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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2024年9月の記事一覧

「渋谷系」とは何だったのか?|佐々木敦『90年代論』第3回

フリッパーズギターの登場  1987年、当時はまだ10代だった5人の若者がバンドを始めます。名前はロリポック・ソニック、東京都内のライブハウスに出演して少しずつ存在を知られるようになり、カセットで音源をリリースしたのち、バンド名をフリッパーズ・ギターに改名、レコード会社ポリスターと契約し、1989年8月にアルバム『three cheers for our side~海へ行くつもりじゃなかった』でデビューしました。このアルバムは当時の日本のバンド、それも新人の一作目としては極め

【独断&偏見】サザンオールスターズ&桑田ソロ、アルバムランキング

江ノ島が見えてきた〜俺の実家はひたちなか〜 というわけで我が地元ひたちなか市にサザンオールスターズがやってきます!!! ぶっちゃけ最近のロッキンには変わり映えのしないいつメンばかりのラインナップに、蘇我移転とかで関心を無くしてたんですけど、サザンが来るならちょっと行くのもありかなって思った今日この頃。やっぱり地元ひたちなかで久しぶりのロッキンだし、それにこの機会を逃したらサザンなんていつ見れる?って話になるわけで。 そういうこともあって、これを機にサザンと桑田ソロ全部聴

JAE5's Discography

※JAE5が好き過ぎて自分用にまとめたただのファンページです。 プロデューサー兼ミキシングエンジニアである1992年生まれのガーナ系イギリス人のJAE5。J Hus、Burna Boy、NSG、Skepta、Rema、Wizkid、Dave、BNXN fka buju、Koffee、Popcaan、Blaqbonez、Sam Smith、Mark Ronson等のアーティストをプロデュース。Afroswing、Afro-fusionを得意とする。 JAE5 - Dimen

70年代のLEON RUSSELLの作品

レオンラッセルと聞いて直ぐに浮かぶのは「レオンラッセルと彼をとりまくサムライ達」70年代にニューミュージックマガジン誌に長期間連載されたコラムだ。 福田一郎さんが執筆していたのだが、私にはマニアック過ぎて理解不能だった。今なら興味を持って読めるだろう。 レオンはオクラホマのタルサで生まれた。 10代から音楽活動を始めていたので音楽キャリアはとても長い。 レオンに注目が集まったのはジョーコッカーの「マッドドックス&イングリッシュメン」とジョージハリソンの「バングラデシュコンサー

【寄稿】ユリイカいよわ特集 + こぼれ話

先日発売された『ユリイカ 2024年10月号 特集=いよわ』にインタビューと論考で参加しました。それぞれ「止められない時間の感触」と「多様なボカロ曲――いよわを通して見るシーンのバラエティ」というタイトルです。この記事では告知を兼ねて、原稿についての話や、そこには入れられなかったこぼれ話をささっと書いてみたいと思います。 そもそも、これまで『ユリイカ』のボカロ関連の特集というと、2008年末の初音ミク特集が唯一でした。つまり、約16年ぶりにして2度目の特集がいよわ特集という

interview Thandi Ntuli:ポスト・アパルトヘイトの南アフリカを癒すピアノの響き

南アフリカは世界屈指のジャズ大国だった。アフリカのジャズと言えば、ダラー・ブランドやヒュー・マセケラをはじめとした南アフリカのレジェンドの名が浮かぶという人も少なくないだろう。 そんな南アフリカのジャズはUKのBrownswood recordingsが『Indaba is』という編集盤がリリースしたこと、名門ブルーノートがンドゥドゥゾ・マカティニと契約したことなどにより、2010年代末、何度目かの脚光を浴びることになった。 何人かの名前がその中心人物として知られることに

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[インタビュー] Lil Chop Record Shop

新しい音楽レーベルを意識するのはまず音楽が先で、いいなって思ったバンドの曲を出しているこのレーベルはどんなレーベルなんだろうと興味を持つのがほとんどだと思う。あぁこれもそうなんだ、これ好きだと繰り返しているうちに、いつしかそれが逆になりこのレーベルの出している音楽だからチェックしてみようかってそんな状態になるというのがよくある形なのではないだろうか。ジャンプっぽいとか、サンデーっぽいとか漫画雑誌になんとなくのカラーがあるのと同じように音楽レーベルにもカラーがあって、聞いている

