【敗者の街番外編】もう会えない君へ
土曜日にLIME来て日曜日に遊ぶって、あたしにとっては珍しくない。
「……なんか、雨降ってない?」
「マジ? ……あ、ホントだ~サイアク」
……で、遊んでたら、突然の雨。
これだから、この季節ってヤなんだよね。
「いお、どうするー?」
「雨宿りしかなくね? クレープ濡れちゃうし」
周りを見回すと、ちょうど雨避けできそうな建物があることにはある。
……でも……
「うっわ、出た」
「ん? どしたん?」
教会っぽい建物がある洋館で、門にはツタがびっしり。空気がどす黒くて淀んでて、なんていうのか、「いる」のが丸わかりだった。
教会? は解放されてるっぽいけど……ホンモノの教会なのかな、これ。
「メグぅ、別んトコ行こ」
「いお、たまに変なこと言うよねー」
「そう~?」
友達……芽久(めぐ)にはテキトーにはぐらかして、駅の方に行くことにした。
どうにか本降りになる前に辿り着けて、ひと安心。このままやり過ごせればいいんだけど。
「進路決めた?」
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