マガジンのカバー画像

詩の作成日記

1,027
運営しているクリエイター

2023年7月の記事一覧

第一楽章 極地の楽園

before

「最果ての光」

朝立ち昇る太陽の光
それは柔らかな淡い光を大地に捧げる
この地では光はそこに注がれるだけでしかない
瞬く間に黄昏の時が過ぎる
これは大気の輪廻から阻害された世界
それは氷の塊であり
あるいは山の果てである
終には太陽は昇らない

「氷の移ろい―生命の旅」

動物たちは旅路の果てにこの地に辿り着く
そして冬の到来の前に再び姿を消していく
彼らは春の訪れる地を目指し

もっとみる

雨季と乾季、極北の地

before

「雨季と乾季」

常夏にして常雨の地を移れば
次第に雨期と乾季に別れていく
乾季と雨季は生命のバイオリズムを支配する
生命はその地で適応して生きるしか道はない

そしてその乾きが極限まで進んだ
地上から雲は姿を消す
太陽の力は凶刃と化し
月の冷寒が凍える大気を降らす
風は閉じこめられ巡ることがなく
悠久の時が巡るのみ
風が詠う時
大地が―海が―混ざり合うだろう
異なるものたちが巡り

もっとみる

太陽の恵み―雲の旅

before

「赤道の栄光」

太陽が恵みの父であるなら
その辿る地は赤き道
そこは緑の生命溢れる海となり
その繁栄の極みの地
珊瑚礁ですら海の森となる

「太陽の恵み―雲の旅」

太陽は燃える―その熱量は破壊的な副産物
それは光となって地球に降り注ぎ
大気が照らされ気流を生み
海面の水が舞い上がれば
空の彼方へ飛翔する翼となる
そして山が立ちはだかる
雲は山を踏み台にしてさらなる高みを目指し

もっとみる

地球交響曲 「地底の太陽」

before

深海とは地上とはかけ離れた世界のように見える
そこは天空の虚無と同じように

浅瀬から彼方に続く無限の闇は
しかし別世界を呈するその深さは

異世界ではないのだ
それは地続きの果てに存在するのだから

光は届かず海底から地上への移動を行う生物は存在しない
そういう意味ではこの二つの世界は確かに隔絶されている

だがここが地球上である限り
地上の影響からは逃れられない

海底の熱流噴

もっとみる

地球交響曲 「歴史」

before

宇宙を創造したのは混沌の爆発だという
だがそれを見た者はこの世に存在しない

塵とガスが衝突し火花が散る世界
暗黒の雲が渦に寄せて廻り出す
やがて渦の中心が光を放つ
それは炎の塊

炎は燃えながら他の物をその熱で気化させ
蒸気を飲み込んで呼吸する
燃え残った塵は集まり石となり岩となり
やがて星が産み落とされた

地球は内に滅びの唄を抱えている
放射性物質の崩壊に岩は煌々と溶け出し

もっとみる

地球交響曲 「闇の果てに青の輝き」

Before

広がる闇に満天の星
星の果てに辿り着く光の渦
それは銀河―光の奔流
目も眩むような目映さの彼方に
幾億の星々を通り過ぎ―浮かび上がるのは蒼い星
その輪郭を光が照らす―それは太陽
そう―それは地球
白い雲に蒼い海が広がり
褐色の大地が抱かれている

「奇跡」

空を見上げれば青空
天空から見下ろせば蒼い輝きと赤い陸の海が広がる
緑は森林であり 黄の砂漠を抱えている
そして闇から見下ろ

もっとみる

獣たちの謳歌

「獣たちの謳歌」

before

―地球
そこは雲が翼を広げ 大地が両腕で抱き
海が口を開け 磐が雨と風のうねりに時を刻み
木が巨人のように立ち並び 河が血管のように奔る
秘境の星

草原に一歩足を踏み入れれば獣が駆ける
それは大地を震わせるほどの行進であり
空へと目を向ければ断崖から真っ逆さまに滑空する鳥の王者が降臨する
森を覗けば猿の声が木霊して嵐を呼び
海では珊瑚が彩り彼方に飛沫を上げて海

