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ノンマリ連載短編小説 「夢語部(ゆめかたりぶ)」 #8 クリオネ様のやや


第八夢
『クリオネ様のやや』

クリオネは流氷の天使と呼ばれるが、実は異世界から降り立った荒神の分霊なのだという。クリオネが1000匹集まると、本来の姿を取り戻したクリオネ様になる。

クリオネ様は白い着物を着た女性で、人間の言葉は話されない。我々とは次元の違う言語を有されているらしい。ただ時折、クリオネ様は「やや」と仰られる。

クリオネ様が言う「やや」は、どうやらクリオネ様の「お気に入り」の意味があるらしい。クリオネ様は「やや」と呼んだ人間からしか食事を受け取らない。

近所に住む14歳の男の子も「やや」だ。反抗期真っ盛りのその子は、最初こそクリオネ様を嫌っていた。しかし、クリオネ様があまりに悲しい顔で「やや」と呼ぶので、その子は根負けしたらしい。

今日も14歳の「やや」は、クリオネ様に食事を食べさせ、時にはクリオネ様に語り掛けることもする。クリオネ様は幸せそうに、今日もクリオネとなり彼の周りを浮かんでいる。


作:白旗ラメント

★一話先行公開中★
第九夢『綻び学者』
https://nonmari.jp/series/s001109/


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