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つぶやき

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31文字におさまらなかった140字程度の短文
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撒かねば咲かぬ咲かねば成らぬ成らねば撒けぬぐるぐるとねばねばねばに追い込まれ忘れかけてる陽も水もある

風のある日のため息

風のある日のため息

風が少しある
今日は乾くかな?
と、タオルの角を角ハンガーのピンチに止めた

カシャカシャカシャとピンチは騒ぐ

いいよな自由で

タオルを掴まされたピンチがつくため息

カシャカシャカシャっと
仕事をしてないピンチは騒ぐ

ゆらゆらゆらとタオルが揺れる

いいよな自由で

ピンチに掴まれたタオルの角がつくため息

ゆらゆらゆらっと
タオルの裾はのんびり揺れる

すり抜けてゆくモノを今日はそのまま見送ろう飛び出さんばかりに眼を見開き両手の指を思いっ切り広げ威嚇するかのような体勢をとったとて取りこぼすものはあるもしうまく捕まえられてもすべては抱えられないし持ち続けられはしないだから今日はそのまま見送ろういつか受け止められる日が来るだろうから

アタシの中に漣を立てるのは見知らぬ誰かがつらつらと並べた文字で文字には少なからず私情が組み込まれているということも知っていてそんな見ず知らずの心情にわざわざ波立つのは何よりも浅はかだとも知っていて信じるもの信じたいものは何かを今更突き詰めなくてもわかるのに寄り添うってなんなんだ?

有ることを知らなければ無いという感覚は存在しない欲しいと思うことも探すことも手に入れるために近づくために努力することすらも有ることは教えられたものなのか知らぬ間に見聞きしたものなのか生まれ持ったものなのかそんなことは今は問題じゃない手には入らないものとの距離をどうやったら保てるか

さっき小さな嘘を一つついた。嘘をつく前の後ろめたさは嘘をついた後の開放感にいとも容易く吸い込まれて見事に分解されて清々しさに変わってしまった。これはたぶん、あれは嘘なんかではなくて私が私を守るための大事な丸い盾であったのだと。あちらもこちらも傷つかないまぁるいまぁるい柔らかな盾。

乞ふてふはいとも容易きことなれば
容易く手にせし応へほど
血肉とならずに忘れゆきけり

乞はれてもやらかき笑みを湛へつつ
知りし人ほど容易く吐かぬが言葉なりけり

己の力で生きてはいけないことを直視することなく、ここは我が世の春と言いたげに。わずかな隙間を見つけてはに入り込み、ここは己の出番だと、ここは己の領地だと、哀しいかな己で地を肥やすこともできぬ輩は、今日も明日も種を落とす場所のみを探す。根株を肥やしそんな輩には目もくれぬのが最良。

東西南北

東西南北

東には絵描きがいるという
 すっと近くに立つだけですべてを描いてくれるという

西には歌唄いがいるという
 一言二言呟く音に流れを与えてくれるという

南には踊り子がいるという
 その足音を無駄にせず包んで舞ってくれるという

北には占い屋がいるという
 じっと眼を閉じたまま爪先の向きを示すという

東西南北どこへ行こう
いったい私は誰に会いたいというのだろう

桜草は桜を妬まないし金平糖は星を貶めようとはしない似てる似てないそればかり似て非なるものに対する感情はすべて我が身を貶める咲くまでの試練が桜にはあるし星がなぜ輝いて見えるのか伏線や裏読みをしなくちゃならない風が吹いている美しいという感情だけで充分生きていける目に耳に入れるのは自分

立入禁止

立入禁止

持ち物を隠されたり
仲間外れにされたり
ノートに落書きされたり

そんな意地悪をされたわけでもない

あっちへいけ
こっちくんな
ちかよるな
そんな意地悪を言われたわけでも

ない

たぶん
優しさの塊
たぶん
丸まった柔らかさ

たぶんたぶん

でもダメなんだ

笑えない
あなたの言葉では
笑えない
あなたの近くでは

だから
近寄りたくない
近寄らない

どれだけ人望があったとしても
どんなに

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あうあうあう と

あうあうあう と

海原を漂う氷の上で鳴く
海獣なのかと考える

あうあうあう
出会ってこその合うであり
通じてからの合うのはず

あうあうあう
出会ってからの合うであり
重なるからの合うのはず

間合いも読まぬ外れ矢は
数打ちゃあたるわけもなく

的にもあたらぬ無駄な矢は
薪にもならぬし火もつかぬ

まして氷の上ならば

合わさる相手も居ぬままで
海獣だって鳴きはせぬ

あうあうあうのその果てに
応える宛があるのか

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引力

引力

楽しいことは他所ごとで
悲しいことは我が事で
くるんと反転しないかな
くるんと反転しないかな

引力の向きは決まっているのでしょう?

汚れた水は流れ込み
綺麗な水は逃げてゆく
くるんと反転しないかな
くるんと反転しないかな

引力の向きは決まっているのでしょう

信じてる…

信じてる…

信じるってなにを?
信じてるってなにを?

信じるって人に言うって書くけど
その人ってどこのだれ
それはたぶんキミ

キミが思う
キミが考える
キミが浮かべる
キミが想像する

キミのなかで
キミが作ったアタシ

そう

そのシナリオ通りに動くアタシの虚像

それを信じてるだけ

キミが
キミのなかだけで

こうするよ
こう言うよ

アタシは
ゆびきりげんまんしたわけじゃない

********

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