ノンマリ連載短編小説 「夢語部(ゆめかたりぶ)」 #4 恐竜と花
第四夢
『恐竜と花』
幼い頃から仲の良かったユタラプトルが、結婚を考えている恋人を紹介したいという。相手はティラノサウルスらしく、生息時代も体型も全く違う相手で、この子は幸せになれるのだろうかと心配になる。
見晴らしの良い草原に、ユタラプトルがティラノサウルスを連れてきた。ティラノザウルスはシャイな子で、人間と会話をするのは初めてらしい。
「初めまして、握脚」
握脚とは握手の脚バージョンで、彼の後ろ脚の腿を触れさせてくれた。これは狩人であるティラノサウルスにとって、最大級の親愛表現なのだという。私はティラノサウルスを乱暴な恐竜ではと心配していた自分を恥じた。
ユタラプトルの結婚式はつつがなく決定された。私は二人に似合う花飾りを選ぶ。恐竜達の結婚式には、友人が選んだ花が欠かせない。
私は花を選ばせてもらう光栄を感じながら、目の覚めるような青色の竜胆を選んだ。
作:白旗ラメント
★一話先行公開中★
第五夢『マニキュアの森』
https://nonmari.jp/series/s001105/
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