弁護士 横溝 昇

50期 弁護士(東京弁護士会) 2017.7~2020.7国税審判官(任期付公務員)

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最近の記事

法定相続情報証明制度が使えない場合

相続手続において、戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本をそろえる手間が大変で、法務局の法定相続情報証明制度を利用することで、手続ごとに揃える手間が省けることができ大変便利になりました。 ところが、最近、法定相続情報証明制度が利用できない場合に遭遇しました。 法定相続情報証明制度は、戸籍謄本等を法務局に提出し、法定相続情報一覧図を確認してもらう手続ですが、戸籍謄本等のみで判断されるため、戸籍がつながらないと法定相続情報証明制度が利用できないのです。 現在はコンピューター管理

    • 改正個人情報保護法が施行されています。

       以前令和2年改正法について投稿しましたが、それらが令和4年4月1日から施行されました。  また、令和3年改正法のうち、国の行政機関・独立行政法人等関係についての部分も施行されています。  第三者提供の制限(23条→27条)など、今までなじみのあった規定も条番号が変わっているものがありますので注意が必要です。

      • まだ残っている抵当権・根抵当権の登記・仮登記の抹消(必要書類)

        以前、このような記事を書きましたが、  裁判所に訴訟を起こすにあたりご用意いただきたいものです。  ・不動産登記簿謄本(全部事項証明書)ー法務局でとれます。  ・契約関係書類(あれば)  ・返済の関係書類(振込明細等、あれば)  ・住民票(登記簿記載の住所と現住所とのつながりの確認のため)  ・裁判所の予納金(10万円とされることが多いです)  不動産登記簿謄本はインターネットからでも取得手続きができますし、住民票は弁護士でも取得可能ですが、スムーズに進めるためにはご用

        • 名簿業者と個人情報保護法1

           令和2年個人情報保護法改正により、名簿業者の業務が規制が強化されたといわれています。  そこで、名簿業者にかかわる個人情報保護法について、少しまとめたいと思います。  なお、(〇〇条→▲▲条)との記載は、令和4年4月1日施行の改正法により変更となるものです。  名簿等の取得  個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならないとされています(17条→20条)。  したがって、名簿業者であることを隠していたりや当該名簿を提供等をするという利用目

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        • 相続・遺産分割
          13本
        • 中小企業と個人情報保護法
          15本
        • 離婚・養育費
          8本
        • 遺言をするときの注意点
          5本
        • 国税不服審査
          5本

        記事

          まだ残っている抵当権の登記

           SFCG(旧商工ファンド)は、平成21年4月に破産手続開始決定を受け、破産手続が進められていましたが、令和元年12月に破産手続終結決定が出され、手続が終わりました。  通常は、破産手続きの中で処理される抵当権や根抵当権の処理がされておらず、まだ登記や仮登記が残っている不動産があるようです。  弁護士に復帰して1年になりましたが、1年間で複数回ご相談とご依頼がありました。  SFCGの抵当権の登記が残っている不動産を売却しようとしたときに、はじめて気づかれる方も多いよう

          まだ残っている抵当権の登記

          所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し

           ご無沙汰しております。  久しぶりに投稿したいと思います。  令和3年4月21日に「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)が成立しました。  いわゆる所有者不明の土地についての対策が主なものですが、個人的に注意しなければならないと思ったのが、相続開始後10年以内に遺産分割が行われなかった場合の規律です。  今までは遺産分割に期限はないんですよーなんて法律相談で話して

          所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し

          令和2年 個人情報保護法改正について5(個人関連情報)

           令和2年改正では個人に関する情報についての新しい定義に基づく規律が創設されています。その一つが「個人関連情報」です。 背景 自社では個人情報(個人データ)に該当しない情報であっても、提供先にとってはその情報が個人データとして取得するものである場合があります。  「インターネット上のユーザーデータの収集・蓄積・統合・分析を行う、「DMP(Data Management Platform)」と呼ばれるプラットフォームが普及しつつあり、この中で、クッキー等の識別子に紐付く個人

          令和2年 個人情報保護法改正について5(個人関連情報)

          離婚のときに決めなければならないこと、決められること

           離婚を考えるとき、必ず決めなければならないこと、離婚届を出すときには必要ないけれども、請求するためには一定の期限が定められているもの、などがあります。その点の整理をしたいと思います。 1 必ず決めなければならないもの~親権 「親権」とは、簡単にいうと、未成年の子供のために監護・教育を行ったり子の財産を管理したりする権限であり義務です(ごくまれに親権から監護権のみを分離することもあります)。  夫婦の間に未成年のお子さんがいる場合には、親権者を定め(民法819条)、離婚届に

