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今日の注目記事

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様々なジャンルで話題の記事をまとめていきます。
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#エッセイ

祖母と戦争。愛と齟齬

 祖母と最近会っていない。  電話をすれば声が聴ける。便利さに甘えて、何かを果たした気になっている。たしか祖母は90歳を越えているが、いまは何歳だったか、正確に覚えていない。そういうところが、私は甘えている感じがする。 「ほら、これも食べな」  祖母の声は、どんなときでも柔らかかった。  私は毎年、田舎の祖母の家に遊びに行っていた。お盆と正月で年に2回。毎回楽しみだった。普段家では食べられないような高級なものがたくさん食べられた。炊き込みごはんだったり、栗きんとんだっ

大晦日の夜、6人の高校生が寂れた無人駅に降り立った。

2024年の大晦日、北海道幌延町にある問寒別(といかんべつ)という小さな無人駅に6人の高校生が降り立った。 彼らは私立高校の鉄道系学科に所属する高校3年生。問寒別にあるゲストハウス・ウタラといかんで年越しをするために、首都圏から遠路遥々やってきたのだ。 彼らが過ごした3年間は、一般的な高校生活とはひと味違った。鉄道を学び、鉄道を想い、鉄道を愛する仲間と過ごした3年間。そして今回の卒業旅行。その青春があまりにも尊かったので、記事にしていいか聞くと「もちろんです!」と屈託のな

2月22日は猫の日!「ホーム社猫祭2025年」猫とわたしたちの物語

2月22日は「猫の日」です! 「猫の日」は猫たちへの愛と感謝を分かち合う特別な一日。 今年もホーム社では、猫好きの皆さまに、心躍る時間をお届けするため、猫をテーマにした特集をお届けします。 過去の特集で多くの反響をいただき、すっかり恒例行事となったこの企画。猫好き作家・書評家による猫エピソードや、猫本の紹介を通じて猫と共に暮らす楽しさを存分に感じていただける内容になっています。 猫好きな方や、本好きな方に楽しんでいただけたら幸いです。 1.猫エッセイ「猫とわたし」書斎

【タイプロ】最終回を観て「timelesz project」の候補生について語り出したら止まらなくなった話

アイドルグループ「timelesz」(旧Sexy Zone)の新メンバーを決めるオーディション企画「timelesz project」、通称タイプロ。 9月からNetflixで独占配信されていたこの企画の最終回が、2月15日に配信されました。 Sexy Zoneというグループのことはもちろん知っていたけれど、正直、浅い知識しかない状態でした。しかし、STARTO ENTERTAINMENTが一般人も含めたメンバーを募集する、新しすぎる取り組みに興味を持ちました。 エンタメ業

さよなら百葉箱

大阪メトロから、百葉箱が消える。 2025年3月をもって大阪メトロのプラットホームにある百葉箱が撤去される、というニュースを知ってからしばらく経つ。気づけばもう年度末が間近に迫っている。 百葉箱(ひゃくようばこ)とは、気温や湿度などを測るための観測機器が収められた箱である。雨や風から機器を守るため、箱に入っている。 大阪メトロの駅には、ホームに百葉箱が置いてあるところがある。はじめて設置されたのは90年ほど前らしい。100年近くにわたって、百葉箱はホームの環境を測定する

社会人大学院に2年間通って、私が身につけたことは一体何だったのか。

私は、立教大学大学院リーダーシップ開発コース(以下、LDC)に通い、組織開発や人材開発について専門的に学んできました。今年の4月に卒業予定の修士2年生です。 3年前の夏に「大学院に通いたい!」と猛烈に沸いた熱意と共に、28歳で受験を決めて、仕事の合間に受験勉強に励み、無事に合格。合格した時は本当に安心してホロリと涙が流れました。合格までの道のりは以下のnoteにまとめています。 なぜ、大学院に通いたかったのか。それは、実践現場でどうしたら良いかわからない複雑で絡み合った問

沖縄移住の決め手は過去の自分からのてがみ!キッカケをくれたHYメンバーにありがとうを伝えた話 | 沖縄移住8年目のレベル上げ日記

めんそ~れ! niraimarie(ニライマリー)です。 初めての投稿となった前回の自己紹介では、たくさんの方にスキ!していただき、驚くとともに本当に嬉しく思います。 にふぇ~で~びる! 誰しもが人生において1度くらいは、映画になりそうな大きな出来事があるのではないか?と思います。 私は絶対的にこれだ!と言える素敵な事件が既に起きていて、それこそが沖縄移住のきっかけになりました。 大きな出来事とこれから出逢う方や、今日あまり前を向けなかった方に「自分の人生ってもしや夢が

