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日々思い出す、亡くなった人たちのこと

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不意に訪れる、亡くなった人たちとの記憶について書いたnote
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#記憶

記憶の衰えと永続性、忘れることは生きることとCoccoは言ったけど忘れたくもない

記憶の衰えと永続性、忘れることは生きることとCoccoは言ったけど忘れたくもない

仕事から帰ってきたらなんだか目が痛いし物凄く眠たい。モニターを直視していたわけでもないのになぜだろうかと思ったら、花粉が飛び始めているというニュースを見てそれかとついさっきまで思ってた。

そういえば昨日、兄のデータを移したiPhoneで動画を見た後になんとなくメールとかLINEとかアドレス帳を見ていたらいろいろ思い出して大泣きしたのを思い出した。もしかしてそれで今日は目が痛いのかもしれないけれど

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母も覚えていたお皿の柄

母も覚えていたお皿の柄

先日、カフェに行って食事をしたときにお皿を見て母は「あ、このお皿。取っておけばよかったなぁ」とつぶやいた。

1人で以前このカフェに来たときに、家族で暮らしていたときに使っていたお皿と同じ柄だと気がついてとても懐かしくて写真を母に見せようとしていたのだけれどすっかり忘れてしまっていた。でも忘れてよかった。こうして母が気がついて声を発してくれた瞬間に立ち会え、こんな風に同じ思い出を共有できることはか

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記憶に残る、もわっとした匂いと肌感覚

記憶に残る、もわっとした匂いと肌感覚

コーヒーのお湯が沸いたかなぁとポットの蓋を開け覗いたとき、カセットコンロの熱と同時にもわっとした湯気を顔に浴びたとき、小さい頃よく通った越後湯沢のスキー場に、一瞬で意識は飛んでいっていた。

何本も滑り終えたあと、宿に戻りまず最初にビショビショになった手袋を大きな石油ストーブの周りに引っ掛ける。そうしないと、次滑りに行くときにビシャビシャのまま手を入れなければいけない。あれは最悪だ。

すでにある

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記憶をなくすことに憧れていた

記憶をなくすことに憧れていた

忙しくなると途中に何をやっていたのか忘れることがある。やらなければいけなかったことが確かに終わっているのかやや不安である。

夜ご飯を食べているときに母が自分のサンマを半分渡してこようとするから、もうお腹いっぱいだからいらんよと伝えると、あんた今日お昼食べていないんだからお腹へっているかと思ってと言われた。ん?そういえば、食べた記憶も食べん買った記憶もない。ただいつもお昼過ぎに飲む2杯目のコーヒー

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残ったチタンボルト、この世にはいない兄の物質

残ったチタンボルト、この世にはいない兄の物質

兄の火葬後に残ったボルト。大きな手術をしたから何本ものボルトとそれを固定するプレートも残ったのだけれど、火葬場の人にきちんと供養いたします、と言われ、とっさにはいと言ってしまい後悔したのだけれど、この1本だけは持ち帰ってきた。

やけに軽いそのボルトの素材はチタンだということを、昨日兄の友人から聞いて知った。その友人も大怪我をし、体のチタンのボルトが入ってることを話していた。チタンだからきれいな焼

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炭酸を買いに行ったのに炭酸がない

炭酸を買いに行ったのに炭酸がない

炭酸で梅シロップを割ろうとコンビニへ買い物へ行ったのに、帰ってきたら炭酸がない。

こういうの何度もある。一体いつもどの時点で忘れるのかさっぱりわからない。

梅シロップを炭酸で割りたい

コンビニへ行こう

母へコンビニへ行ってくる母に言う

母、あれとあれとあれ買ってきて

私、ならスーパー行く?

母、雨降ってきたかな、降ってきた。やめれば?

