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ヘルスケアビジネスシリーズ

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ヘルスケアビジネスについて消費者として経験したことから、携わった経験があるものまで、それぞれ分析と考察を書いています。
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記事一覧

頑なに与えない人とひたすら与えまくる人

病院で行う医療行為や技術は基本的に利益にならず、特許とかは取れません。

他の業界とは違う特徴として、優れた技術、知識、調査結果があったら広く教え合う風潮があります。

ところが例外もあります。

長年の関係がある人に有用な技術を隠す連中の一方で、何処の馬の骨かわからない人間にも全てを教え続ける人がいます。

医療の新しい技術や進んだ知見は、基本的にはほとんど利益になりません。

そもそも、特許が

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新しいタバコの害

加熱式タバコが流行っていますが、
アメリカでは、当初、さまざまなフレイバー(大麻抽出物のTHC、ビタミンE酢酸を含め)の混入で、
急性の肺障害が急増しました。

今は規制されて、減ったらしいです。

日本でも報告されています。

https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2021/3429_04

元々加熱式でないタバコでも、
若くて吸い始めの人で多

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病院経営でやらかす叩き上げの医者

医者としての能力と、経営は全然別の能力が要求されると思います。

病院でうまく出世してしまうと、年取ってから経営を監督する立場にいきなりなっちゃったりします。

同じ世界にしかいなかった人が、50代とか60代になって全然違う仕事をするのは無理ゲーです。できていたらそれまでにその違う仕事でも結果を残しているはずです。

実際の事例ですが、病院のある診療科の経営が傾き始めた事例です。

そこは放射線治

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医師が民間企業に教えを乞うた経験

医者が病院にいると製薬企業や利用機器メーカーの人たちが名刺を手に会いに来ますが、
大体は踏ん反りかえって応対します。

逆に、民間企業にこちらから頭を下げて訪問すると、結構いいことがあります。
体験談を紹介します。

医者の中には民間企業のことを金の亡者としか見ていない人もいます。

もちろん営利目的の部分も大きいとは思いますが、その中で開発された技術や知識は、医者の知らないことも多いです。当たり

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健康診断・人間ドックの適当さ

健康診断・人間ドックの仕事には唖然とします。
僕の経験では、実施施設は、異常とされた画像検査のデータの詳細を、更なる詳しい検査をする医療機関に送ってきません。
貴重なデータをシェアせずに病気の判定が間違ったらどうするんでしょうか。
値段の割にいい加減さが目立つ仕事です、責任逃れとビジネスに徹しているからでしょうか。

健康診断・人間ドックで病気を早期発見すると、大きくならないうちに治療できて良いと

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腰痛改善サービスのリスク

腰痛改善を謳うサービスは多いですが、落とし穴があります。

腰が痛いのと内臓の痛みの区別がつかず、治療が遅れたり死んだりするからです。

具体的な事例をもとに解説します。

基本的に医師以外が医療行為をすると違法です(治療したりとか)。

最近はなんだかよくわからない雑居ビルのマッサージ店やリラクゼーション、パーソナルトレーニングジムまで腰痛改善を謳っているところがあるようです。

接骨院でも謳っ

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LLMに医師の代わりは無理(意見歓迎)

僕が優秀だと感じる内科医と、LLMについてディスカッションし、一定の結論に達しました。

現状人間にとって代わるのは無理です。

僕はそもそも仕事をほぼしていないのでAIに仕事を取られるとかの心配がありません、どっちでもいいのです。どっちでもいい立場から、AIはやはり人間には敵わない論ではなく、LLMの構造面とリアルワールドのズレを根拠に説明します。

AIが医療の仕事を変え、医者は要らなくなると

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医者が顧問弁護士ならぬ顧問医師を契約してみた

ここ数年医療現場での相談が増えてきたのと、プライベートや会社の仕事でも体や医療に関する相談を受けることが増えてきました。

専門外のことでも対応できるように、顧問医師をお願いして契約しました。
しかも嫌な以前の上司にです。
好き嫌いを乗り越えた先に、成長の可能性と新しい世界が開けました。

相談は最近トータルで1ヶ月30回くらいいただく時もあります。

医療現場では主に、この病気は何なのかという診

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「医者の会社はよく失敗する」

会社を始めた時、医療用ITサービスの経営者に言われた言葉です。

僕の知り合いでは起業した人はあんまり知らないのですが、あながち間違いではないのかなと思います。

経営者でない人も、参考になるよういくつかのポイントにまとめて解説します。

まず、技術が特殊すぎて求められていない、です。

医者は専門分野を極めるようにキャリアを積んでいるので、経験を積むとどんどん細かい知識が増えていきます。

例え

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医療用AIが生み出す余計な問題

僕が医者の仕事で主にやっていることは、レントゲンなどを見て病気を当てる診断の仕事です。

CNNが出た時これをAIで行うモデルを、みんなが作ろうとしていました。

もう5、6年経って音沙汰なくなっていますが、最近(と言っても半年ほど前)の事情と、みんながやりたいことと、その結果生み出される余計な問題について解説します。

この5、6年で見えてきた限界

レントゲンの診断のAIはもうエルピクセルとい

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質問:整体で眼圧を下げられるのか?

https://news.yahoo.co.jp/articles/4454296deb991e5b623b21eca5b2377b8e6e9cf1

この記事のことは本当かと言うご質問をもらいました。

結論から言うと、デタラメですが、どこがデタラメなのか、どうして堂々とこんな意見をいえてしまうのかまで考察しました。

ヤフコメの視能訓練士のかたも言っていますが、 眼圧の日内変動がありますので、

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苦しむ患者全員を助けたい医者は危険

医者や病院のホームページを見ると、
「患者さんみんなの健康ため」というメッセージを見かけますが、
コピーならまだしも、本当に信じきって努力している医師はやばいというお話です。

無理どころか、副作用で犠牲者を生むことになります。
どうしてそうなってしまうのか、考察をしました。

多様性を持つ集団を全てよくしようとすると、逆作用が生じる個体が出てくること、
自然現象に対して理想を一つに決めて努力する

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パワーワード「量子力学」を詐欺に使う

知り合いから手で触れるだけで、チャクラがわかったり体の不調や病気が治ったりする医療機器について相談を受けました。

原理のところを読んでみると、
ロシアの研究機関が作ったのに、なぜか英語名とか、

中学生の理科の知識も入っていないとか
専門用語間違いまくっているとか、
翻訳ソフトを使ったのか日本語すら間違っているのは可愛いですが、

共通する特徴に気づきました。

「侵襲性がない」

です。

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