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今こそドイツのレシピブックを開こうではないか!

私はドイツに来るまで、ドイツ料理と言うと「ビール」「ソーセージ」「ザワークラウト」「アイスバイン」のイメージしかほぼなかった。

けれど実際にはいろいろな料理がある。
日本やその他の国と同じように、その地方ならではの料理もあれば、その季節によく食べるメニューや食材もある。


たとえば、ドイツの春と言えば「アスパラ」。
白アスパラが特に人気で、町のスーパーに「自動アスパラ剥き機」が登場するところもあるらしい。(グリーンアスパラより皮むきが必須な食材なので)

ドイツの白アスパラは長いと30cm弱あるのだけれど、それを切らずに茹でられる専用鍋を持つ人もいる。
日本でもたまに見かける、パスタを曲げずに茹でられる縦長の鍋に近い形をしている。

レストランでは、こんな感じでお魚と一緒にでてくることもある。
もはやアスパラがメインディッシュに見えなくもない

茹でた白アスパラに「オランデーズソース」というマヨネーズとホワイトソースの間のような濃厚なソースをかけて食べるのが定番だ。

オランデーズオースはバターとレモンと卵で作られていて、日本だと「エッグベネディクト」にかかっていることが多いかもしれない。
あの薄い黄色をした、もったりしたソースだ。
この時期のスーパーでは、紙パックのオランデーズソースが売られている。


ほかにも旬の食材はあるし、季節問わず食べられるものもある。
昔から肉をよく食べているドイツは、お肉のローストや煮込み料理が豊富なのも面白い。
一言にローストと言っても細かく切ったものをローストする場合と、ローストチキンのように丸ごと1羽ドーン!の場合があるのはもちろんのこと、味付けも幅広い。

これはバイエルン州を中心に、他のエリアでもわりと食べられる料理「Schweinshaxe(シュバイネハクセ)」。豚(もしくは牛)のスネ肉のロースト。


旅行先などでドイツ料理のレストランへ行けば、そういうドイツ料理らしいものをよく食べる。
あとはドイツの町中でよく見かける、軽食の定番、焼きソーセージwithパンとか。

ソーセージがメインで、パンはおまけ。
「パンいる?」と聞かれることもたまにあるけど、いらないとソーセージ手掴みなのかな?といつも思う

けれど家で自炊をする料理は、日本食+αというのが、今の我が家の食卓だ。

それ以外は日本でも作っていた洋食、中華などのアジア料理、スパイスカレー、時々思い立って中東の料理なども作る。
あとはシンプルに加熱したどこの国にもありそうなものや、ドイツの食材で自分たちの口に合うように調整した、「なんとなく和食」を作っているという感じだ。

ここちらはドイツ名物「シュニッツェル」の冷凍を使用して作った「シュニッツェルカツ丼」。ドイツに住む日本人は結構やっているイメージがある「ドイツ×日本コラボ料理」

それらしいドイツ料理のレパートリーが増えないまま、ドイツで約1年を過ごしてしまった。
これでいいのだろうか……?
生粋の「 食いしん坊 」としては、危機感を覚えた。



ドイツ料理をいくつか覚えてから日本に帰りたい!!


私は勝手に、謎の使命感に駆られた。


ドイツにはドイツならではの食材がある。
そういう食材をベースにドイツ料理が作られている。
食材や調味料にドイツやヨーロッパならではなものが多く、そのなかでも乳製品の種類も多さには、スーパーで見るたびに驚かされている。
おそらく日本に帰国したら、手に入らないものもかなりあるだろう。
代替品を使う必要もあると思う。

日本にあるものを代替品として使いドイツ料理を作るには、その料理を良さを理解し、本物の味を知っておくことが大事なのではなかろうか!!!!
皆の者、そう思わんかぁぁ!!!????



「「「うぉー!!!!」」」という心の中にいる民衆(?)の声援が聞こえた気がした。


というわけで、用意したのがこちら。

また重い本を買ってしまった。
単独で立つほどの安心の厚み

行った本屋さんでおすすめされていて、私も見てわかりやすかった「Deutsche Küche(ドイツ料理)」「Gutem Brot(美味しいパン)」という本を買ってみた。

本のタイトルの通り、ドイツ料理とドイツパンをまとめたレシピブックだ。
書いてある言葉は全部ドイツ語だけれど、1年ドイツのスーパーと、食品の裏面表示のドイツ語と激戦を重ねた人間としてはわりと分かるな、という印象だった。

ドイツパンの方がパンの文化的な解説も多くて、ちょっと難しい。
でもわからない言葉を辞書で引きながら、食べ物をドイツ語を勉強してみるのもいいと思っている。
ドイツ語を学びながら興味のあることを知れるのは、モチベーションが上がる。それにドイツ語を理解して作れば作るほど、よりちゃんとしたものが作れる。そのほうがきっと美味しい。一石二鳥だ。


幸い家にはオーブンもついているし、近くのスーパーの品揃えもいい。
これはドイツ料理を作る絶好の機会だと思った。

パンを作るには追加で調理器具が必要そうなので、まずはドイツ料理の方を作ってみようと思っている。
さっそく牛肉の煮込み料理の食材リストを見てみた。

g,ml,EL,TLという単位が並ぶ材料リスト

グラム(g)とミリリットル(ml)はともかく、「EL」「TL」ってなんや……と思ったら、これ「Esslöffel(食事用スプーン)」「Teelöffel(ティースプーン)」の略語なんですって。

分量の感覚は日本の大さじ・小さじの分量と同じ、約15mlと5mlらしい。
つまりドイツは大さじ小さじなしで料理を作るのか……と驚いた。
日本でも料理に慣れてくると、あまり使わなくなるものではあるけども。

経験によってある程度乗り越えられるものとは言え、パンとかお菓子とか、もう少し精密さが必要なものはどうなるのだろうと思い、パンのレシピも開いてみた。

小数点単位のレシピ

こちらはドイツのプレッツェルのレシピ。
細かっ!!
小数点第一位がでてくるレシピを私は初めて見た。

ドイツのパンは粉の種類と配分などでパンの名称が決まっているという話を聞いていたけど(ゆえに3000種類以上のパンがあると言われている)、これはマジかもしれん……。(たぶん本当)


これは奥が深い……深すぎるぞ……ドイツ料理……!


この難解さに俄然興味をそそられてしまっている自分がいる。
特に帰国後にドイツ料理屋さんを開くとか、そんな目標はない。
けれど、この興味は止められない。
食べ物に関心があるからこそなおのことだ。


先日ネットで見かけた「暗殺者のパスタ」を作り、いろいろな調理器具を赤く染めまくってしまったばかりだけれど。
(もちろん血ではない。トマトペースト・トマトピューレがテフロン加工やプラスチックのボウルなど、鉄製以外の調理器具に赤い色素がめちゃくちゃ残っただけ)



というわけで、これから月に1回くらい見慣れぬドイツ料理を何かしらの方法で紹介することになると思うけれど、お付き合いいただきたい。
あと少し前にフランス料理のレシピブックも買ったので、気まぐれにそっちも作るかもしれない。

紹介の仕方など含めまだふわふわしているけれど、「自分の作ったことのない料理を作れるようになる」という心だけは決まっている。

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