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古井由吉関連の連載記事、および緩やかにつながる記事を集めました。
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#仮往生伝試文

木の下に日が沈み、長い夜がはじまる

木の下に日が沈み、長い夜がはじまる

 本日、二月十八日は古井由吉(1937-2020)の命日です。

 樹の下に陽が沈み、長い夜がはじまる。机に向かい鉛筆を握る。目の前には白い紙だけがある。深い谷を想い、底にかかる圧力を軀に感じ取り、睿い耳を澄ませながら白を黒で埋めていく。

 目を瞑ると、そうやって夜明けを待つ人の背中が見えます。

 合掌。

※ヘッダーの写真はもときさんからお借りしました。
#古井由吉 #杳子 #夜明け

「どこでもない空間、いつでもない時間」(「物に立たれて」を読む・08)

「どこでもない空間、いつでもない時間」(「物に立たれて」を読む・08)

*「転々とする、転がる、ころころ変わる(「物に立たれて」を読む・06)」
*「客「である」、客「になる」、客「を演じる」(「物に立たれて」を読む・07)」

 古井由吉の『仮往生伝試文』にある「物に立たれて」という章を少しずつ読んでいきます。以下は古井由吉の作品の感想文などを集めたマガジンです。

     *

 引用にさいしては、古井由吉作の『仮往生伝試文』(講談社文芸文庫)を使用します。

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客「である」、客「になる」、客「を演じる」(「物に立たれて」を読む・07)

客「である」、客「になる」、客「を演じる」(「物に立たれて」を読む・07)

*「「物に立たれて」(「物に立たれて」を読む・01)」
*「月、日(「物に立たれて」を読む・02)」
*「日、月、明(「物に立たれて」を読む・03)」
*「日記、日記体、小説(「物に立たれて」を読む・04)」
*「「失調」で始まる小説(「物に立たれて」を読む・05)」
*「転々とする、転がる、ころころ変わる(「物に立たれて」を読む・06)」

 古井由吉の『仮往生伝試文』にある「物に立たれて」とい

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転々とする、転がる、ころころ変わる(「物に立たれて」を読む・06)

転々とする、転がる、ころころ変わる(「物に立たれて」を読む・06)

*「「物に立たれて」(「物に立たれて」を読む・01)」
*「月、日(「物に立たれて」を読む・02)」
*「日、月、明(「物に立たれて」を読む・03)」
*「日記、日記体、小説(「物に立たれて」を読む・04)」
*「「失調」で始まる小説(「物に立たれて」を読む・05)」

 古井由吉の『仮往生伝試文』にある「物に立たれて」という章を少しずつ読んでいきます。以下は古井由吉の作品の感想文などを集めたマガ

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「失調」で始まる小説(「物に立たれて」を読む・05)

「失調」で始まる小説(「物に立たれて」を読む・05)

*「「物に立たれて」(「物に立たれて」を読む・01)」
*「月、日(「物に立たれて」を読む・02)」
*「日、月、明(「物に立たれて」を読む・03)」
*「日記、日記体、小説(「物に立たれて」を読む・04)」

 古井由吉の『仮往生伝試文』にある「物に立たれて」という章を少しずつ読んでいきます。以下は古井由吉の作品の感想文などを集めたマガジンです。

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 引用にさいしては、古井由吉作

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日記、日記体、小説(「物に立たれて」を読む・04)

日記、日記体、小説(「物に立たれて」を読む・04)

*「「物に立たれて」(「物に立たれて」を読む・01)」
*「月、日(「物に立たれて」を読む・02)」
*「日、月、明(「物に立たれて」を読む・03)」

 古井由吉の『仮往生伝試文』にある「物に立たれて」という章を少しずつ読んでいきます。以下は古井由吉の作品の感想文などを集めたマガジンです。

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 引用にさいしては、古井由吉作の『仮往生伝試文』(講談社文芸文庫)を使用します。

  

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日、月、明(「物に立たれて」を読む・03)

日、月、明(「物に立たれて」を読む・03)

*「「物に立たれて」(「物に立たれて」を読む・01)」
*「月、日(「物に立たれて」を読む・02)」

 古井由吉の『仮往生伝試文』にある「物に立たれて」という章を少しずつ読んでいきます。以下は古井由吉の作品の感想文などを集めたマガジンです。

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 引用にさいしては、古井由吉作の『仮往生伝試文』(講談社文芸文庫)を使用します。

     *

 まず、前回の記事をまとめます。

 

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月、日(「物に立たれて」を読む・02)

月、日(「物に立たれて」を読む・02)

「「物に立たれて」(「物に立たれて」を読む・01)」の続きです。古井由吉の『仮往生伝試文』にある「物に立たれて」という章を少しずつ読んでいきます。以下は古井由吉の作品の感想文などを集めたマガジンです。

     *

 引用にさいしては、古井由吉作の『仮往生伝試文』(講談社文芸文庫)を使用します。

     *

 まず、前回の記事をまとめます。

 では、今回の記事を始めます。

*引用

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「物に立たれて」(「物に立たれて」を読む・01)

「物に立たれて」(「物に立たれて」を読む・01)

 ようやく涼しくなってきたので、古井由吉の小説の感想文を書きたいと思います。体調を考慮して、少しずつ作業を進めていきます。具体的には、一回の記事でのテーマを絞っていくつもりです。

 古井由吉の小説については、このアカウントを開設した初期のころには、集中的に記事を書いていました。

 古井由吉の作品の感想文を連載として投稿するのは久しぶりです。

     *

 引用するさいには、古井由吉作の『

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