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敗者の街シリーズ「短編」読み放題プラン

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私の(一応)代表作「敗者の街」に関連した短編作品が読み放題になります。コンテンツは今後も増えていく予定。 本編はこちら https://kakuyomu.jp/works/11…
今後掲載作品は増えていきますので、個別に払うより安くなるはずです。
¥2,200
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#短編小説

【敗者の街番外編】もう会えない君へ

 土曜日にLIME来て日曜日に遊ぶって、あたしにとっては珍しくない。

「……なんか、雨降ってない?」
「マジ? ……あ、ホントだ~サイアク」

 ……で、遊んでたら、突然の雨。
 これだから、この季節ってヤなんだよね。

「いお、どうするー?」
「雨宿りしかなくね? クレープ濡れちゃうし」

 周りを見回すと、ちょうど雨避けできそうな建物があることにはある。
 ……でも……

「うっわ、出た」

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【敗者の街番外編】仲直り

「母さん、アイツどこ行ったの?」

 その日、家に帰ると、レオナルドがいなかった。

「別れたよ」

 母さんは事も無げにそう言った。

「そろそろ、再婚しようと思ってね」

 あたしがまだ小さい頃、母さんはあたしの父さんと別れた。
 かなり年下の彼氏と付き合いだしたと思ったら、今度は再婚。つくづく、自由な人だと思う。

 レオナルドは元々浮浪児で、見かねた母さんが拾って家に住まわせるようになった

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【敗者の街番外編】春の思い出

 あれは、僕がまだ幼かった頃。
 ロジャー兄さんが生きていて、ロー兄さん……アン姉さんがまだ成人していなかった頃の話。

「ばあや!」

 その日は朝起きて、真っ先にばあやの元へ駆け出していた。

「今日はイースターだよ! イースター・エッグはもう買ってある!?」

 当時、僕のお気に入りのキャラクターがチョコレートメーカーとコラボして、期間限定のイースター・エッグが売り出されていた。
 テレビコ

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【敗者の街番外編】亡霊は、未だ語らず

 嫌なことは数えても減らないし、むしろ、年月を経て増えていく。今日も、雨が降っている。この土地はやたらと雨が降るし、霧も多い。

 兄さんが死んだ日を、また見送った。事故なのか、自殺なのか、僕には分からない。兄さんは何も語ってくれないし、誰も教えてくれない。僕は確実に先に進んでいるのに、傍らの亡霊から手を放すことができない。
ㅤ僕の歳を数えるのが、いつからか嫌になった。あの日の兄さんより歳上になっ

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【敗者の街番外編】I love your warmth.

 アンが熱を出した。
「ただの微熱だし心配いらない」と本人は言っていたが、どうしても心配で病院に連れていくと、診断はごく普通の風邪だった。ひとまず安心したが……帰りの車の中、助手席でぐったりしている姿を見ていると、また不安になってくる。

「……大丈夫か、ほんとに」
「大したことない」

 強がっているようには見えないが、アンの「大したことない」ほど信用できない言葉はない。
 一定の苦痛を超えると

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【敗者の街番外編】ある罪人の記憶

「あれ、どうしたの?」

 パリの喫茶店で、その男は突然話しかけてきた。

「……いきなり、何ですか」

「いや、浮かない顔してたからさ」

 亜麻色の髪に、水底のごとく蒼い瞳。長い睫毛、整った鼻筋に薄い唇。すらりと長い痩身の手足。見るからに「美青年」といった顔立ちだが、クロックムッシュを頬張りつつ初対面の相手に話しかける姿は不審者そのものだ。……見覚えがある気もするが、フランスの地を踏んでからは

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【敗者の街番外編】ある罪人の贖罪

 ある日突然、兄さんが知らない青年を連れてきた。

「レヴィくんって言うんだけど、たぶんブライアンと同い年だよ。友達になれるんじゃない?」

 ガーネットのような深紅の長髪を縛った青年の名前は、レヴィと言うらしい。
 面会室のガラス越しに初めて見た彼は、口元を真一文字に引き結び、眉間にしわを寄せていた。

「ともだち……?」
「そう、友達。ずっと検査とか聴取ばかりで、寂しいでしょ」

 さみし

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【敗者の街番外編】嵐の前に、

 私の弟は、不思議だ。温厚な青年に見えるが、どこか掴みどころがない。
 他人にも身内にも親切に接するくせに、自らを「人間嫌い」だと称する。……私には、そこがよくわからなかった。

「……あ。ちょっと待ってて、行ってくる」

 久しぶりの休暇でのことだった。4つ下の弟……ローランドは足を挫いた女性に声をかけ、手早くタクシーを呼んだ。
 スムーズに人助けをこなした後、涼しげな顔で帰ってきた彼に、疑問に

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【敗者の街番外編】たまにはギャンブルでも

ㅤ手札を眺め、青年は紫煙を吐き出した。
灰皿を指で引き寄せ、灰を落としたついでに燃え殻を指から離す。

「……お前さん、弱いのか強いのか分からねぇな」

ㅤ対峙する相手は、数段低い位置からそう告げた。

「…………え?ㅤ何?ㅤ何か言った?」
「ったく……気まぐれな野郎はこれだからよ」

ㅤ苦笑しつつ、少年はだぼついたコートを羽織り直す。
ㅤテーブルに散らばったカードを指で無造作にいじり、青年は告げ

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【敗者の街番外編】Je t'aime ma femme.

【敗者の街番外編】Je t'aime ma femme.

 僕が恋に落ちた日の話をしようか。

 あれは、路上のマーケットで手作りの仮面を売っていた時のことだったかな。
 僕はその時仕事をクビになったばかりでさ、とりあえず特技で生計を立ててみようと思い立ったはいいものの、さっぱり売れなかったんだ。
 でもほら、僕って才能あるでしょ? 両親ともにそれは認めていて、「まあ何とかなる」って思ってくれてたんじゃないかな。いや、その時にはもう二人共死んでたんだけど

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【敗者の街番外編】初めて憎んだ君へ、ありったけの愛を

「あ、イカサマしたでしょ」
「……さて、どうだかな」

 対峙する少年の口元には、ニヤニヤと笑いが張り付いている。焦りも、驚きも、その表情からは読み取れない。
 自分の手札と睨み合って、煙草の灰が落ちかけていることに気付いた。灰皿に持っていき、エメラルドの視線に気付く。

「死んでも煙草を吸えるたぁね」
「むしろ、煙吸うくらいしかできないんだよね。胃腸はさすがに動いてないよ?」

 いや、でもどう

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