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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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#洋楽

【第67回グラミー賞】「天才優等生」ビヨンセ&ケンドリック・ラマーの勝因3つ

 「10年で最高の受賞結果」と喝采された第67回グラミー賞。それこそ、この10年間の批判の大元となっていた「不遇の天才」ビヨンセとケンドリック・ラマーがついに大勝を獲得したのだ。まぁ「不遇」といっても熱烈な支持層を持つジャンル部門の寵児ではあり、今回の成功も年長者から評価されやすい「優等生」ぶりが効いた気がしている。アワードレースの観点からすると、浮かんでくる勝因は三つ。 ジャンル票田 熟練技能と音楽史への忠誠 会員層の変革 ジャンル  (くわしくは前記事参照として

THE 30 BEST ALBUMS 2024 -BIG LOVE RECORDS-

2024年もありがとうございました 今年も素晴らしい曲と作品とレコードに何度も感動させてもらいました レコードを購入し続けてくださった皆様、感謝申し上げます 2024年のベスト・ソングスに続きBIG LOVE RECORDS による2024年のベスト・アルバム30枚です こちらのコメントは書きながら思いついたのだけ適当ですが2025年の1月3日に金曜日恒例のBIG LOVE RADIOをやる予定なのでそちらで選んだレコードについて話したいと思います では 30位 Pri

Definitely日本一わかりやすいオアシス入門...Maybe

イナズマイレブンで真似できそうな技と言えばトリプルディフェンスだよね、どうも○代目です。 イナズマイレブン懐かしいですよね。僕はちょうど世代ドンピシャだったので学校でよく真似たりしてたんですけど、その頃の保健室といえばキラースライド(という名のシンプルな削り)で負傷者がごった返してましたよね。平成10〜15年生まれの皆さんならピンと来るはずです。冒頭で触れたトリプルディフェンスという技なんですけど、ゴールキーパーの円堂守の背中をディフェンダーの栗松と壁山が支えて守るっていう

「渋谷系」とは何だったのか?|佐々木敦『90年代論』第3回

フリッパーズギターの登場  1987年、当時はまだ10代だった5人の若者がバンドを始めます。名前はロリポック・ソニック、東京都内のライブハウスに出演して少しずつ存在を知られるようになり、カセットで音源をリリースしたのち、バンド名をフリッパーズ・ギターに改名、レコード会社ポリスターと契約し、1989年8月にアルバム『three cheers for our side~海へ行くつもりじゃなかった』でデビューしました。このアルバムは当時の日本のバンド、それも新人の一作目としては極め

追悼・音楽・Shaun Martinの遺産

アメリカのキーボーディスト、Shaun Martin(ショーン・マーティン)が、2024年8月に亡くなりました。 亡くなったという知らせをみたときに、自分でも予想以上のショックを受け、その後引きずっていました。 その気持ちを整理するために、この記事を書きました。 日本語では、既に他の記事で、彼の功績やインタビューが掲載されています。 そこでここでは、私個人(鍵盤を弾くことができます)が、Shaunの好きだった演奏などをまとめて、追悼します。 改めて振り返ると、Shaun

本気で選んだ最も偉大なアーティスト ランキング 〖前編〗TOP100~51

○傍若無人なローリング・ストーン誌ここ数年ローリング・ストーン誌はかつて自分たちが定めてランキングを改訂しているが、その選定基準は疑問に思うばかりだ。なにせ、バランスがグチャグチャなのだ。今まで保守派を貫いた反動で、過度に伝統的な名盤やアーティストを下げ、その空いた枠をこれまで過小評価を受けてきたミュージシャンが埋める形になっているため、「エリック・クラプトンが偉大なギタリストTOP30に入らない」「Hey judeが偉大な曲TOP50に入らない」という流石にやりすぎじゃない

【フリー・ソウル秘話】橋本徹×高橋晋一郎の30周年記念対談

 1994年の第一弾リリースから30周年を迎えた日本を代表するコンピレーション・シリーズ「フリー・ソウル」をご存知ですか。このコンピレーションは、70年代のソウル・ミュージックを中心にしながらも、ヒップホップやジャズ、ロック、シンガーソングライター、ブラジル音楽やラテン音楽、映画音楽など、あらゆる音楽ジャンルの垣根を越えて、グルーヴィー&メロウに時代の空気をとらえていく点が新しく、それまでのコンピレーションとは一線を画し、異例の大ヒットを記録しました。それは現在のサブスク音楽

