げて移動させるので、そこでの負担は大きいと考えます。 時に、介助者の方に介助の仕方を指導しますが、長年行なってきた自身の介助スタイルを変えることは困難です。 その場合は、今あるその方のスタイルを崩さずに、一工

          私の車椅子移乗介助法

          動作時肘痛の症例 後半

          前回のあらすじ 情報) 洗顔や髪をとかす動作などで、右肘関節を屈曲・回外させると右肘にズキッとした痛みが生じる。 きっかけは、半年前に同部位に痛みが出現し、それが数日間続いた。 その後、痛みは減ってきたが、上記の動作時に時々痛みが起こる。 また、右肘関節の屈伸自動運動では、左に比べて重く、すぐに疲れる。 Q) 何が原因か? A) 右肘関節屈曲・回外で関節包が挟み込まれる。 関節包を引出す上腕筋の低下があり、そのために右肘関節の動きが重く、すぐ疲れる。 Q) 

          動作時肘痛の症例 後半

          動作時肘痛の症例 前半

          情報) 洗顔や髪をとかす動作などで、右肘関節を屈曲・回外させると右肘にズキッとした痛みが生じる。 きっかけは、半年前に同部位に痛みが出現し、それが数日間続いた。 それについて、心当たりはない。 その後、痛みは減ってきたが、上記の動作時に時々痛みが起こる。 また、右肘関節の屈伸自動運動では、左に比べて重く、すぐに疲れる。 他に、右肩関節屈曲位(120度ほど)から水平伸展方向に動かすと、結節間溝当たりに痛みが生じることがある。 但し、既往はない。 Q) 何が原因か?

          動作時肘痛の症例 前半