ノンマリ連載短編小説 「夢語部(ゆめかたりぶ)」 #7 アケビの声
第七夢
『アケビの声』
アケビはよく喋る果実だ。淡い紫色の衣を纏い、生白く柔らかい肌を持つあの果実は、山に響き渡るような声でおしゃべりをする。
「どうしてそんなに大きな声でしゃべるんだい」
「だって、最近の人間ときたら、私の美味しさに気づきもしない」
憤慨しているらしいアケビは、枝葉をばさばさと揺らして抗議する。確かに、最近アケビを食べる人間は少なくなっている気がするが、私はそれで丁度良いのだと思う。
「私が食べるから、どうかそんなに怒らないで。折角の美味しい実が弾