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【書評】カミュ『転落』は、『地下室の手記』に匹敵するしゃべくり小説だった。

ロッシーです。

カミュの『転落』を読みました。

カミュの作品といえば、『異邦人』や『ペスト』が有名で、この『転落』という作品は日陰に追いやられている感があります。知らない人も多いのではないでしょうか。

でも、実はこの作品めちゃくちゃ面白いんです!

『異邦人』や『ペスト』のイメージを期待して読んだら、見事にその期待を外してくれます。

「え!これがあのカミュの小説なの?」

と思うでしょう。

別人が書いたかと思うくらいにトーンが異なります。

それまでの作品が「陽」のイメージなら、この『転落』は間違いなく「陰」です。

とにかく、物語全体が非常に暗鬱な印象なのです。

しかも、この小説は、主人公のクラマンスという男性が、ひたすらしゃべりまくるという形態をとっているのです。

そういう小説では、ドストエフスキーの『地下室の手記』がありますね。

『地下室の手記』を面白いと思った方は、『転落』はおすすめです!

まあ、主人公がとにかくしゃべるしゃべる。ひたすらしゃべりまくります。

主人公がしゃべっている相手のセリフも一切出てきません。

でも、面白いんですよね。

キリスト教の理解がないとなかなか難しいとか、いろんな意見がありますが、そんなことは気にせず、読んだら良いと思います。


よく、音楽アーティストがそれまでの音楽性を変えると、ファンから批判されることがあります。

中には、偉大なるマンネリとでもいいますか、自分のスタイルを一切変えないアーテイストもいます。

しかし、そうではなく音楽性をどんどん変えていくアーティストもいます。

カミュは後者のほうでしょうね。

彼は、ファーストアルバムの『異邦人」と、セカンドアルバムの『ペスト』で大ヒットを達成したため、別の方向性を追求したかったのかもしれませんね。

まあ、カミュとサルトル論争に負けたからだとか色々な意見はありますが、私はサードアルバムである『転落』は大好きです!

ぜひ気になった方は読んでみてください。

ちなみに、この3月14日に光文社古典新訳文庫からも『転落』の新訳が発売されていることを発見しました!

こちらも絶対にいつか読みたいです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

Thank you for reading!

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