私、そだね。コンビニ行ってくる。あ

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過去の写真や文章、記憶の点と点

過去の写真や文章、記憶の点と点

サービスがどんどん進化し、過去の今日近辺の写真や文章へのアクセスが容易になりiPhoneがそういうのをお知らせしてくれる。

この時期はだいたい亡くなった兄のことばかりなのだけれど、今年は2011年の震災のあとに訪れた気仙沼や福島の写真が出てきた。Googleフォトの無制限が終わる前にアップしていなかった過去の写真をアップしていたのを忘れていたし、兄が亡くなった時期と同じだったことも忘れていた。だ

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強烈な痛みの涙は、いつだって突然やってくる

強烈な痛みの涙は、いつだって突然やってくる

ある記事のある言葉に差し掛かったとき、それは突然やってきた。目の奥が強烈に痛くなり涙が溢れた。それと同時に、6時間の手術を終えて病室へ戻った兄と対面した光景が浮かび上がる。

衝撃的なことが起きたとき見たもの、感じたことと瞬時に繋がり、同時に涙が生じる。涙を流すときのなかでもっとも辛い。

なにかの話をしているときにたまに泣いてしまうときがあって、とても心配されるのだけれど、そういうときは大概が想

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残されたものが喪失の気持ちに寄り添う

残されたものが喪失の気持ちに寄り添う

先週、とある研修で子どもの喪失についての講義を受け、そのとき、ハメパチキーホルダーに指紋をつけるキーホルダーを作った。

別れを免れられないとき、何か残せるものとして、ハメパチキーホルダーの中に好きな折り紙の入れ、スタンプをつけた親子の指をペタっとして閉じ込めキーホルダーにする、ということを行っているそうだ。

どんな顔してどんな風に指をペタッとしたのか、そんな思い出がこの小さなキーホルダーに宿る

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8枚目のパステル、分かった感の積み重ねとふと思い出した小さい頃の記憶

8枚目のパステル、分かった感の積み重ねとふと思い出した小さい頃の記憶

1週間ぶりに描いた。

3年前の今頃に沖縄に行ったときの写真がGoogleフォトに登場していたので描いてみた。全く描けなかったのが島へ続く道。遠近法の描き方が全く知らないのもあるし、さざ波がまったくできなかった。当初は多少描けると思っていたのが惨敗。雲のコントラストとダイナミック感を出すにはどうすれば良いのだろう。

坂口恭平さんのパステル教室以来、何枚か描いている中で一度もパステルの描き方を検索

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週末、浅草へ

週末、浅草へ

同級生に会いに浅草へ行く。

せっかく浅草へ行くのだからどこか行きたいお店でもまとめようかとnoteを書き始めたものの、あげまんじゅうか学校帰りによく食べてたジェラート食べたいぐらいしか思いつかず、母にお土産買ってきてと言われたけど満願堂の芋きんしかわからない。

カメラ片手に散歩がしたい。

当てもなくふらふらとてきとうなところで曲がったり、気になったお店を覗いたりしたい。今週末は雨予報のようだ

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あふれる涙は感情の指標

あふれる涙は感情の指標

今まで縁の遠い出来事だったことが、ここ数年Twitterのトレンド知ることが増えた。

そのひとつがZARDの坂井泉水さんの命日が昨日だったことTwitterのトレンドで知った。3年前に亡くなった兄のiPhoneの壁紙が坂井泉水で、生前に兄の趣味で知っていたのなんて数少なくて壁紙にするぐらい好きだったなんて私は知る由もなかった。

亡くなってから兄の部屋の片付けをしているときにZARDのCD,DV

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自分の生きづらさを知ったら、生きやすくなった話

自分の生きづらさを知ったら、生きやすくなった話

「その比喩、本当に必要ある?」

何の脈絡なく、突然降りかかる何気ない一言で、そこにあった意識は過去に立ち返り朧気な記憶が立ち上がる。

できればあまり出会いたくないのだが、いつどこでそれが発動するのか予測不能な出来事を前に私はできることは、そこから一目散に離れること。

何の悪気のないその一言から自分を守るにはそれが効果的だと長年の経験から学んだ。

昨日出会ったのはこんなの。

あるイベントの

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忘れることは生きること。ファイリングされた私の記憶

忘れることは生きること。ファイリングされた私の記憶

ときどき思い出す光景がふと浮かんだけれど、以前よりかなりぼんやりとしていた。意識的に何度も思い出そうとしてみたけれどできなかった。

思い出すと涙が出そうになる光景だけど、思い出せなくても涙が出る。こんな風に思う記憶に触れるのは何度目だろうか。

忘れたくなかった。覚えていたかった。そう思い少し泣いた。
でも、そう思う度に、思い出す言葉がある。

「忘れることは生きること」

10代の終わりごろ、

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