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コマツシンヤ 『午后のあくび』 : ほのぼのとした〈異日常〉

書評:コマツシンヤ『午后のあくび』既刊2巻(亜紀書房)

コメット・タルホ(稲垣足穂)の血をひくマンガ家と言えば、『クシー君の発明』などで知られる伝説的なマンガ家・鴨沢祐仁と、本書著者であるコマツシンヤが、その双璧をなす存在であろう。
鴨沢亡き後、現在もマイペースかつ旺盛に創作を続けるコマツの存在は、極めて貴重である。

足穂との関係で言えば、鴨沢祐仁が描くのは、A感覚の寂しさをどこかに漂わせた「お兄さん」的にクールな世界であり、一方、コマツの描く世界は「お姉さん的」に、ほのぼのとして優しい世界、だと言えるだろう。
言い変えれば、鴨沢の世界が、かなりマニアックな世界であり、コマツの世界は、誰にでも門戸の開かれた、親しみやすい世界である。

また、鴨沢祐仁の描く世界が「深夜のおもちゃ箱宇宙」だとすれば、本好きな あわこさんの不思議な日常を描いた「午后のあくび」シリーズは、本好きにとっての「夢の日常」であり「多彩な広がりを持つ、パステル調のミニチュア世界」とも呼べるのではないだろうか。

読む人を「幸せ」にする一冊として、多くの人に手に取ってほしい「秘密の宝物」である。

初出:2020年7月13日「Amazonレビュー」
  (2021年10月15日、管理者により削除)

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