光粒

photonは光の粒。ちいこい光の粒みたいな日々を拾いあつめて隠しておくための、日記を書く練習です。

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最近の記事

ほぼゆめ

実際は存在しない思い出に心臓を掴まれる時がある。 たぶん、あなたたちにもあるのだと思う。 朧げな郷愁を帯びた音楽がある。 今までも居なくて、今も居ない人のことを思うような映像がある。 できるだけ多く、そういうものごとを集めていたい。 DJをしている友人のうちのひとりの作る音楽の繋がりに触れると、持っていないはずの思い出が浮かぶ。 僕はまだ最初の七五三を終えた頃で、雪深い地域で両親と暮らしている。 父親が僕の乗ったそりをひき、ハンディカメラで母がそれを撮影している。本当は

    • owari no kisetsu

      今年の冬はかぎ針編みを覚えたい。 祖母に教えてもらう約束をした。 年齢や性別の枠組みを包み込めるようなものをこの冬は作りたい。 陶芸の先生として働いていた頃の同僚と久しぶりに連絡をとる機会があった。 今は何をしているのかという話をする。 もちろんお互いに陶芸を続けていたけれど、僕たちは二人とも、自分のくらしを作ることにシフトしていて、分かれ道の先でまた出会えた時の驚きがあった。 同僚は、陶芸のほかに写真の展示をしているらしい。僕も、土と布や紙の親和性について、自信を

      • 優しさは朝の光の色がいいな

        僕の住んでいる部屋には、前の住人が遺していったカーテンが最初からついていて、二つあるうちの片方の窓には入居して半年たった今でもそのカーテンを洗って取り付けていた。 先週、気持ちのよい冬の早朝に、目覚めてすぐ窓の外をながめた僕は、立ち上がってそのままカーテンをもぎ取り、ゴミ袋につめて、捨てた。 急にゼロになる時がある。毎日おはようと連絡をくれる子がいて、それが何故か少しつらくて、カーテンを捨てた。 出来合いのカーテンを買って楽をしようかと思ったけれど、既製品を取り付けるよう

        • おばちゃんにありがとう 唐揚げにさようなら

          毎日歩いている家路が、今日はなぜか全然しらない街に見える。 僕の住む街だけど、僕の住んだことない街。 パラレルワールドの、同じ住所なだけで、着いてみたら九龍城みたいな建物が聳え立っていたらどうしよう。207号室、あるかな、と急に立ちくらみがするほど不安になる。 昨日も似たようなことがあった。 日記をサボるくらいに仕事を頑張った。僕を粉々にして、燃料にして、働いた。 自分へのご褒美に一杯啜るか〜と思って仕事終わりに家系ラーメンの店まで20分かけて向かう。 席について、一応、

          その死の上に秋の陽は輝きわたる

          谷川俊太郎さんが亡くなった。 さまざまな思いが身体の中をごうごうと駆けめぐる。 若かった僕や、多くの友人たちの感性の若葉に、あたたかな日差しを注いでくださった。 数年前、一度だけお目にかかる機会があった。 世界のうちの、心地よい音でまわる大きな歯車が消えてしまって、大勢がその空間をうめようと彼の詩を思い返す。 僕は、起き抜けに訃報を知った時から、浅い呼吸のまま、何もかもをよく考えられずにいる。 人は当たり前に死んでいくこと、作品を通して世界と繋がることの、祈りとしての作

          その死の上に秋の陽は輝きわたる

          青い闇をまっさかさまにおちてゆく流れ星を知っている

          朝、白菜を茹でて食べてから、バルコニーで本を読む。 花たちにだけ読み聞かせてやるような細い声で読み上げながら、自分のなかに物語の世界を組み立てていく。 ちょうどトリュフ犬について読んでいるところで、上階の飼い犬がベランダに出てくる。 鳴き声につられて見上げると、干された布団が裾を翻して空に向かって手を伸ばしている。 飛行機が真白な層積雲に呑み込まれてゆく。 寝巻きではすこし肌寒くて、一時間弱で朝の読書の時間はおしまい。 友人の女の子に頼まれていたヘッドドレスをささっと作る。

          青い闇をまっさかさまにおちてゆく流れ星を知っている

          終末collection

          今日の日記はかなり日記。 日曜日は朝8時30分までに家事を済ませてニチアサを観る。僕はこの歳になってもまだプリキュアと特撮を見て泣いたり笑ったりしている。 月曜から本格的な冬がやってくるという噂を小耳にはさんだので、朝早くから衣替えのために洗濯をした。 バルコニーに出ると、淡墨色をした朝の空気は水分をはらんでいて、肌のうえで粒子がはじける。 隣の部屋の美しいおばあさまがパンを焼いている香りがする。たぶんパン。 上の階の人がお香を焚いている香りもする。その隣の部屋で犬が騒

          終末collection

          笑う光

          ほのかに青白く光るかなしみの粒が町中に落ちている どうかこの道の先に安心が待っていますように 祈るような気持ちでそれらを拾い集めながら進む 何者かのかなしみを拾い上げるたびに 自身のものではない思い出がぼんやりと浮かび 俄かに涙が堪えられなくなる すべて果てには光の中へと願う 以下、今日の郷愁 今日はずいぶん落ち込んでいて、午前はただひたすら窓の外を眺めて過ごした。 何日も前に言われた言葉が遅効性の毒みたいにじわじわと指先まで届いてきて、全身がぎこちない。 今まで繋

