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ノンマリ連載短編小説 「夢語部(ゆめかたりぶ)」 #5 マニキュアの森


第五夢
『マニキュアの森』

マニキュアの森には美しい爪を持つ女王が住んでいる。女王はマニキュアを塗る行為を愛していて、好きなあまりに自分の両手足では足りないと怒るのだ。だから、森にやって来た人間の両手足を奪い取り、それにマニキュアを塗るのだという。

森には高価なマニキュアがたくさん生っている為、マニキュアを収穫する為に森へ侵入する人達も多い。それで、両手足を失う人も多いのだ。
私は生まれつき爪が無いので、マニキュアの森に行ったところで両手足を取られることはない。だから安心して、女王とお茶会を開くことが出来る。

「お前は爪が欲しくないのかい」
「爪があったら女王様と仲良くお茶会なんて出来ませんから」

そういうと、女王様は照れてしまうらしく笑顔を見せる。恥ずかしがって頬を押さえる時、マニキュアが一番美しく彩られるのは、私だけが知っている幸福だ。


作:白旗ラメント

★一話先行公開中★
第六夢『かくれんぼろうそく』
https://nonmari.jp/series/s001106/


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