「ああ? 俺を逮捕させて家を差し押さえるだと? 上等じゃねえか、やれるもんならやってみろ!」
バーン、とディナーの箱がブロックの上に叩きつけられた。箱は潰れて中からは、グリーンピースやコーンの小さな粒があたり一面に散らばった。僕は後ろに思わず飛びのいていた。手に熱いものがかかった。ビーフシチューのソースだった。
「大声出さないで、ジョーンズ」
パパはその言葉を聞いてますますいきり立った。
「大声出すなって? ここはホリスターのアパートじゃねえんだ。五マイル四方人っ子一人いねえ。大声出したって、聞いている人間なんていやしねえ。たとえ誰かが殺されかけてもな」
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