#58 「砂肝」のガチ解説
今日は「砂肝」について、解説をしていきたいと思います。
焼き鳥屋、居酒屋に行けば必ずと言っても良いほど、メニューにある「砂肝」。
「砂肝」は、好き嫌いが分かれる食材かもしれませんが、食材として優秀なのか、それともあまり取るべき食材ではないのか、知っておくだけでもどこかしらで活かせると思いますので、目を通しておくと良いと思います。
それでは、解説スタート!
○「砂肝」について
そもそも「砂肝」ってどこの部位かわかりますか?
「砂肝」は、鶏や七面鳥、アヒルなどの鳥類の砂嚢(さのう)のことです。
砂嚢とは、砂礫(されき)と呼ばれる小石や砂、貝のかけらなどを飲み込み、食べた食物を砕く器官のことで、内臓の一つです。
鳥は歯がないので、食べたものを消化するために、小石や砂などを利用して砂嚢で細かくすりつぶして消化吸収しやすくしています。
「砂肝」という名称がついた理由も、この砂嚢からきています。
”肝”というのは、主に内臓の主要部分のことを指していて、”砂”がため込まれている”肝”ということから「砂肝」と名付けられたとされています。
ちなみに、「砂肝」は、地域によって『砂ずり』と呼ばれる(九州のや名古屋ではそう呼ばれるのかな?)こともあります。呼び方は違いますが、食材自体は同じものなので、知っておくと良いと思います。
日本で一般的に出回っている「砂肝」は、鶏の「砂肝」が多くを占めています。
また、「砂肝」は世界でも最もポピュラーな内臓で、様々な料理に使われています。
「砂肝」の最大の特徴は、そのほとんどが筋肉でできていることです。
食べ物をすりつぶす役目の器官なので、脂肪はほとんどなく、他の部位と比べてあっさりしていて、コリコリとした硬めの歯応えがあります。
さらに、レバー(肝臓)や発(心臓)のような独特の内臓臭が少ないという特徴もあり、臭みとりなどの下処理が必要なく、「砂肝」についてる硬い皮を削ぎ落とせば、簡単に調理できる点も特徴の一つです。
○「砂肝」の栄養価
「砂肝」の栄養価について、解説していきましょう。
ここをしっかりと知っておくと普段の食生活でも活かせると思います。
・低カロリー
真っ先に知っておいてもらいたいのは、『低カロリー』食材であるということ。
「砂肝」のカロリーは、100gあたり94kcal。
これは、ダイエット食材として有名な『鶏胸肉』や『ささみ』よりも低いカロリーです。
『鶏胸肉(皮なし)』=100gあたり108kcal
『ささみ』=100gあたり105kcal
一般的に、焼き鳥屋で出される「砂肝」は串2本分(約80g)で75kcal、同じ内臓のハツの場合は、串2本分あたり166kcalなので、かなり低カロリー食材であることがわかると思います。
最初のところでもお伝えしましたが、「砂肝」はほとんど脂肪がついていないのでカロリーも低くなります。
なので、ダイエット中の方や付き合い等で居酒屋などに言った際に、カロリーが気になるのであれば、「砂肝」を注文すると良いでしょう。
「砂肝」は、味がしっかりとついていることが多く、かつ、歯応えもあるので、お酒のアテに向いていると思います。
・タンパク質
続いて、生物が生きていく上で欠かすことができない栄養素の『タンパク質』。
「砂肝」は、この『タンパク質』を豊富に含んでいる食材です。
『タンパク質』の含有量は、「砂肝」100gあたり18.3gと低カロリーであるにもかかわらず、かなり多くの『タンパク質』を持っています。
ダイエット中の人にとっては、低カロリーで、『タンパク質』も豊富に含み、さらに、コリコリとした食感があるので、食事に飽きることなく、楽しく食事ができるようになると思います。
・ビタミンK
「砂肝」には、『ビタミンK』も含まれています。
『ビタミンK』は鶏肉に多く含まれている栄養素の一つで、「砂肝」も同じです。
”鳥もも肉”や”手羽先”と比べると、やや含有量は落ちますが、それでも”牛肉”や”豚肉”と比べると、含有量は多いので、『ビタミンK』を摂取したいときにはおすすめです。
「砂肝」には、100gあたり28μgの『ビタミンK』が含まれているので、焼き鳥2本ほど食べれば十分な量が摂取できます。