          笑う光

          笑いのニューウェーブ

          今日は本当に平和な一日 とくに書くことなし むつかしいことを考えない日も大切 家で本読んで、魔法つかいプリキュア観て、 そのあとはひたすらM-1の3回戦動画を観ていた。 友人から送られてきた、笑いのニューウェーブ陣内智則だけの素材で構成されたセットがすごかった。 フォロー?フォロワー?の人たち、 ちょっとずつ、この人の日々を見ていたいなあと思う、ものごとを受け止める手のひらのあたたかい人たちの日記を、読ませてもらってます。 コメント機能使ってる人、ぜんぜんいないから、

          笑いのニューウェーブ

          Prelude

          古本屋の仕事の日は、いつも決まって3時ごろにコーヒーを淹れる。 生豆を取り寄せて、僕が自宅で焙煎をしていて、店主はこの時間を楽しみにしてくれている。 豆を挽いて、フィルターを用意して、湯を沸かす。 抽出している間、手を動かしながらあてもなく考えごとをする。 コーヒーの抽出液を眼で捉えてはいるけれど、頭の中では、「これはどこか遠い大地の血液だ」とか考えていて、気付いた時には抽出しすぎていたりする。 生産者、流通に関わる人、そして木や土、虫たち、水、太陽、もっとたくさんの遠い

          笑顔にはかなわない

          昨日は心まですり減るほどの激務で、家に帰って食事もとらずにすぐ毛布にくるまった。 疲れてくると、人に優しくできなくなるんじゃないかってこわくなる。 やさしさは、最終的には体力、フィジカルを鍛えていかなあかん。 疲れた日は岡崎律子さんを聴く。 朝、満員電車でぺしゃんこにされてる時、 ともだちの女の子からもらったビーズのキーホルダーがはじけて、 ポケットのなかから、キラキラしたものがどんどん零れ落ちてきた。 なにが起きているのか、脳みそが処理しおわるより先に、無限にポケット

          笑顔にはかなわない

          朝は水の気配

          午前5じ、無理やりからだを持ち上げる いすに深く腰かけて薄明るいベランダのむこうを見ると まだみんな深い夢の水底を漂っているようで 密やかさに、どこかの木の枝にとまる鳥の足音さえ聞こえる気がする 上階の住人の飼っている小さな犬は、遠い空の向こうに向かって遠吠え 自信なげに信号をおくる キッチンに立って 音を立てないようにそっと水をながす それをじっとみているうちに この世のすべてが繋がっていくよ Gn8☆彡

          朝は水の気配

          チェロ組曲 第3番 ハ長調

          今日はお店に人が来なかった。 お花にお水をやっている間にいつもの白い野良猫が遊びにきたけれど、あとは店主と二人きりだった。 蓄音機を出してきて、針を落とす。 いつか円盤に吸い込まれたチェロの音が空間を震わせる。 ちょうどいい回転数を手探りで見つけて、音に合わせてゆっくり頷く。 楽器にあかるいわけじゃないから、チェロを聴いていると宮澤賢治のことを考えずにはいられない。 お昼には窓を開け放した自室で柿を食べた。 咲いたマリーゴールドたちと一緒に風に揺られる。 僕の家は古す

          チェロ組曲 第3番 ハ長調

          トップをねらえ!

          古おもちゃ屋さんのバイト仲間と、トップをねらえの何話が好きかで真剣に話し合った。 4話のガンバスターガイナ立ちを挙げてくるかと思いきや、二人とも6話のガンバスターから縮退炉を取り出す部分が一番だと主張し、固い友情を結ぶ。 あとの時間は適当に天使のたまごっちを触って遊んだり。かわいそうに電池が入ったままで、病気になってたたまごっちを治療しました。 今日はまじめな文章かくことができないほど疲弊してるので、帰ってドーナツを食べます。 お湯つかりながら真空ジェシカのラジ父をきこか

          トップをねらえ!

          査古律 ちよこれいと

          長生きできるかはわからないけど、ハピ生きしていこうね。ハッピーバースデー! 旧恋人、現友人、お誕生日おめでとう☆彡 今日は古本屋でお店番。 学生さんがヤスパースを何冊か買っていって、がんばってね、と思ってたら、最後の一冊は図書館戦争だった。学びばかりでなく、楽しみも大切だね。 おじさんはフルトヴェングラーの本とレコードコレクターを買っていった。 好きな音楽をずっと大切にしてね。 涼しくなって、お店に来てくれるお客さんも少しずつ増えてきた。 毎年、秋は誰しも本を読んでみ

          査古律 ちよこれいと

          てくてくエンジェル

          昔一度だけ、好きだった子が家まで迎えにきてくれたとき、 僕の住んでる街のことを絵本のなかの城下町みたいだねって言ってた。 ことを思い出した。 秋の空気が冷たいから、よく吸い込むために姿勢をただして、メガネをまっすぐかけ直して前を見たら、お城みたいなのっぽで白い建物のてっぺんが見えた。 もう好きじゃない人を迎えに行くために、知らない街を歩いている間、どんな気持ちだったのかなってことで頭がいっぱいになった。 明日はお誕生日だから、お祝いしてもいいんだけど、お祝いしないのが優し

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