(前回のあらすじ。そして今回が最終回!) 彼ことRen Yengchiはすべてを失った。それから10数年、彼は移住した地方都市で知り合った人物のおかげで音楽家生命を取り戻すのである! おわかり頂けただろうか。 ここから彼が、現在のような活動を始めたことが。 毎回スマートフォンに楽曲を取り込むのは面倒だと考え、彼はSoundCloudにアカウントを作っていた。元々はあの店主に聴いてもらうために用意したものだが、彼はここに自分の楽曲をアップロードすることにした。 すぐに反
(前回のあらすじ) 404NotFound 彼は音楽を捨てた。 楽器を手にすることも、音楽を聴くことすらなくなった。 正確には、音楽を身体が受けつけなくなっていた。 音楽が聞こえてくると気分が悪い。 それでも時おり、思い出したかのように楽器を手にすることはあったが、次の日には再び元の音楽を受けつけない身体に戻っているのだった。 苦しい日々が続いた。 世間では彼と同世代のミュージシャンが注目されていた。 苦しい日々が続いた。 彼は父親の伝手を利用してそこそこの企
(前回のあらすじ) 彼ことRen Yengchiは念願かなってアルトサックスを手に入れた。意気揚々と練習を開始するが、出す音がすべてフラジオフレットになってしまうという、貧相な体格のペーター・ブロッツェマンとでも呼ぶべき残念なサックス奏者が意図せずして誕生してしまうのである! 圧倒的なまでに身体的なハンディキャップを抱えていたものの、彼はサックス演奏に没頭した。ギターやピアノは小手先でも弾ける(←偏見)が、サックスなど管楽器は自分の身体全体を使って音を出す。それが彼には新鮮
(前回のあらすじ) 彼ことRen Yengchiは神の啓示により実家のピアノの前に導かれた。だがしかし、パワーコードしか知らない彼にとって、それはあまりにも過酷な楽器だったのである! 夏だったと思う。夜だった。蛍光灯を消した室内のラジオから流れたジャズ。たしかジャズの歴史を振り返るみたいな番組だった。序盤でいきなり奴は現れた。俺は驚愕した。こんな音楽は聴いたことがない、と。 もはや音楽ではなかったのかもしれない。ラジオを聴く習慣ができて、俺はこの世界のあらゆる音楽に触れた
(前回のあらすじ) 彼ことRen Yengchiはギターの教則本を求めて書店を訪れた。彼の目に止まったのは「7日間でマスターするロックギター」という、だれが見ても怪しげなタイトルの本だった。しかしまるで神の啓示に導かれるかのように彼はその本を手に入れる。そして7日後、あらゆる名曲をパワーコードだけで強引に弾き倒してしまう、残念なギタリストが意図せずして爆誕してしまったのである! 魔導書「7日間でマスターするロックギター」の導きにより洋楽ロック大好き人間になった彼だが、CDを
(前回のあらすじ) 彼ことRen Yengchiは少年時代のある夜、まるで神の啓示に導かれるかのようにエレキギターを手に入れることを決意する。しかし紆余曲折を経て、彼が人生で初めて手にしたギターはカシオEG-5という、ロックというものを履き違えたまま残念な大人になってしまう危険性すら孕んだ、非常に恐ろしいものだったのである! 思春期にギターを手にする少年は多い。 買ってもらったものの、すぐに挫折して弾かなくなる少年も多い。 そのうち飽きて弾かなくなる少年もまた多い。
彼はまだロックを知らない。テレビの歌番組から流れる音楽にはまったく興味がなく、父親の所有するクラシックのCDばかり聴いていたからだ。 それでも彼はテレビ放映される映画は好んで見ていた。 そしてある日「金曜ロードショー」で見た映画があの「バックトゥザフューチャー」なのだった。 ご存知の通り、あの映画のハイライトの1つが主人公マーティがダンスパーティーのステージでロックの名曲「ジョニーBグッド」を派手なパフォーマンスで演奏する場面だろう。 あれを見て、彼は完全にシビレてしまった
現代音楽の世界では1980年代から何らかの形で作曲にコンピューターが取り入れられていましたが、昨年くらいからいよいよポップスなど商業音楽の作曲家の領域にまでAIの性能が迫ってきた感があります。 今、インターネットで検索すると、動画クリエイター向けに、ジャンルなどを指定するとAIが最適なBGMを作成してくれるサービスがあります。また歌詞を入力してジャンルを指定すると、そのまんまリリースできるクオリティの楽曲(しかもAIボーカリストの歌つき!)を作成してくれるサービスまでありま
Ren Yengchi(レン・イェンチー)というミュージシャンをご存知でしょうか? 公の場でライブ活動はせず、インターネット上で楽曲を発表しているだけなのですが、あまり情報がないので素性がわからないんですよね。 今回は、そんなRen Yengchiについて紹介していきます。 経歴 Ren Yengchiは2020年頃からSoundcCoud(サウンドクラウド)という、音楽版のYouTubeみたいなサイトで楽曲を発表しています。 2022年からは自身のレーベル「Othe
noteをご覧のみなさま、はじめまして。(自称)音楽家のRen Yengchiと申します。今回からnoteを始めるにあたってまずは自己紹介をさせて下さい。 私は1983年生まれ。2022年2月に音楽レーベルOtherMusikを立ち上げまして、現在2枚のデジタルアルバムをBandcamp内で販売しています。 今後、noteでは40代にして売れる可能性ゼロのまま会社を辞めて(自称)音楽家になった男の生きざまと日々の雑感を書いていこうと思います。 さて、なぜnoteを始めたの