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【不登校インタビュー】今では家族が先生でありクラスメイト(小3男子)

不登校の生き方。
こんなのもアリなんだ。

家族が先生でありクラスメイトになった小学3年生のお話。

思いがけず不登校になってしまったけれど、それをきっかけに、親子の時間や、子どもとの対話に「良い変化」も生まれたという、岩手県のある不登校家族のインタビューをお届けします。


●子どもの年齢、性別

花巻市在住
小学3年生・8歳(男子)

●子どもの特徴はある?

絵を描いたりするのが好き。いたって普通の明るい子ども。言葉での説明が苦手な時もある。公立小学校では図工と体育が好きで、中でも休み時間のドッヂボールがとても楽しかったと本人談。

子どもの絵

●いつから不登校に?

小学校3年生の5月から不登校。
小学校1、2年生は普通に通っていた。

●どんな感じで学校に行けなくなった?

本人は学校のことを悪くは言わなかったが、朝、登校時間にスクールバスが来ると涙を流す我が子。見ると表情がよくなく、顔が歪んでいたため、学校を休ませることにした。

子に話を聞くと、学校での些細な出来事がきっかけで嫌な思いをしたそう。

1〜2年生の時はそういう傾向はなかったが、3年生になるとクラスメイトの「厳しさ」が気になるようになった。誤って名前を呼び捨てにしたことで反感をかった。謝罪しても許してもらえなかったため、嫌がらせが続いた。

また勉強面では、テストで良い点を取れなかったり、給食を完食しないと休み時間に追加でプリントをやらされるなどの指導があった。休み時間が一番の楽しみだったので本人は辛かったのでは。

●その時、親の不登校対応どうした?

無理やり学校に行かせることはしなかった。

●親の就業などの変化

両親ともに自営業だったため、就業は特に変化なし。仕事に支障のない程度にできる限り不登校のサポートをしている。

●まわりや身内の理解、サポートはある?

家から30分くらい離れたところに住んでいる祖父母のサポートが助かっている。

●現在、どうしてる?

小学校3年生
・5月から不登校
・6月 フリースクール 探し、見学 (2箇所か通ってみた)
・7月 フリースクール決定(1箇所に決定)

平日午前中はフリースクールに通っている。
親の車送迎あり。
週1回、フリースクール の運営する学習クラスに通っている。
習い事なし

●ゲーム、youtube、TVなどは時間制限してる?

Switchなど、ゲームの時間は制限していないが、家ではあまりやらない。会話や家族で踊ったり喋ったり遊ぶ時間が多い。

●近所の子供達との関係や、子供会参加などどうしてる?

子供会には今は参加していない。

●発達検査、知能検査した?

無し。

●療育手帳、障害者手帳など持ってる?

無し。

●公的支援うけてる?

無し。

●将来の不安はある? (本人・親)

勉強面も、将来も特に不安はない。

●不登校になってからの変化

公立学校に通っていた時は、好きな絵を描く時間は勉強の「片手間」になっていた。今は好きなときに好きなだけ絵が描けている。畳ほどの大きさの段ボールに素手で絵を描いたりもした。「絵を習ってみたい」という気持ちも生まれてきた。

子どもの絵

子どもや親の心、行動の変化があった。不登校になってから家庭での時間や会話が増えた。本人の表情も良い。

家での時間が増えたことでお手伝いをすることが増えた。お手伝いをしてお小遣いをもらうとお金の計算をして、欲しいものを自分で買うようになった。子がお金を数える仕草も様になってきたw

親が子を怒りたくなった時、今までなら時間がないので「ダメ!」と言って怒っておしまいだったかもしれないが、「それはあなたにとってハッピーか?」と、子とじっくり対話ができるようになった。これは家族の大きな変化だった。

子どもにも変化が訪れた。「ダメ!」という言葉や「怒り」で他者とコミュニケーションをとるのではなく、言葉で説明して他人の理解や賛同を得るなど、どうやったらわかってもらえるか、別の方法を自ら模索するようになった。

計算(算数)から道徳的なことまで、自宅で学べることは多い。今では親が先生であり、クラスメイトのような存在になった。

よく家族でつくるという手作りキャンドル

●いま、子どもが一番楽しいこと、ワクワクしていることは?

不登校になって半年以上が過ぎた。子どもに聞くと、今は公立学校に戻りたい気持ちはない、フリースクールが楽しいとのこと。冬場はよくストーブの前に座り、薪を足したりと火の番をしてくれている。「明日はたくさん雪が降らないかな〜」と、雪遊びを想像してワクワクしているようだ。

土間でストーブの火の番をする

(2024年12月取材)


貴重な体験インタビューをありがとうございました。

インタビューをしてみて、じっくりゆっくり愛ある対話時間によって家族が先生にもクラスメイトにもなり得る。家庭でも学ぶことは多い、と改めて感じさせられました。(そうは言っても、実際はなかなかこのような対話はできませんが(汗))

親の仕事によっては手厚い不登校対応が難しいケースも多いですが、不登校になってしまったから、しかたなく親も働き方やワークライフバランスを見直したと言う例もあります。

不登校をきっかけに訪れた家族の形やコミュニケーションの変化。そして親子の進化成長。親子ともに「生き方」が自然と変わったという今回のインタビューから、子育てやキャリアデザインのヒントがたくさんかくされているかも!?と私も感じました。

今後も不登校を取り巻く、様々な家族の姿を取材していきたいと思います。


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