偏愛音楽。 エレピ、好き。

「偏愛音楽。」の10回目は、これこそ「偏愛」という表現に相応しいと思うのですが、エレクトリック・ピアノ(エレピ)の演奏が聴けるピアニストたちのアルバムをセレクトしました。 僕はエレピの音がとても好きです。その音色の煌めきとなんとも言えない揺れの感覚、それだけでも僕にとって素敵なアルバムになってしまいます。普段はアコースティックなピアノを弾いている演奏家が弾くエレピって、とても色気があると思いませんか。そして電気を通した楽器でありながらどこか温かさを感じさせるし、その音色だけ

渋谷の歴史 : CISCO RECORDS/レコードショップ・シスコの歴史

「渋谷系」サブカルチャーを支えた「レコードショップ・シスコ」の歴史 サブカルチャーにはそのシーンを支える「店での買い物」が不可欠である。「店」がなければそのカルチャー自体が成立しないと思う。 特に「渋谷系」と言われるサブカルチャーにはレコード店そのものと、その店でレコードを買う行為が非常に重要だった。そして70年代初頭から「渋谷系」のシーンを牽引した「輸入レコード店」のレコードショップ・シスコは特別な存在だった。 もう17年前・・・2007年12月10日、渋谷のシスコ坂の

北海道・札幌の乙女絵画にインタビュー(と称した友達作り)前編|HTML感、新歓失敗、7/17 企画ライブ

はじめに「インタビュー」の名目で気になる人と話をすれば友達を増やせる。閉店間際のガストでカルピスとトロピカルアイスティーを混合させたオリジナルドリンクを片手にGoogleドキュメントを編集している最中、天啓のように閃いた名案です。 ライターという立場を使ってアーティストとお近づきになり、半ば職権を濫用して懐に入り込み、親睦を深めながらお互いを確認する。したい。自分だけできてないのはズルい。だからする。これは休日をPCとの睨めっこで消費するだけのライターが寂しさを埋めるため

追悼企画~ブラジル音楽の伝道師、セルジオ・メンデスってどんな人!?その功績に迫る!

TBSラジオで毎週金曜日8時30分~午後2時まで放送の「金曜ボイスログ」 シンガーソングライターの臼井ミトンがパーソナリティを務める番組です。   このnote.では番組内の人気コーナー 「臼井ミトンのミュージックログ」の内容を書き起こし。 ちなみにyoutube版では動画も公開しているのでそちらも是非。 ■セルジオ・メンデスの音楽的役割とは? ブラジル出身のピアニスト、作編曲家、プロデューサーのセルジオ・メンデスが亡くなったというニュース(2024/9/5)が入って来ま

interview Davi Fonseca:ミナスで生まれた"脱植民地化を目指すブラジル独自の音楽"

ブラジルのミナス地方を核にした音楽コミュニティはアントニオ・ロウレイロやハファエル・マルチニらの登場により21世紀に入っても面白い場所であり続けている。 彼らの面白さはクラシック音楽を基盤にした高い水準の演奏技術や作編曲能力に加え、現代のジャズをはじめとしたグローバルなサウンドをも消化していること、そして、ブラジル由来の音楽要素を丁寧に織り込んでいること。世界的な流れとも共振しつつ、同時にブラジルでしか生まれえない側面も強く感じさせる。そのあり方はまさに彼らの先人でもあるミ

¥300

追悼・音楽・Shaun Martinの遺産

アメリカのキーボーディスト、Shaun Martin(ショーン・マーティン)が、2024年8月に亡くなりました。 亡くなったという知らせをみたときに、自分でも予想以上のショックを受け、その後引きずっていました。 その気持ちを整理するために、この記事を書きました。 日本語では、既に他の記事で、彼の功績やインタビューが掲載されています。 そこでここでは、私個人(鍵盤を弾くことができます)が、Shaunの好きだった演奏などをまとめて、追悼します。 改めて振り返ると、Shaun

本気で選んだ最も偉大なアーティストランキング 〖後編〗50~1位

後編です‼️ 前編は淡々とアーティストを紹介してたんだけれども、流石に後半になってくると、その偉大さとともに熱量を帯びてきてかなり文量が多くなってしまった。別にマニアを唸らせるような豆知識などなく、むしろミーハーっぽい文章なのだが、それでも読んでくれるとありがたい。 ちなみに前回(前編)の記事はこちら↓↓ 50位 ミッシーエリオット(+ティンバランド) R&Bの持つ前衛さを極限まで煮詰めた存在が彼らなのかもしれない。 元々、2人はソングライターとしてアリーヤやSWVに楽