猪田浩隆 Hirotaka Inoda

医師|経営者| 身体・医学知識を用いた新規事業と研究開発のサポート(成功報酬型)に注力…

猪田浩隆 Hirotaka Inoda

医師|経営者| 身体・医学知識を用いた新規事業と研究開発のサポート(成功報酬型)に注力しています|画像診断・がん治療が専門領域|東京大学薬学部卒・東京医科歯科大学医学部卒|noteではバーベルの安全な持ち方からセリアック病まで、体に関わる少し外れた疑問も紐解きます

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マガジンにまとめました。

医療の舞台裏シリーズ 綺麗事ではない、実際の医療現場での実態について、考察とともに述べています。https://note.com/nikobun8/m/m61e506eede49 実症例と教訓シリーズ 稀で例外的なケースが、僕たちに教えてくれるメッセージについて書いています。 主に疾患を取り扱っています。 ※筋骨格系については https://note.com/nikobun8/m/m3cee424a8c43 運動器(筋肉、骨格)トラブルシリーズ にまとめています。

    • 左右逆な人

      表面上は左右対称でも、体の中は非対称になっています。 完全内臓逆位と言って左右逆の人がいて、特殊な病気にかかる場合があります。 きっかけは受精卵の直後に遡るそうです。 人間の体は、左右対称ではありません。 胸部では、心臓が左に突出してついており、心臓に接続する太い血管は本数も分岐も左右非対称です。 例えば、心臓へ全身から戻る血液を運ぶ血管(静脈)は上下一対ありますが、心臓から全身へいく血液を運ぶ血管(動脈)は、上に一本しかなく、途中でループして腹部の方に向かいます。ループ

      • 首の骨の並び方と睡眠時無呼吸症候群

        就寝中に息が止まって、肺や心臓に負担をかけ、心血管系の病気にかかりやすくなる睡眠時無呼吸症候群ですが、加齢の影響で増えることがわかっています。一つの可能性として首の骨の並び方の変化が影響している可能性はないでしょうか。 通常は前弯と言って前に沿ったような並び方をしています。 胸は後弯といって後ろに沿った並び方、腰は前弯です その下の仙骨から尾骨までは後弯しています。 特に体重を支える首、胸部、腰部は前、後、前と交互になっていて、これで重い頭を支えています。 首の骨の並

        • ついスマホを見る習慣に全面戦争

          スマホをぼーっと見る時間は無駄です。 が、多くの人がやってしまうのは、コンテンツが巧妙に作られているのもありますね。特にニュースは、自分に一切関係ないにも変わらず、ダラダラ見てしまいますよね。僕がやっている対策について紹介します。 ほとんど常識化していますが、ついついニュースを見てしまうのは、人間の脳に新規の情報を目にするとき快感を感じるメカニズムがあります。 また、内容もネガティブな方が引き込まれやすくなります。進化心理学とかでの説明するなら、ネガティブな情報は生存に

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        マガジン

        • 実症例と教訓シリーズ
          77本
        • 身体や医療における反一般的な疑問シリーズ
          71本
        • 自身の身体における習慣やチップスシリーズ
          51本
        • 医療の舞台裏シリーズ
          23本
        • クライアント・知人からの調査依頼シリーズ
          12本
        • ヘルスケアビジネスシリーズ
          13本

        記事

          朝練による睡眠不足で怪我爆増と隠蔽の可能性

          睡眠不足で運動するとすごく怪我します。思春期は生理的に夜型生活になりやすくなります。部活の朝練とかをやらせていると、睡眠不足になって、不要なケガを生産している可能性はないでしょうか。 睡眠不足が運動中の体に与える影響はたくさんあり、折に触れて紹介しようと思いますが、 ある研究によると、12−18歳で8.1時間未満しか睡眠を取っていない人は、8.1時間以上取っている人に比べて、1.7倍ほど怪我が増えるとしています。 また、睡眠不足が長引くと、怪我が増加することがわかっています

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          子宮筋腫の手術をして一安心のはずが

          高齢の女性の方の子宮を見ていると、結構手術で切除されている方が多いです。 ところが、数十年経ってみると、そこに子宮をとった周りに腸が巻き付いて命の危険にさらされることがあります。 お腹の痛みで病院を受診される方が多いです。 その中にはいろいろ危険な病気もたくさんありますが、 僕が個人的に最も注意しているのは、腸が破けてうんこがお腹の中にばら撒かれることです。これは死亡率が高いです。 なぜ、死亡率が高いかというと、うんこは大腸菌の塊みたいなもので、それがお腹の中にばら撒かれ

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          医療DX企業の勘違いと電子化の意外な有用性

          https://www.atled.jp/wfl/article/39313/ このスカスカな記事みたいに、医療分野を電子化するメリットは、一般的に効率化だと謳われていますが、実際はむしろ手間が増えている箇所もあります。では、本当のメリットとはなんでしょうか。 多くの医療機関では、電子カルテが導入されています。 カルテというのは、患者さんの情報の記録です。電子カルテは、それを電子化してコンピューターで記録するものと思われがちです。もちろんその側面もありますが、医者が患者の

