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臓器同士が勝手に結合


手術の影響ではなく、病気の影響で臓器同士が結合してしまう時があります。瘻孔(ろうこう)と言います。癌が多いですが、それ以外でも起こったりします。一例を紹介しましょう。

胆嚢に石を持っている人は結構いると思います。
原因としては食生活(脂肪の多い食事)などが挙げられています。

胆嚢は大体3〜4cmくらいの袋ですが、(炎症があるともっと大きくなります)、
胆嚢は胆汁と呼ばれるうんこのあの茶色を司る消化液が入っていまして、一時的に溜めておいて、食物が胃や十二指腸に来ると、ピューッと収縮して、一気にふりかけます。


https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/medicine/karada/karada010.html#:~:text=胆のうは、胆嚢(たんのう),貯えることができます%E3%80%82

石があると出口を塞いでしまい、胆汁が出ていかなくなります。そうすると、十二指腸の方から細菌が登ってきて、炎症が起きたりします。痛みがなければ経過観察になる場合が多いです。痛みがあったり(出口にちょっとハマるくらいだと痛みだけの時もある)、炎症が起きたら(炎症が起きても痛みが生じる)手術になることが多いですね。

で、90代とかになると、むくむく成長して巨大な結石になる人がいて、胆嚢に充満するくらい石が大きくなる人がいます。

ここで、胆嚢の出口が塞がれるような何らかのきっかけがあると、炎症が起きてしまいますが、そうなると、胆嚢の壁が溶けてしまい、付近の十二指腸に突破して、孔が開くことがあります。これを瘻孔と言います。

そうなると、胆石が小腸(十二指腸は小腸の一部)や大腸に落ちていって、そこで詰まって便が滞り、腸閉塞という事態になったりします。

https://www.jsge.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/117-5A.pdf

このように臓器が突破してしまうことがあるんですね。
でも不思議なのは、この胆石の場合は、胆嚢の周囲にも十二指腸以外スペースがあります。例えば、腹腔といって、お腹の中は自由に腸が動けるスペースになっています。ここに突破して、石がお腹の中に落ちてしまうということも、あり得る気がしますよね。

少なくとも文献も探してみましたがありませんし、僕自身の経験としてもないのです。

これが不思議です。もちろん胆嚢の壁を突破するくらいの炎症が起きることは稀ではありますが、その中でも十二指腸に突破することは、よく知られているのです。

腸の壁は薄くて壊れやすいから、突破しやすいのか、
それとも他のメカニズムがあるのか、ちょっとわかりません。

何か、まだ知らない構造的な理由があるのかもしれません。