【モネ 睡蓮のとき】で浸る印象派@国立西洋美術館

前売り券を買おうか迷うほど行こうと思っていたのに、気がついたら年を越し、これはヤバいぞと思ったらあっという間に2月。 駆け込みで土日祝チケットを購入し、週末17時からの枠で滑り込みで行くことができました。会期終了間際なので混み具合のレポは省こうと思ったのですが、今後も面白そうな展示が催されそうなので念の為書いておくと、会期終わり間際は混みすぎてゆっくり見れないので、終わりでは無い方が良いと思います。 チケットがあったのですんなり入れましたが、17時では当日券20時30分の

【第14回】綺羅星とオーロラが彩る夜空|ニュージーランド(前編)

数々の極地・僻地に赴き、想像を超える景色に出会ってきたネイチャー・フォトグラファーの上田優紀さん。ときにはエベレスト登山に挑み、ときにはウユニ塩湖でテント泊をしながら、シャッターを切り続けてきました。振り返れば、もう7大陸で撮影してきているかも!? そこで、本連載では上田優紀さんのこれまでの旅で出会った、そして、これからの旅を通して出会う、7大陸の数々の絶景を一緒に見ていきます。第14回からはニュージーランドへ。世界一とも称されるテカポの星空を見に行きます。 きっかけは航空

ビエネッタを長年、毎シーズン必ず食べ続けていた私が3日間かけて全シリーズの食べ納めをしたお話(完全版)

みなさまどーも、もちさんです。 今回は、ビエネッタが販売終了と聞いて、その日のうちにビエネッタお別れ会(食べ納め)をした私の話です。 その後、お別れ会から3日以内にバニラ味、ティラミス味、カップビエネッタとそれぞれお別れ会をやりました。 1人のビエネッタファンとして、販売終了する全商品とお別れしたいですからね! 今回は、エッセイです。 久々にnote単体での更新になります。 新たにマガジンも作りました。 エッセイ分野もぼちぼち分けていきます。 いつもよりも勢い、愛

中学一年生の春。約4,000文字にのぼる手紙を親友から貰った話。

小学校を卒業して、中学校に上がった春。 小学生の時にできた生まれて初めての親友から、A4の紙ぎっっちりに書かれた18枚の、約4,000文字にのぼる手紙を貰いました。 手紙の入った大きな茶封筒には、2007.4.14かきはじめ、2007.5.2かきおわりと書かれていました。 つまり2週間もの時間を割いて、私に手紙を書いてくれたということです。 その親友(以下まりこ)は中学受験をしたので、中学校はバラバラに進学しました。 小学2年生の時に私のクラスに転校生として入ってきたまり

ジムに入会した話

ジムという場所はマッチョの巣窟であり、マッチョとは恐らく生徒指導の教師のように厳しいに違いない。 東大の赤門並みに敷居が高いジムの自動ドアをくぐり、私のような気持ちも体もたるみきった奴が「入会希望なんですが…」なんて言葉を零そうものなら 門前払いした後に塩を撒くかもしれない。だってジムに通う人は間違いなくストイックに体を鍛えた人間ばかりで、鶏むね肉とブロッコリーを主食とし、世の中のスイーツは視界に入らず、「太った!たるんだ!」と日々囀る私みたいな人間を鼻で笑っている人ばかりに

NoNoGirlsに世界を変えてほしいと願ってしまう

女性に対する視線の厳しさに嫌になることがある。何か大きなきっかけがあったわけではない。 他人の容姿、体型にとやかく言う人ってなんでこんな多いんだろうとか。 男性アイドルは30〜40代まで続けている人もいるのに、女性アイドルは20代で卒業する人がほとんどなのはどうしてだろうとか。 日常のふとした瞬間に、女性にとっての「美しさ」と「若さ」の価値が、男性にとってのそれよりも高くて、失ったら二度と手に入れられないもののような気がしてくる。 今活躍しているアイドルの方々はこうした厳

祖母の靴下

京都だか鎌倉だかどこだったか。とにかく歴史のある観光都市のお土産物屋さんで、祖母へのお土産に靴下を二足買った。控えめな和柄で、足の裏に滑り止めがついたもの。「転けるのが怖い」と常日頃から言っている祖母にぴったりだと思った。 何をあげたって喜んでくれる祖母なので、もちろん靴下もそれはそれは喜んでくれて、よく履いてくれていた。もしかしたら私と会う日に敢えて履いてくれていただけかもしれないけれど。 数年前に祖母が亡くなり、葬儀や何やらも終わって少し落ち着いた頃、母が突然に靴下を