ごはんとパンの考古学
私たちが、普段食べている、「ごはん」と、パンとについて、それぞれの起源を探った本です。
「ごはん」とは、イネの果実を脱穀した「お米」を、水で炊いたものですね。
いっぽう、パンとは、オオムギやコムギなどの麦類の果実を、脱穀して、粉にひいて、塊にして、焼いたものですね。
「ごはん」は、東アジアや東南アジアなどで、主食とされています。
パンは、西アジアやヨーロッパなどで、主食にされています。
なぜ、このように、違う作物から、違う主食が生まれたのでしょうか?
本書では、イネと麦類との栽培史を追い、その差を明らかにしています。
残念ながら、「なぜ、このような差ができたのか?」という理由については、本書では、明確にされていません。おそらく、これは、まだ解けていない疑問なのでしょう。
そのかわり、どこの地域で、どんなふうに、「ごはん」とパンとが発達していったのか、その歴史を跡付けています。
「なぜ?」という疑問の答えは、この歴史の中の、どこかにあるはずです。
普段、何げなく食べている「ごはん」とパンとについて、いろいろ考えさせてくれる本です(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
第1章 ごはんとパン
1 ごはんとパン
2 稲と麦
3 稲の野生種
4 麦とヤギ・ヒツジの野生種
5 その他の栽培された植物
6 農耕の役割
7 今につながるごはんとパン
第2章 ごはんのはじまり
1 中国の自然
2 稲作の生まれるまで
3 洞庭湖【どうていこ】西辺の遺跡
4 彭頭山【ほうとうざん】文化
5 彭頭山文化の暮らし
6 皀市【そうし】下層文化・大渓【だいけい】文化
7 第一次の拡散
8 杭州【こうしゅう】湾周辺の遺跡
9 稲作農耕の起源と展開
第3章 ごはんの広がり
1 第二次の拡散
2 北への拡散
3 朝鮮半島へ
4 南への拡散
5 華南から東南アジアへ
第4章 日本列島とごはん
1 日本列島へ、弥生文化の成立
2 弥生文化は大陸から
3 弥生文化の区分と年代
4 列島に広く拡大する農耕社会
5 金属器
6 階層差のある社会
7 大陸との交流
8 中国史書に現れる倭国
9 古墳時代そして古代国家へ
10 稲作を主にした社会
11 現在の稲作
第5章 パンの起源
1 麦の農耕
2 西アジアの自然
3 麦とヤギ・ヒツジの故郷
4 農耕以前の麦の利用
5 ナトゥフ文化
6 麦農耕の考古学的調査研究
7 西アジアの農耕・牧畜
8 西アジアの製粉具
9 ユーフラテス川流域の農耕起源
10 ユーフラテス川起源の農耕の展開
11 ザグロス山麓起源の農耕
12 土器新石器文化
13 パン焼竈【やきがま】の出現
14 ハラフ土器の拡散
15 ウバイド文化
16 遊牧の成立
17 時期ごとの集落立地の変遷
第6章 パンの広がり
1 西アジア農耕文化の拡散
2 ヨーロッパへの拡散
3 ダニューブ文化
4 貝殻文土器文化
5 ヨーロッパの広域に農耕定着
6 北アフリカ・南アジア・中央アジア
7 ナイル川流域
8 南アジア
9 中央アジア
10 西アジア起源の文化の波及
11 文明の成立
12 気候の悪化
13 製粉具の革新
14 粉屋とパン屋
15 中国北部への展開
第7章 世界の食文化
1 世界の食文化
2 各地の現状
3 ごはんとその仲間
4 パン
5 麺【めん】と饅頭【まんとう】
6 イタリアのパスタ
7 世界の食の体系
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