階段下りの膝折れと歩行時大腿痛の症例
以下に記す症例について、見方、知識の使い方、考え方の流れが参考になれば幸いです。
情報)
20代男性の方である。
3週間前にバスケットボールで右大腿内側の挫滅にて2週間松葉杖歩行を実施する。
その後、階段の下りで力が入らず、膝折れを起こす。また、右立脚後期に右大腿内側に張る痛みが出現する。
右下肢を軸にした段差の下りでは、膝関節屈曲途中の大腿四頭筋の使用を強く必要とする頃に膝折れを起こした。
Q) 痛みの原因は?
A) 立脚後期につっぱる痛みである。この時期、立脚股関節は伸展外転する。それによる股関節内転作用筋の伸張痛が考えられる。
Q) 評価は?
A) 右外転が左に比べて少なかった。
股関節屈曲位からの外転)
Q) アプローチは?
A) 内転作用筋のストレッチである。1分間の持続伸張を2回行った。
Q) 結果は?
A) 立脚後期の痛みは減少した。
Q) 階段下りの膝折れは?
A) 大腿四頭筋の低下が疑われる。
Q) 評価は?
A) 視診・触診で右が左より萎縮しているのが確認された。特に、右内側広筋の萎縮が著明であった。
Q) アプローチは?
A) 内側広筋を中心とした四頭筋強化である。
Q) 方法は?
A) 内側広筋は大内転筋とつながることから、大内転筋の収縮により内側広筋を選択的に収縮させた。
膝関節自動伸展運動と共に股関節を内転伸展させて、大腿で座っている机を押させる運動を5分間実施した。
Q) 結果は?
A) 右下肢を軸にした段差下りの膝折れは消失した。
Q) 段差下りで大腿四頭筋に力が入らなかったのは?
A) 内側広筋の収縮により、挫滅した内転筋が伸張するのを無意識に避けていた可能性がある。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。