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東京装甲少女  EPISODE0 第28話    【 遠雷 】



昔々ある所に、、、、。


真面目で感情を表さないことが美徳とされる国

人々がとても礼儀正しく、

「はい」「そうです」「ありがとう」「どうぞ」

ぐらいしかお互いに話をしなくなった【 ある国 】がありました。


ある日、【 ある国 】他の国から、美しく、自由で感情たっぷりで笑顔が素敵なお妃が宮廷に嫁いできましたが、おしゃべりどころか、笑い声や
泣き声すら立てたら【 無作法 】と【 ある国 】ではされていたために、お妃は無理をして無作法にならないようにしていたら、いつの間にか、病気になってしまいました。

その時、お腹にはお姫様がいたお妃は、このままでは、自身は近いうちに死んでしまうと予感していたので、

仲良しでお姫様の名付けの親の
【 妖精タボレット 】を呼び、
自分の事や、今後産まれてくるお姫様の面倒を見て貰いたいなどをタボレットに相談しました。

そして、ある日、病気の中、産気づいたお妃は、
お姫様を出産してそのまま、帰らぬ人となってしまいました。


産まれてきたお姫様は、大きくなっていくに連れて
お妃と同じ性格だったので、宮廷の窮屈な暮らしに耐え、苦しみながら生きていました。


そんな生活を続ける不憫なお姫様を見かねた
タボレットは
妖精の国へ行き、お姫様そっくりの機械仕掛けの人形を魔法道具店で注文しました。


出来上がった機械仕掛けの人形は、本物のお姫様にはそっくりですが、決まったセリフしか喋れないただの機械人形でした。


それでも、お妃との約束を守り不憫なお姫様を助ける為、出来上がった機械人形と本物のお姫様を入れ替えて直ぐにバレてしまうかもしれないが逃がしてあげようと考えました。


そして、本物のお姫様はタボレットの知り合いの他の国の漁師の家へと預けました。


ですが、宮廷の人々は、本物のお姫様ではない機械人形に気がつくどころか、「はい」「そうです」「ありがとう」「どうぞ」と位しか喋らない
お姫様がようやく行儀が良くなったと大いに喜び本物のお姫様と機械人形に入れ替わった事を疑いもしませんでした。


そして、本物のお姫様と言えば、タボレットにより、嫌なお城での記憶を消してもらい、他の国の
漁師の家で自由でのびのびと、やりたい事をして暮らしていました。

それから時が過ぎいつしか本物のお姫様はというと、とても美しい女性へと成長していました。

一方、機械人形はいつまでも成長しないで、
ずっと昔の姿のまま「はい」「そうです」
「ありがとう」「どうぞ」と言い続けていただけなので、そろそろ宮廷の方も気づいたであろうと思い
お城の皆や王様をタボレットは不憫だと思いお姫様には悪いが真実を告げに行ってしまいました。


すると、美しい女性へと成長した本物のお姫様は
すぐにお城へ連れ戻されてしまいました。


無理やり戻された本物のお姫様は、お城で泣きわめき窮屈な暮らしを強いられそのせいで、元気がなくなり、みるみる痩せ衰えてしまいました。


そして、お姫様を心配でどうなったかと一週間後に様子を見に来たタボレットに本物のお姫様が
「私を元の場所へ連れて帰って」と泣いて頼んできました。

さすがに不憫に思ったタボレットは、
偽物の人形のお姫様と本物の人間のお姫様のどちらを選ぶのか?
と、お城の人たちに突きつけました。



お城の人たちは
【 自由で無作法だが言うことを聞かない本物の人間のお姫様 】
【 与えられた同じ言葉ばかりしか話せない、成長もしない偽物の機械人形 】
と、どちらが良いかと真剣に話し合い投票しました。

その結果、国の人々は、機械人形を
跡継ぎのお姫様に選ぶ事にしました


本物のお姫様はその後、他の国で漁師の家に戻って
のびのびと自由に末長く暮らしました。


タボレットは国の人々が実に愚かだと皮肉げに
笑っていました。


おしまい。



シェイルは久留和の話を最後までワクワクしながら聞いている様子だった。


これで何度目だろうか?この子がまるでこのお話初めて聞いたみたいな顔で赤い眼をキラキラ輝かせているのは?


体が言う事がきかないのを良い事に
終われば、また眼前に初めのページを出されては読みまた、それに繰り返しで5回は既に読まされているだろうか?


初めはどんなストーリーかも解らず読むのに少しぎこちなさもあったが、今となっては、朗読会を開けるほど、登場人物によって声色を変えたり、
シーンによっては単調になる所でも抑揚をつけ
小さなお客様を喜ばすのも出来るほどの技量も得てしまった。


そして、その小さなお客は飽きもせず、カーテンコールが降りたばかりとだというのに、また、無理やりアンコールをせがみ、眼前にまた1ページ目の挿絵を広げ6回目の朗読公演を無理やり開催させようとしていた。

久留和は、ほとほと参った形であったが、予想はしていたので渋々ではあるが6回目の冒頭シーンを読みだそうとした。だが、先程よりも部屋の明かりが、暗くなり字がとても見にくかった。


久留和はシェイルに向かい

久留和
【 シェイルちゃん、、、、ちょっと悪いんだが、本をどかしてくれないか?】

シェイルは少しふくれっ面をして、駄々をこねたが、ちょっと外を見たいだけだからと言うと、
久留和の眼前から渋々、指を1ページ目に挟んだ本を自分で持った。


久留和は、久々に文字の羅列と不気味な挿絵以外の視覚情報に触れた。


自分が寝ている足先には窓があった、朗読会の前は晴れていて陽が差し込んでいたが、窓の先の景色は、まだ、夕方でもなさそうな時刻なのに先程より俄然陽が少なく、いまにも降り出しそうな景色だった。

