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記憶に残る、もわっとした匂いと肌感覚
コーヒーのお湯が沸いたかなぁとポットの蓋を開け覗いたとき、カセットコンロの熱と同時にもわっとした湯気を顔に浴びたとき、小さい頃よく通った越後湯沢のスキー場に、一瞬で意識は飛んでいっていた。
何本も滑り終えたあと、宿に戻りまず最初にビショビショになった手袋を大きな石油ストーブの周りに引っ掛ける。そうしないと、次滑りに行くときにビシャビシャのまま手を入れなければいけない。あれは最悪だ。
すでにあるたくさんの手袋からは白い蒸気が見え、もわっととした空気にあたりは包まれている。ストーブを囲うようして括り付けられているテーブル付きの椅子に座り、徐々に温まりはじめる体を感じながら、みんなでさっきの滑りはどうだったとかあーだこーだ話し、お腹が満たされ手袋が乾いたらまた滑りに行く。とても好きだったひと時。
過去の記憶がもっと想起される感覚は嗅覚だと言われている。この場合、湯気から感じる触覚だと思ったけど、そういえば半乾きの洗濯物をストーブで乾かすときも同じ感覚になるから、湿気の匂いが記憶を呼び覚ましている気がする。
他にも、道端でアジア料理のスパイシーな香りに気がつくと、20代に訪れたアンコールワットの一瞬で浮かぶ。覚えてる限りだと、嗅覚で思い出す記憶どれも好きなものばかり。いつまでも忘れたくないなぁと思う。
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