AIなんか怖くない自称音楽家の意見
現代音楽の世界では1980年代から何らかの形で作曲にコンピューターが取り入れられていましたが、昨年くらいからいよいよポップスなど商業音楽の作曲家の領域にまでAIの性能が迫ってきた感があります。
今、インターネットで検索すると、動画クリエイター向けに、ジャンルなどを指定するとAIが最適なBGMを作成してくれるサービスがあります。また歌詞を入力してジャンルを指定すると、そのまんまリリースできるクオリティの楽曲(しかもAIボーカリストの歌つき!)を作成してくれるサービスまであります。
さっそくそうしたサイトを覗いていくつか聴いてみましたが、私の感想は「別にこれ、人間でも作れるやん」というものでした。
たしかに人間の作曲家に5分でこれ作れと言っても無理ですよ。曲想を練って、DTMなり生演奏なりで音源作って、仮歌入れても絶対1日はかかる。でも完成した楽曲自体は、人間が作ろうがAIが作ろうがあまり変わらないじゃないか。
※ あと、2024年10月時点では、AIが作った楽曲には微妙にコレジャナイ感が漂います。すぐに改善されるでしょうが。
せっかくAI使うのに、人間が作るのと変わらない音楽が出てきても意味ないじゃないか。どうせなら「これは人間には絶対に作れないな」と感じる音楽を作ってほしいのに。
ここで話題を音楽から芸術に切り替えます。唐突ですが、マルセル・デュシャンが存在しなかった世界線を想像しましょう。はたしてAIはトイレの便器を出品して「これが私の作品です」なんて言うでしょうか?
既存のものから学習するだけでは絶対にデュシャンのような発想は生まれません。だからデュシャンは凄いのです。AIにはできないと思うのです。
AIにできるのは既存のものを量産するだけだと思います。もちろん人間が作るより、はるかに短時間でクオリティの高いものでしょうが、でもそんなもの誰のためにあるのだろう?
音楽に話題を戻して、たしかに映画やドラマの劇伴とかBGMを作る職業の人は仕事を奪われるのは間違いないでしょう。AIのほうがコストが掛からないもん。でもそうした「コンテンツの付帯物としての音楽」以外の、娯楽としてあるいは芸術としての音楽はどうなんだろう。
AIが作る、一定のクオリティを保った楽曲を気に入る人は絶対いるとして、それだけで人間のアーティストが割を喰うことになるのでしょうか?
そもそも人は、別にクオリティの高い音楽なんか求めてないですよ。優れた音楽だけ聴きたいという人はバッハとビートルズだけ聴いてりゃ良いんですよ。
ここで具体的なアーティスト名を出すのは失礼ですが、福山雅治は決して歌うまくないですよ。でもあの歌声が唯一無二で最高なんです。あの声であの歌詞をあのメロディで歌うから最高なんです。
とてつもなく歌唱力の高い歌手とか、音大出身でめっちゃ演奏うまくてめっちゃ複雑な楽曲を作るバンドマンとか、毎年のように喧伝されてデビューしますけど、それだけで第一線に残っている人なんていないでしょう。音楽としてのクオリティ以外の要素、声とかルックスとかパフォーマンスとか発言とかファンへの対応とか音楽以外の要素も込みでそのアーティストの魅力が生まれると思います。
だからバンドマンとかシンガーソングライターの人はAIが進出しても全然心配いらないですよ。ファンがつくから。あなたの声やパフォーマンスが好きな人は絶対いるから。
もっともこれは、あくまで「歌もの」の音楽をやっている人に限定されるのかなぁとも感じています。私のようなインスト音楽は、人間の声ほどには明確な個性は出しづらいかと。純粋に楽器の音色だけで「あ、⚪︎⚪︎さんだ」と認識できるほど個性的な音色を持つ演奏家なんて本当にいるのだろうか。たいていはフレーズとか演奏のクセで「⚪︎⚪︎さんだ」と気づくのかなと。
そうなると音色ではなくフレーズを思いついて具現化する能力つまりは作編曲能力が高いほど有利なのかもしれないとするとやっぱりAIのほうが有利なのかもしれないなとかいろいろ考えてしまって結局怖いです。
久石譲とかならともかく私のような最底辺の(自称)音楽家はやっぱり生き残れないのか。
何か1つ、圧倒的な個性があれば生き残れるかもしれませんが。あるいは既存の音楽ジャンルもとい音楽の概念を根底から覆すような作品を世に出すか。しかしマルセル・デュシャンみたいなゲームチェンジャーがこの先、音楽の世界に出てくるだろうか。
そもそも、なんか偉そうなこと書いてしまいましたが、私のようなニッチな音楽ジャンルを演奏している(自称)音楽家は、AIが進出しようが関係ないかもしれません。フリーインプロヴィゼーションだとかノイズミュージックとか需要ないもん(アンビエントミュージックのほうは既にMAXとか使った自動生成音楽で良い感じのものができてるから、そっち方面の音楽家にとっては脅威かもしれないけど)。CDが売れなくなってサブスク経由で大衆に聴かれるかどうかがミュージシャンにとって重要になった時点で、ニッチな音楽やってる人たちは廃業するしかなかったのかもしれません。
楽器の練習をしたり、作曲の勉強をするより、ルックスとかパフォーマンスとか発言とかファンへの対応とか音楽以外の側面で人を惹きつける方向にシフトするべきなんだろうか、、、
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えーと、ここまで読んで下さってありがとうございました。このnoteは40代にして会社を辞めて無職になった(自称)音楽家の生き様に密着したセルフドキュメンタリーとなっています。本業の音楽のほうではまったく稼げない(月収3円)ので楽器の演奏よりも得意な文章力を活かしてプロモーションを図ろうという次第です。noteをご愛読のみなさまにおかれましてはブログやネット記事というよりお気に入りのYouTubeチャンネルを見るような感覚で楽しんで頂けましたら嬉しいです。私の音楽はまったく万人受けしないニッチなものですがせめてnoteだけでもゆるく楽しめるエンタメ度数の高い、読んでおもしろい投稿を心がけますのでこれからもどうかよろしくお願い申しあげます。かしこ
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