もっとみる

獣たちの謳歌 生命の解答

「生命の解答」

before

冷氷打ち付ける氷床に立ち尽くす
吹雪吹き付けるその凍える嵐の中に

だがここを退くわけにはいかないのだ
そこには次の命を宿す子が眠っているのだから

命を守り育てることが命懸けであるのは全ての命にとって等しい
そこに己の命を秤にかけることが
その覚悟を試し―その決意を固め
そして新たな命を育む愛を育てるのだ

個体では生き延びることは不可能だろう
だが何千という命

もっとみる

獣たちの謳歌 体が小さくてもできること、忍耐

「身体が小さくてもできること」

before

穿ち続ければ磐を砕き
叩き続ければ扉は開く

地面を掘り続ければそれは穴になり
穴を深め続ければいつかそれは広大な道になるかもしれない
地下の道を描くそれは身体の小ささからは想像もできないような
豊かさを一杯に秘めた世界を創造するかもしれない

続けるということは
道を進み続けるということ

道は歩き始めた場所から遙か離れた場所に連れて行ってくれる

もっとみる

獣たちの謳歌 故郷

「故郷」

before

故郷はきっと
産まれた場所
世界に解き放たれた命は
躍動しながら遙かな旅を行く
もう故郷の場所なんて彼方遠く
思い出せないくらい昔のこと
それでも
産まれた場所に新しい命を授けに―戻ってくるんだよ
世界の果てまで旅をしたから
世界の麓まで戻ってくるんだ
それが命の故郷だからだよ
記憶にはなくても
魂はちゃんと覚えている
だから忘れたから辿れない―なんて焦ることはしない

もっとみる

獣たちの謳歌 抱擁、カピバラとまり木になる

「抱擁」

before

怖いなら隠れておいで
世界が怖いなら閉じ籠もっていいよ

目を瞑っていい
耳を塞いでいい

その足が
動き出すその時まで
その手が
扉を開ける時がくるまで

ここで眠るといいよ
ここで生きるといいよ

誰も急がせたりなんかしないから

目を開けて
その手で扉を開くまで

待ち続けるから

その時が来ることを知っているから
待っていられる
信じられる

焦ることはしない

もっとみる

獣たちの謳歌 木の上、なにもしなくても

「木の上」

before

木の上の生活が好きなの
―というか
それしかできないの
木の下を駆ける獣たちをうらやましいと思って野に降りても
―足が弱いから よちよち歩きしかできなくて
走ることもままならないし
やっぱり木の上で生きるしかないんだよね
それでいいんだよね
生きているだけでさ
いいんだよね

Prefatory note
前で出てきた「手か足か」でほぼ同じようなことを言っているので、

もっとみる

獣たちの謳歌 型破り、夜行性、影

「型破り」

before

魚のように泳げて
見た目が鳥のようでも
実際はほ乳類とか

ほ乳類だからそれらしくするとか
そういうのってどうでもいいんだよね

ただその方が生きていくのに都合がいいのさ

自分の在り方に拘らずに生きていくのが生き残る秘訣かな

Prefatory note
それらしくしなくてもいい。そういう生き方もある

between

魚のように泳げて
見た目が鳥(のよう)でも

もっとみる

獣たちの謳歌 集団と個性、98%ヒト、温泉、漁業

「集団と個性」

before

集団でいることはいるけど
自分が自分であることも大切だから
距離も取っていて
自分でできることは自分でやるの

他の仲間達と関わるのはね
どうも苦手でさ
一人が好きっていうか
みんなと一緒が嫌な時もあるんだよね

自分がそこにいるためには
独りでいることが
必要だと思うんだよ

Prefatory note
個性と集団と、そのバランスの模索。

between

もっとみる