          医療DX企業の勘違いと電子化の意外な有用性

          人が仕事している様子をのぞく時間

          僕は医師の仕事の時間の何割かは、人の仕事を覗く時間にしています。 大きな企業ではほぼあり得ないですが、この仕事ならではのメリットです。 実体験を解説しましょう。 大きな会社では、新人研修のときでは、いろんな部署に行って、各部署の仕事の現場を見に行ったりする機会がありますが、本職に配属されると、他の部署が何やっているかなんて、飲み会で話さない限りよくわからないという感じだと思います。 僕はフリーターをしていた時、ホテルで仕事をしたことがありましたが、こんな感じでした。それ以

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          母が熱のある子にあてる額は高性能センサー

          人間の温度に対する感覚は非常に鋭敏ですが、 環境の危険度からすると過剰とも思えます。 本当は家族や仲間を助けるためにあったのかもと妄想しています。 人間の体温は35ー37度くらいに正確に調整されており、維持されています。 皮膚の温度センサーは、神経の端っこ(自由神経終末)で検知されていて、 実際に測ると、額は1.6度くらい、手背だと1.8度くらいの温度差がわかるらしく、 24~30℃の間では0.5~1℃の区別が可能らしいです。 人は気温の違いを0.9度まで正確に識別でき、

          母が熱のある子にあてる額は高性能センサー

          枯山水を維持し教会の建設を受け継ぐ者たち

          医者から経営者まで、物事を長期的な行動が取れる人間はあまりにも少ないですが、例外もいます。 経済政策において、人間が考える長期的な視野とは、せいぜい10年程度が関の山です。 https://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/shisan.html 患者さんの50年後の姿の想像などちっともしないで、背骨を全部固定する手術を行う整形外科医、早く会社をバイルアウトして、成功者としてシンガポールに住みたい経営者などは、人間の脳がその処理能

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          服用者には多分教えてない嫌な薬の副作用

          検診で異常があるとやたらと処方される薬に、結構きつい副作用が報告されています。その一つについて紹介しますが、その重症さについてまさか話していないってことはないでしょうな。 血液検査を受けて、コレステロールや脂質が高いと、スタチンという薬を処方されることがあります。 コレステロールを下げる目的ですね。 この薬は一時世界最高の売り上げを誇っており、極めてよく処方される薬の一つです。 この薬には、もともと横紋筋融解症と言って、筋肉が溶けていく副作用があることが知られていました

          服用者には多分教えてない嫌な薬の副作用

          医師がいつ起きてもいい朝を2年以上続けた結果

          朝何時に起きてもいい人はほとんどいないんじゃないでしょうか。 そんな生活を2年以上続けています。 体験談をお話しします。 ほとんどの人と同じように、勤め人だった頃は、朝何時に職場につかなければいけないので、何時に起きねばならなかったです。 ちょっと寝つきが悪くて、遅く寝た日でも朝起きるのは決まった時刻ですよね。 僕はそれが疑問でなりませんでした。 人間なんだから夜遅くなる日もあるし、少し早くある日もあって変動があるはずです。 職場の都合で決めた始業時間に、自分の生理的な状

          医師がいつ起きてもいい朝を2年以上続けた結果

          口だけではない口臭の原因

          口臭がきつい人っていますよね、高校生の時の同級生の女性がそうでした。 でも、医者になってから気づきましたが口だけが原因ではないかもしれません。 喉と食道の間にふくろみたな窪みができている人がいます。 Zenker憩室といいます。 ここに食べ物が溜まって腐ることがあります。 数は少ないですが、先日高齢の男性で偶然見つけました。最初は変な腫瘍かなと思いました。こういう袋状のものは、検査で見ると袋に見えず、風船状に見えて、主要かと間違えそうになります。 よくみるとやっぱり

          口だけではない口臭の原因

          医師としてあまり口にしない技術的な悩み12

          異常と正常、軽症や重症の分類が役に立たないあいまいな、ぼんやりした患者の例をみることがあります。本当の人の体のありさまはもっともっと複雑なのではないかと医者をしていていつも思います。我々には限界があるんです。 批判をおそれずにいうと、病気という判定自体が、あくまで人為的なものなので実際には不完全ではないでしょうか。 ちょっと専門的な言い方になりますが、病気、重症、軽症、病気でない、みたいなとびとびのレッテルをつけることを離散的に処理するといいます。 一方、本当の体の変化

          医師としてあまり口にしない技術的な悩み12

          医師としてあまり口にしない技術的な悩み11

          今回紹介する医師として抱いている悩みは、現実の人間ははっきりこの状態と決められないケースが多い、です。 分かりにくいので言い換えると、異常と正常の区別すら時に難しいことがあるといったことです。 医者は、患者さんにこういう症状や検査結果がでていれば病気、それ以外は病気じゃない(否定形になっているのがポイント。正常と言い切るのは難しい)と判定するために、今までの患者のデータをたくさん分析した結果の知識を持っています。 学生のときや、研修医の時は、その判定の仕方を学んだり実践し

          医師としてあまり口にしない技術的な悩み11

          医師としてあまり口にしない技術的な悩み⑩

          医師として仕事をしていると人間の体にまつわる無数の問いが生まれますが、ほとんど答えは得られません。答えが得られないからと言って問いかけることをやめるのは得策ではないと思います。 他の医者と話していると、疑問を持ったり、調べたりして確かめようとしない人が結構います。 特になくなる直前の患者を扱っている医師では多く、 いろいろ不可解な出来事が起こっているにも関わらず、「もう亡くなるから」と思って蓋をしてしまうんでしょうね。 たしかに、日々感じる些細な疑問の大半ははっきりしない

          医師としてあまり口にしない技術的な悩み⑩