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成長を追い求めるだけが経済じゃない! ジェイソン・ヒッケル『資本主義の次に来る世界 』
本書は、経済人類学者のジェイソン・ヒッケル氏が著したもので、資本主義の限界と、持続可能な未来のための代替システムの可能性について論じています。とてもためになる本なので紹介してみようと思います!
主な内容
資本主義は、限りない経済成長を前提としたシステムであり、環境破壊や社会的不平等といった深刻な問題を引き起こしている
資本主義の代替システムとして、脱成長やアニミズム経済などの新しい経済モデルが提案されている
脱成長とは、経済成長を追求することなく、人間の幸福や環境の持続可能性に焦点を当てる経済モデルである
アニミズム経済とは、自然界と人間を対等な存在として捉え、自然との調和に基づいた経済活動を行うモデルである
アニミズムとは?
アニミズムは、生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方です。
19世紀後半、イギリスの人類学者エドワード・バーネット・タイラーが著書『原始文化』の中で使用し定着させた言葉です。世界中の様々な民族の宗教や風習に見られます。
代表的な例としては、日本の神道や、ネイティブアメリカンの精霊信仰などが挙げられます。アニミズムに基づく信仰では、自然物や道具、動物などに魂が宿っていると信じられ、それらに対して畏敬の念を抱いたり、供養したりすることがあります。
近年では、アニミズムは単に未開な社会の信仰と考えられるだけでなく、人間と自然との関係や、環境問題を考えるうえでも重要な視点として注目されています
本書のポイント
資本主義は万能ではなく、持続可能な未来を築くためには別のシステムが必要である
脱成長やアニミズム経済などの代替システムは、まだ発展途上であり、多くの課題があるものの、希望のある可能性を秘めている
資本主義の次に来る世界は、私たち一人一人の行動によって創り出すことができる
この本がおすすめな人は、ずばり……、
資本主義の現状に疑問を持っている人
持続可能な未来について考えている人
新しい経済モデルについて学びたい人
と、いったところでしょうか?
本書は、2023年に出版された比較的新しい本です。日本では東洋経済新報社から翻訳版が出版されています。
ぜひ、手に取って読んでみてください!
こちらの本、単行本だと2640円ですが、Kindleだと1848円とかなり安いので、Kindleで読んでしまうのがおすすめです。
コロナ後に出版された本のなかで、私のもっともお気に入りの本です!
【編集後記】
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