・ビタミンB12
「砂肝」には、ビタミンB群の一つである『ビタミンB 12』も含まれています。
『ビタミンB 12』は、体内で酸素を運ぶ役割を持つヘモグロビンの生成に必要な栄養素の一つです。
また、『ビタミンB12』は、植物性食品にはあまり含まれていないことが多く、動物性食品からとる必要があります。
特にダイエットなどをすると野菜中心の生活になりがちで、そうすると『ビタミンB12』の摂取量が減り、ヘモグロビンの生成量も減るため、酸素が十分に体内に行き渡らなくなり、体力低下や肌荒れ、血色の悪さなどが症状として現れる場合があります。
そう言った意味でも「砂肝」は、ダイエット向きの食材であると言えるでしょう。
・鉄分
これは言われればイメージしやすいかと思います。
内臓系の食材なので、『鉄分』が含まれています。
「砂肝」に含まれる『鉄分』は、牛赤身肉と同じくらい含まれています。
”鳥もも肉”や”胸肉”、”ささみ”などは、『鉄分』があまり含まれていないので、この点では「砂肝」の方がメリットがあると言えると思います。
・亜鉛
以前、解説しましたが、『亜鉛』も「砂肝」に含まれています。
現代の日本人が不足しやすい栄養素の一つがこの『亜鉛』です。
『亜鉛』についての詳しい解説は、下の記事のリンクから見てください。『亜鉛』について、理解ができる内容になっています。
○「砂肝」の効能
では、具体的に「砂肝」を食べることで、どのような効能が期待されるのか、みてみましょう。
・ダイエット向き
何度も書いていますが、低カロリーで、『タンパク質』も豊富という点から「砂肝」は、ダイエット向きの食材です。
また、同じようなものばかりになるダイエット食の中で、食感がしっかりとあるため、食事にメリハリがでて、楽しく食事をとることができると思います。
調理方法も炒めて塩胡椒だけでも美味しく食べられますし、少し手を加えればより美味しく食べることもできるので、ぜひうまく活用してみてください。
・血液凝固作用
これは『ビタミンK』の働きによって得られる効果です。
『ビタミンK」には、血液を凝固作用があります。
怪我などで出血してしまった際に、患部の血を固めて止血してくれる『血液凝固因子のプロトロンビン』という因子を活発にしてくれる作用を持っていて、それによって患部の出血を素早く止めてくれる作用があります。
・骨の形成
骨の形成には、『ビタミンK』が欠かせません。
『ビタミンD』と一緒にとることで、骨の形成を促進してくれる働きがあります。
骨の形成というと、どうしても『カルシウム』ばかり注目されますが、『ビタミンK』も必要不可欠な栄養素です。
・貧血予防
『鉄分』を含んでいる「砂肝」は貧血予防にも大きな影響を与えます。
ただし、「砂肝」に含まれる『鉄分』はいわゆる『ヘム鉄』と呼ばれる動物性の『鉄分』で、そのままとっても吸収率が低いという難点があります。
そこで、『鉄分』の吸収を高めてくれる栄養素が『ビタミンC』。
『ビタミンC』の代表格といえば、”レモン”ですね。
つまり、「砂肝」を食べる時は、”レモン”をかけて食べると、より美味しく、栄養面から見ても効率が良いということになります。
○「砂肝」を食べる際の注意点
最後に「砂肝」を食べる際の注意点ですが、血液を固めないようにする薬”ワーファリン”などを飲んでいる方は、あまり積極的には取らない方が良いでしょう。
『ビタミンK』を取りすぎてしまうと、抗凝固剤の役割を妨げてしまう可能性があるので、「砂肝」や”納豆”など、『ビタミンK』が含まれているものをたくさん食べないようが良いと思います。
特に薬などを飲んでいない人は、現在のところ、『ビタミンK』の取りすぎによる影響は報告されていないので、そこまで気にする必要はないと思います(ただし、基本的にどの食材も過剰摂取は良くないので、程々にしましょう)。
以上で「砂肝」の解説は終了です。
「砂肝」について詳しくなりましたか?
硬い皮さえとってしまえば、簡単に調理できますので、ぜひ普段の食事にも活かしてみてください!
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