真夜中のファミレス談義

深夜のテンションで、「面白い」×「為になる」話題を、カジュアルに語りたい。 そんな想いで、体系的に情報を網羅した“教科書”や、明確な目的をもった“提案資料”からは離れた、ラフなスタイルで書き連ねていきます。

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最近の記事

経常赤字と対外債務のリスク ~アジア通貨危機にみるリバランス過程~

もし、たった6か月ほどで、ドル円相場が半値まで暴落したら。 もし、絶好調だった日経平均株価がピーク時から、9割近くまで減価したら。 1997年頃に似たような出来事が、微笑みの国・タイで起こりました。 このアジア通貨危機(トムヤムクン危機)では、一体何が起きたのでしょうか。 サムネイルは(画像:Thai Bank Notes in a Pile by Karn Bulsuk/ flickr[CC BY-NC 2.0])を作者により改変 目次 ■はじめに 1990年代から2

    • 米国の国際収支 〜グローバル・インバランスをめぐる議論〜

      ■はじめに 世界最大の債務を抱える国はどこでしょうか? 答えは「アメリカ」。 2023年末時点で、同国の対外純債務は19.8兆ドルで(2805兆円に相当)、日本の対外純資産である471兆円と比べても、かなりのスケールがあります。 同年の経常収支(季節調整済み)は、8188億2300万ドルの赤字でした。日本円にして約124兆円に上ります。 経常収支はゼロサムゲームであり、アメリカが経常赤字になるのであれば、それだけ経常黒字になっている国々があるはずです。 経常収支がア

      • 日本の国際収支 ~世界トップクラスの対外純資産が意味すること~

        ■はじめに 日本の国際収支についての報じられ方は、紋切り型の印象があります。 「デジタル赤字」を問題視してIT投資を喚起したり、対外純資産が世界一であると国威発揚に利用されるばかり。 情報の受け手である私たちも、横並びの論調に流されるままではないでしょうか。というのも、日常で庶民がやり取りする金額とは、あまりにスケールが違いすぎます。 これまで漠然としたイメージで語られてきた数字に、何の意味があるの考えていきましょう。 なお、日本の経常黒字については、↓の記事も合わせてご

        • 経常収支に勝ち負けはあるのか

          「エネルギー高により貿易赤字が膨らむことで、○○兆円の国富が流出している」と聞けば、日本の富が海外に収奪されているような印象を受けます。 しかし、企業の決算における論理を、国全体の経常収支にそのまま当てはめてよいのでしょうか。 本来、海外から物品サービスを輸入することによって、それだけ私たちの暮らしは豊かになっているとも言えます。 反対に、外資企業によって国内のリゾート地が買い占められても、お金を受け取ることになります。 経常収支とは、対外的なお金のやり取りの結果だけにフォー

          国際収支関連統計 ~経常収支と対外純資産とは何か~

          ■はじめに 経済に関するニュースで、「昨年度の経常収支 ○○兆円の黒字」「日本の対外純資産 ○○年連続で世界一位」というヘッドラインを目にしたことはないでしょうか。 一方で、「デジタル赤字で○○○億円の国富流出」「貿易赤字○○兆円 資源高騰や円安で過去最大」という不安げな文言も並びます。 これらは全て、国際収支に関するトピックです。 自国の置かれた状況を知るうえで欠かせない話題であるものの、小難しい統計が絡んできます。 そこで今回は、分かりやすいよう前提知識をまとめました。

          国際収支関連統計 ~経常収支と対外純資産とは何か~

          マイナス金利解除って何ですか?

          2024年3月19日に、日本の金融政策について、大きな出来事が起こりました。 日銀によるマイナス金利解除の発表。事実上の利上げです。 また、政策金利が「政策金利残高への付利金利」から「無担保コールレート翌日物」に戻りました。 この発表の2日後には、無担保コール翌日物金利が8年ぶりにマイナス圏から脱しました。 どうやら預金金利や、住宅ローン金利など、わたしたちの生活に影響するようです。 今回は、その仕組みについて、書き留めておきます。 ■マイナス金利解除は、短期金利につ

          マイナス金利解除って何ですか?

          金融政策(下)

          前回は、金融政策のしくみを説明しました☟ https://note.com/orca0_0/n/n32fc78a29091 今回は、米国の金融政策に関して、実際のデータを眺めていきます。 ■政策(FFレート)の動き 【図表1】のグラフは、政策金利であるFFレートですが、過去20年間で0.05%〜5.33%を推移しています。 ざっくりと、FFレートの動きによって、緩和と引き締めのフェーズを分けてみました。 引き締めが顕著になった時期には、水色にマーキングしてあります。

          レポ市場(下)

          以下のつづきです ☟ 政策ツールとしてのレポ レポ取引は、中央銀行による金融政策にも活用されています。 レポは民間銀行の準備残高の供給を一時的に増加させます。 例えば、2019年9月中旬に短期金融市場でのパニックが起きたときは、10年ぶりのレポ・ファシリティによって、ニューヨーク連銀が大量の資金供給を行いました。 当時、翌日物レポ金利が一時的に10%まで急騰しました。(金利上昇の原因については、『米国の金利急騰とFRBの負債構造』を参照されたい。) 資金を借りたい金融

          金融政策(上)

          経済ニュースを理解する上で、金融の知識は欠かせません。 金融政策の大枠をとらえるために、以下を記しておきます。 ※米国の話がメインです。 ■金融政策とは 金融政策とは一般に、以下のような定義がされています。 ちなみに、米国の中央銀行であるFRBには「物価安定」に加えて「雇用の最大化」という2つの使命(Dual Mandate)が課せられています。 かつて物価を安定させるのに操作すべきなのは「金利」か「通貨供給量」か、という論争がありました。 今日ではどちらも重要とされ

          レポ市場(上)

          「レポ市場」ってご存じですか? レポ市場は短期金融市場の中でもウェイトが大きいのですが、マスメディアでの露出は少なく、世間の認知度は低いと思います。 株式市場のように個人で参加することはないため、直接的に関係することはありません。 しかし、ここでやり取りされているお金の貸し借りや、その金利が金融市場において重要なのだそう。 1日の取引量が最大の市場は、ニューヨーク株式市場ではなく、米国のレポ市場だという説もあるほどです。 とくに2008年の世界金融危機や、2019年の短