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偏愛音楽。 エレピ、好き。

「偏愛音楽。」の10回目は、これこそ「偏愛」という表現に相応しいと思うのですが、エレクトリック・ピアノ(エレピ)の演奏が聴けるピアニストたちのアルバムをセレクトしました。

僕はエレピの音がとても好きです。その音色の煌めきとなんとも言えない揺れの感覚、それだけでも僕にとって素敵なアルバムになってしまいます。普段はアコースティックなピアノを弾いている演奏家が弾くエレピって、とても色気があると思いませんか。そして電気を通した楽器でありながらどこか温かさを感じさせるし、その音色だけでもなんかメロウで洗練を帯びた音楽に感じるのです。

エレピといえばこのWurlitzer
そしてこのFende Rhodes

今回はジャズ系のアルバムを中心にエレピの演奏が聴ける作品をセレクトしました。各アルバムとも全編エレピというわけではありません。ピアノの曲もあります。あまりたくさんのディスクを紹介しても聴く気にならないと思うので、今回も10枚だけに絞り、各々に簡単なコメントを付しました。あくまで僕の偏愛するアルバムで、名盤紹介ではありません。誤解のないように。

そういえば以下にセレクトしたOsmar Militoが先日(9月23日)亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします。

ちなみにこれまでの「偏愛音楽。」はこちらにマガジンとしてまとめています。




Ahmad Jamal - Freeflight (Live At Montreux Jazz Festival / 1971)

本作は、1971年にリリースされたMontreaux Jazz Fes.でのライブ・アルバム。彼の革新的なピアノ演奏と独特のタイム感が聴ける好盤。ライブ演奏のダイナミズムと即興性が最大限に発揮されたアルバムであり、ピアノと共に彼の煌びやかに揺れるエレピも聴ける作品です。


Bill Evans - The Bill Evans Album

Evansがエレクトリック・ピアノを使用した数少ない作品の一つであり、アコースティック・ピアノとエレピの両方を駆使して、新しい音楽的な方向性を模索しています。詩的な彼のピアノ表現にエレピという新しい武器を導入して、それでもなおEvansの音楽として立派です。


Chick Corea and Return to Forever - Light As A Feather

エレピといえばChick Coreaの「Return to forever」ですが、1973年リリースの本作ももちろん素晴らしい。このアルバムは、ブラジリアン・ジャズとフュージョンを融合させた特徴的な音楽スタイルで、「Spain」や「500 Miles High」など、代表的な楽曲が収録されています。


The Frank Cunimondo Trio - Echoes

Frank Cunimondoは、ピッツバーグのジャズピアニスト。スムーズでリラックスしたトーンが美しく。軽快なリズムと柔らかなエレピの演奏がこの上なく心地よいアルバムです。彼の繊細でメロディアスなスタイルが堪能できます。メロウなエレピの代表格です。


Mayafra Combo - Jazz From Italy - Mayafra

これはメロウなイタリアン・ジャズです。基本的にSonnie Taylorの端正なピアノに、Roberto Haliffiのパーカッション、そしてそれをグルーヴィーに支えるRoberto Calleroのベース、そして儚げな女性の歌声を加えた、これも心地よいアルバムです。「Mayafra Blued Walts」が最高。


Osmar Milito - Viagem

Osmar Militoの1974年作。女性コーラスは時々出てきますが基本インストです。Osmar Militoの繊細かつお上品なエレピとピアノを楽しむ盤です。メンバーにPaulo Moura, Luiz Claudio, Chico Batera, Luizaoなど。美しい音楽ですが、groovyな演奏でもあります。


Pete Jolly - Seasons

アメリカのジャズピアニスト、Pete Jollyの1970年にリリースされたアルバムです。本作は、タイトル通り季節の変化をテーマにしたコンセプトアルバム。アルバム全体を通じて、Jollyのピアノ/エレピの演奏がリリカルで、季節ごとの風景や感情を巧みに表現しています。


Romano Mussolini - Jazz from Italy - Soft & swing

Romano Mussoliniは、その名から推察する通り、独裁者ムッソリーニの息子なのだそうですが、もちろんそれは音楽とは全く関係がありません。その演奏はメロディアスで、タッチが繊細で、エレピを中心に情感豊かなサウンドが心地よい作品です。


Som Ambiente - Som Ambiente

ゆるゆるです。プロデューサーは才能溢れるDurval Ferreira。メンバーは、Alex Malheiros、Ivan Conti、José Roberto Bertrami。ということはAzymuthのメンバーを主体としたプロジェクト。全体的にしっかりと力が抜けた、万人等しくゆるゆるできる好盤と思います。


Steve Kuhn - Steve Kuhn

Steve Kuhnといえば、僕は「Trance」や「Ecstasy」などの、リリカルでいて煌びやかな爆発力を感じさせる演奏が好き。本作ではGary McFarlandのアレンジのもと、彼のヴォーカルとそしてエレピも聴けるアルバムです。「Trance」につながるアヴァンギャルドな側面も残しつつ。


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