麹づくりに木の道具は必要か否か
どうも、丹波で変な麹ばかりをつくってます"おかしなこうじや"の本間です。
一部局所的には「発酵王子」だとか「麹王子」だとか呼ばれているらしいですが、
ただの農民の出だし顔面に自信がある訳でもないので信じてはいません。
ありがたいなとは思うばかりですが。
さて、今回からインスタと内容を変えていきます。
というか、インスタはかなり分かりやすいように、分かりやすいようにと言葉を選んでいますが、
もうちょい詳しく書きたいねんコレ。
みたいな気持ちもあるので、そんな部分をもう少し掘り下げた書き方をしていこうかな、
などと思いつつ書いているところです。
今回は製麹(せいきく・麹をつくること)の際に木の道具をどう扱うか、
という問題です。
これは酒蔵時代からなかなか頭を悩ませる問題でした。
たしかに、木の道具はあたたかみがあってかわいいです。
撮影用の器としては申し分ないし、雰囲気もでます。
実際僕も撮影用にはそんな風に撮ると思いますし。
しかし、実際の作業上で木の道具を採用するのは見栄え以外にとくにメリットがない、
と少なくとも僕は結論づけました。
木は呼吸していて、自然に乾湿調整してくれる、
とはよく聞きますが、
だとしても、こちらが狙っている乾湿の調整と、木による調整は必ずしも一致せず、
結果的にやりづらいことになります。
また、木は通気性が悪い。
麹づくりにおいて、酸素の供給は外せないポイントの1つです。
酸素が不足すると、麹菌はアルデヒド臭をだして自己消化していきます。
こうなると、いつもの麹と違うものが出来上がってしまいます。
この酸素不十分を防ぐためにもある程度の通気性を保ちたいのですが、
いかんせん、やはりそれも穴をたくさんあける木では難しいようなと思いますです。
そして、木は衛生管理が非常に難しい。
雑菌が木の中に繁殖しやすいし、なにより僕の麹室の中は加湿する工程もあります。
まさにカビの温床となる訳です…
また、ハイターなんかの次亜塩素酸塩なんかを木に使うと、商品になった時にカビ臭の原因となることもあります。
そうなると、木でやるメリット、というのが本当にないなぁと思うに至った訳です。
そのため、おかしなこうじやでは蒸籠で蒸した後、それ以降は木の素材は使いません。
コンタミをなるべく防ぎ、安全に製造し、より繊細で精密なコントロールが出来ることを優先し、
自分の狙った品質に着地させる、
そのために木の温かみは犠牲にする。
という考えです。
もちろん、木も良いところが無いわけでは無いんですよ。
耐久力もありますしね……
ただ、少なくとも当面の僕の麹づくりには
木は採用しないことになります。
とはいえ、セイロは木製なんですけどね笑
(セイロは熱を直接加える工程で衛生的に扱いやすくかつ、甑肌が減らせるメリットが大きいため)
今のところ、製麹ではプラスチック製の農業用の資材(穴開きの収穫かご)なんかを使ってます。
特に不便は感じないですかね。
なんなら、古巣でも使ってみればよかった、と思うくらいには感心しながら作ってます笑
道具一つとっても、まぁ色んなことを考えながら麹づくりゆるゆる整えていってます。
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