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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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2021年12月の記事一覧

水深800メートルのシューベルト|第46話

 僕たちは、扉から出たところで立ち止まっていた。足下のブロックからむっとするような熱気と…

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水深800メートルのシューベルト|第45話

エンジン音はますます近くなり、大きな水の音にもかき消されなくなった。ママだ、気が変わって…

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水深800メートルのシューベルト|第44話

「ほら、汚れがきれいさっぱり無くなるまで洗って。そうしないと殴られるのはあんただからね」…

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水深800メートルのシューベルト|第43話

(メリンダは)テーブルの奥にある洗濯機と壁の間に手を突っ込んで何かを探し始めた。僕は訳が…

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水深800メートルのシューベルト|第42話

しかし、次にやって来たのは痛みではなく、僕の濡れた指先を包む柔らかな指だった。 「何痛そ…

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水深800メートルのシューベルト|第41話

「あの酔っ払い……、叩かれた方がまだマシだったよ。クソッ」  メリンダと名乗る女の子は吐…

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水深800メートルのシューベルト|第40話

「うん、外にいるのは僕のパパだよ。君はだれ?」  暗い所に目が慣れてくると、髪の毛は金色だとはっきりしてきた。指していた指で髪を掻き上げながら、「メリンダ」とかぼそい声で呟いた。  髪の中から顔が現われ白い肌とそばかすが見えた。変な顔だと思ったら左右の眼の大きさが違っていた。右眼は鈴のように大きく丸いが、左眼は腫れた皮膚の中に埋もれていた。周囲の皮膚は紫色に変色していた。僕はおそるおそる尋ねた。 「パパに、叩かれたの?」  その問いに、彼女は首を横に振った。      第3

水深800メートルのシューベルト|第39話

 部屋の中は暗かった。入り口に冷蔵庫とテーブルが両脇にあることを覚えていた僕は、それらに…

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水深800メートルのシューベルト|第38話

 パパは、ブロックから足を踏み外して草むらと砂利の混ざった地面に倒れこんでいた。起き上が…

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水深800メートルのシューベルト|第37話

 (ママは)そう言うとカツカツとコンクリートを叩くような足音を立てて車に戻り、ドアを乱暴…

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水深800メートルのシューベルト|第36話

 パパはさらに何かを言いかけたが、ママの怯えた顔を見るとすぐにとりなすような態度になった…

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水深800メートルのシューベルト|第35話

「ああ? 俺を逮捕させて家を差し押さえるだと? 上等じゃねえか、やれるもんならやってみろ…

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水深800メートルのシューベルト|第34話

パパは手に押しつけられた薄い緑色の紙幣を、畳まれたまま自分の顔の前にかざした。みるみる緑…

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水深800メートルのシューベルト|第33話

(パパは)顔をグッと近づけてくる。淡いグリーンの瞳は、くっきりとした真ん中の濃い緑と周囲の薄汚れた黄色に分離しているのが分かる。手に持ったテレビディナーの紙の箱も目の前に近づいてきた。息の臭いに、濃いデミグラスソースが混ざっている。 「パパ、僕のご飯代がないんだって……」  目の前のビーフシチューが食べたいと言いたくなかった僕は、おずおずとママの方を見た。 「ほら、坊主も困っているぞ」の声に、ママは財布を取り出し、紙幣を一枚、パパに握らせた。      第32話へ戻る 第3