そして案の定、ポツポツと雨が降り出した。


窓を開けていた部屋の中は、あっという間に建物の近くの夏の暑さで熱せられた、土と雨や草の濡れた蒸気でなんともノスタルジックな臭いに包まれた。

久留和は、これ以上降ると、部屋が濡れてしまうので、開け放っている窓を閉めた方がいいとシェイルに言おうとしたが、それよりも先に、シェイルは鍵こそは小さくて届きはしなかったが、両窓の下の方を、左右に引っ張り窓を閉め始めていた。

さすが、小さくても女の子だ。自分がこの歳だったら鼻を垂らしてるだけだろうなと感心した。


背伸びをしながら手を伸ばし窓を、直向きに閉めようとしているシェイルに対して、久留和は
こう言った。

久留和
【シェイルちゃん、ほら、見てごらん。
 遠くで雷が鳴っているよ。
 これから、こっちにも来るんじゃないかな】


シェイルは窓を閉めていた手を休め久留和の顔の近くに上って来て2人は一緒に外の景色を眺めた。

稲光の、ゴロゴロという音と雨音が少しづつこちらへ近づいていた。


更に雨音が強まってきたので。シェイルはまた、一人で下り全ての窓を閉め終わると、室内と外の暗がりが広がり、雷の音も怖いのか、また、久留和の近くに戻って来た。


いつの間にか、朗読会のアンコールも無くなり、2人は、言葉を交わすわけでもなく、只、ベットから窓の景色を見ていた。


暗がりの室内は、激しい雨音と先ほどより近くなってきた雷の音と扇風機の音だけが聞こえていた。

不安そうに外を見つめるなシェイルに向かい久留和は雷が落ちた音の後カウントアップを始めた。

久留和
【1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,
11,12、、、、、】


シェイルは不安そうな顔で


シェイル
【おじさん、何数えてるの?】


と尋ねた。


久留和は25のカウントアップを数えつつこう答えた。そして、ドドーンとまた雷が落ちる音がした。


久留和

【ほら、25だろ?
 まだまだ、ここらへんには落ちないよ。
 大丈夫大丈夫。
 10以内だと近くに落ちるけど25だからね
 大丈夫だよ】

シェイル
【ふ~んそうなんだ?じゃあ私も数えてみる
   1,2,3,4,5,6、、、、、 】



とシェイルが数えだすと12位の所でドドーンとまた雷が落ちる音がした。


シェイル
【おじさん、、、、、。
 何か近づいてきてない??】


とシェイルは不安そうに久留和を見つめた。


久留和は確かに、先程より明らかに、タイムアップの間隔は近づいていたが、こんなものは、ばあちゃんが昔教えてくれた迷信みたいな物だから関係ないはずだから、と思っていたので、シェイルに向かい


久留和
【大丈夫!大丈夫!シェイルちゃん雷なんて、
 こん、、、、、、、、】


とシェイルを元気づけようと話始めた所に

窓の外が一瞬ピカッ!!と明るくなるとものすごい ズドドーン!!
という轟音が響いた。


シェイル
【キャ――――!!】


暗がりに一瞬差した雷鳴の瞬間シェイルの金切り音のような声が部屋中にこだました。


そして、久留和が怯えるシェイルに心配して声を掛けようとしたところ、自室の部屋の扉がガチャッと開き数名がベットの近くまでやってきた。


窓を背にこちらを向き立っている数名は、
久留和は暗がりで顔は良く見えなかった。


窓の外は、まだ雷が鳴っていた、、、、、。








膨大なネットの蓄積データの中、まるで海の深海のような実際もありもしない情景の中で彼女は微弱な電波を検知し語り掛けていた、、、、、、。





【 ねえ、起きて!ねえ!!  
  あなたは、どうして私たちは作られたと
  思う? 】



【 、、、、、、、、、、、
     、、、、、、、、、、、。
     私を呼ぶ、あなたはだれ????   】


ウルスラ
【 何を言ってるの私よ!!
  忘れたの?
  私は貴方よ!!! 】



【 、、、、、、、、、、、
     、、、、、、私?!   】




東京装甲少女 EPISODE0  第29話へ続く、、、、、。




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こちらで小説を展開している
東京装甲少女EPISODE-0という作品ですが
物語の初まりのOpening Part から
現在のストーリーまで今の所

【無料公開中】です。


是非、東京装甲少女
という世界観の伝わる
始まりから
お読み頂ければ幸いです。

今後は有料化も予定しておりますので
期間限定の今のうちに
お読みい頂ければ幸いです。
よろしくお願いいたします。


ここから、初めのストーリーを読む


※お知らせ👼

現在こちらで小説を展開している
東京装甲少女という作品ですが、
こちらにはお話の基になるデジタルアートNFT
作品があります。

そしてその作品が
2024年4月に行われましたNYCで大規模開催された
https://www.nft.nyc/という展覧会で
展示されました🎊

皆様のご協力を頂きこの度展示して頂く事が叶いましたので
また来年も展示されるのを目指してまいりますのでご協力
よろしくお願いいたします。
ありがとうございました🙇



NFT NYC2024 展示作品


NFT NYC2024 デザイン採用チケット


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