「洋楽離れ」をデータから検証する:日本だけじゃない? 変わる音楽の世界地図

皆さんは最近「洋楽」を聴いていますか…? ここ数年、音楽業界では「日本の洋楽離れ」が話題になっているようです。 確かに、日本のヒットチャートを席巻しているのはほとんどが日本の音楽かもしれません。一見すると日本独自の現象のようにも思えます。ただ、データから世界を見てみると、少しちがった風景が浮かび上がってきます。 実は「洋楽離れ」は、日本だけの現象ではないようです。世界中で、いわゆる「洋楽」のヒット曲、特にアメリカのポップミュージックヒット曲の直接的な影響力が徐々に変化して

Charli xcx: クラブカルチャーの熱気と洗練されたメインストリームのポップミュージックが見事に融合した新作『BRAT』

文:Jun Fukunaga 現代のポップミュージックシーンに新風を吹き込む革新的な作品 これまでに幾度となくポップミュージックの境界線を押し広げ続けてきたCharli xcx(チャーリー・エックス・シー・エックス)。クラブカルチャーの熱気と洗練されたメインストリームのポップミュージックが見事に融合した本作『BRAT』は、現代のポップミュージックシーンに新風を吹き込む革新的な作品に仕上がっている。 Charli xcxの経歴 イギリス出身のCharli xcxは、10

謎と文脈 -bar italiaとgreat area-

ミステリアスなbar Italia、謎に包まれたgreat area、謎が謎を引き寄せ香りを放ち、僕らはその匂いに吸い寄せられる。調べれば全てがわかりそうに思えるインターネット時代において、わかららないというのはなんとも新鮮で魅力的に思えてくる。神秘のベールに包まれているから知りたくなって、追いかけてわかったように思えてもすぐさま煙に巻かれてまたわからなくなる。その繰り返し。Dean Blunt and Inga Copelandの時代からそれらはずっと続いている。 そんな

【Dontae Winslow】カマシ・ワシントンのトランペッターを掘り下げる

カマシ・ワシントンの新作『Fearless Movement』がリリースされましたね。 カマシについてはいろんなところでいろんな人が書いていると思うので、ここでは先行カットの「Prologue」で鮮烈なソロを披露していたトランペッター、ドンテ・ウィンスローのキャリアを掘り下げていこうと思います。 ドンテ・ウィンスローはジャズ・トランペッターでありながらエミネムやDr.ドレのオーケストレーションを手掛け、ジャスティン・ティンバレイクの右腕としてツアーを回っている、という話を

レコードショップをオープンした日の話(1/2)

あいまいな音楽・場所・お店づくりの話① はじめに/SALOについて 神奈川県大磯町の海岸近くに、2022年末オープンしたスペース SALO(サロ)。 「STUDIO AND LIBRARY OISO」の頭文字から名づけられたこの場所は、録音スタジオからなる2-3Fと、ライブラリー部分の1Fをコンセプトにスタートした場所です。 ●録音スタジオ/ライブ・イベント会場 ●レコードショップ ●食堂とコーヒー、ナチュラルワイン ●ギャラリー などなど、様々な要素を持って

第66回グラミー賞反省会 「白い平凡さ」は白くないかもしれない、それが問題だ

 第66回グラミー賞授与式の雑感。もろもろのあらすじは↓ 予想どおりでいつもどおり 予想どおりのBIG4:すべてオッズどおりの結果。くわしくは前記事の後半に書いたけど「もっとも勝ちやすいノミニー」がストレート勝ちした。BNAヴィクトリア・モネは最多ノミニーでありエンジニア受賞者。ROTYマイリー・サイラスはディープ演奏の懐メロラジオヒット。SOTYビリー・アイリッシュは少人数による伝統的ソングライティング。AOTYテイラー・スウィフトはソフトでコンパクトな広範リーチ A

2023年ベストアルバム10選 #AOTY2023

 色んなことがあった2023年もいよいよおしまいですね。音楽業界は、国内外問わずかなり多くの悲しいお別れがあったような気がします。でも、どんな時でも音楽がそばに居てくれる。改めてそう思った1年でした。  ちなみに、今年の上半期ベストはこんな感じです。  年・月ごとに選んだ好きなアルバム記事をまとめたマガジンは以下の通りです。あわせてどうぞお楽しみください。  それでは、12/8までに聴いた634枚から選んだ、2023年ベストアルバムをご紹介します。 ※以下、順不同。コメ