          離婚のときに決めなければならないこと、決められること

          令和2年 個人情報保護法改正について4(罰則の強化)

          令和2年の改正で罰則(ペナルティー)強化されました。 この罰則の強化については、令和2年12月12日から施行され、施行日の行為に適用されます。他の改正規定とは施行日が異なっているので注意が必要です。 個人情報保護委員会の命令(42条2項・3項)に違反した場合 6月以下の懲役又は30万円以下の罰金       → 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(改正法83条) 個人情報保護委員会に虚偽報告等をした場合(85条) 30万円以下の罰金       →50万円以下の罰金

          令和2年 個人情報保護法改正について4(罰則の強化)

          どこから手を付けるか~中小企業と個人情報保護法8

           法律およびガイドラインで示されている安全管理措置について以前述べました。  https://note.com/noboru_mizo/n/nd006ac2a8621  何から手を付けてどうすればよいのか、ということについて簡単に述べたいと思います。 1 どんな情報を持っているのか=「個人情報」を持っているのか? 従業員の情報なのか、取引先、顧客など外部の人の情報なのか。  その内容は何か、住所?メールアドレス?ID?電話番号?防犯カメラの映像?  それだけで「個人情報

          どこから手を付けるか~中小企業と個人情報保護法8

          法定相続情報証明制度

           亡くなられた方の保有されていた財産の名義変更などの相続関係の手続には、戸籍謄本・除籍謄本などを多数取り寄せをしなければならない上に、手続先ごとに何度も要求され、非常に面倒くさい思いをされた方もいらっしゃると思います。  平成29年5月29日からこの煩雑さを解消することを意図した「法定相続情報証明制度」の運用が始まっています。 「法定相続情報証明制度」とは 戸籍謄本等を取り寄せて法定相続人を確認し、それを所定の法定相続情報一覧図を作成したうえで、登記所(法務局)に戸籍謄本

          法定相続情報証明制度

          令和2年 個人情報保護法改正について3

           令和2年個人情報保護法改正の3は、オプトアウトに関連した改正についてです。 オプトアウトとは 第三者に提供される個人データ(要配慮個人情報を除きます)について、本人の求めに応じて提供を停止することとしている場合で、あらかじめ、以下の項目について、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いた上で、本人の同意を得ずに第三者に提供することをいい、個人情報保護法23条2項に規定されています。  1 個人データを第三者に提供する旨  2 提供する個人データの項目  3 提供方

          令和2年 個人情報保護法改正について3

          「個人情報」の違い(国・自治体・民間)

          こんにちは、この記事に興味を持っていただいてありがとうございます。  最近、  https://twitter.com/nhk_news/status/1320189846162264064 というニュースがありました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、情報共有する必要性が増えたことによりクローズアップされたようですが、個人情報保護法法制が整備され始めたころには、既にこの問題を指摘されている学者の方がおられました。かなり前から学会などでご指摘・ご提言されていたのをお聞

          「個人情報」の違い(国・自治体・民間)

          配偶者居住権5~注意点・問題点

           こんにちは。この記事を開いていただきありがとうございます。  配偶者居住権について要件などを述べてきましたが、繰り返しになるところもありますが、注意点・問題点の観点からまとめたいと思います。 1 当然には取得できない 短期居住権(民法1037条)とは異なり、当然には権利を取得できず、遺言(遺贈)か遺産分割によらなければなりません。 2 「相続させる」旨の遺言(特定財産承継遺言)では取得できない 被相続人と話し合い、遺言で配偶者居住権の設定を残してもらおうとした場合に、

          配偶者居住権5~注意点・問題点

          令和2年 個人情報保護法改正について2

           個人情報取扱事業者の義務として新たに加えられた規定について述べたいと思います。 1 漏えい等発生した場合の報告及び通知義務 これまで漏えい等が発生した場合について、監督官庁への報告や本人への通知については、個人情報保護法には規定がなく、ガイドラインで努力義務として定められていました。  多くの国では報告等が義務化されていること、事業者、本人、監督機関にとっても、報告等がされることにより、適切な監督がされ、多くの情報提供がされることにより適切な対応につながるなど意義がある

          令和2年 個人情報保護法改正について2

          令和2年 個人情報保護法改正について1

           個人情報保護法は3年ごとに見直しをすることとされており、それを受けて令和2年6月5日に改正個人情報保護法案が可決・成立し、6月12日に公布されました。そのポイントについて何回かに分けて述べたいと思います。 1 「保有個人データ」についての短期保存データの除外規定の撤廃 「保有個人データ」とは、 個人情報保護法2条7項  個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって、その存否

          令和2年 個人情報保護法改正について1