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個別最適な学びについて考える(91)ー小川正(1971)授業創造の理論ーから

お疲れ様です.本日も元気にアウトプットをしていきましょう!
やはり,この100記事に向けた記事では,古い本を読んでいきたいですよね。そこが自分の記事の売りですから。笑

最近の本は多くの人が手に取って読んでいると思いますが、古い本は敷居高く手に取る機会が少なくなる可能性があります。
そのためにも記事に書いて、少しでも興味が湧いたら、たくさん古本屋を巡って探してください。笑

本日は「小川正(1971)授業創造の理論.明治図書,東京」です。では,早速読んでいきましょう!

 子どもの主体的な問題(意識)を媒介とするならば、教材の配列を速めることができる教材は、子どもの認識発展に働きかけ、その作用の中で、教育的価値を発現する。現代科学のめざましい発達の成果を、教材として組み込めば、教材の教育的価値がたかまると考えるのは単純である。それは教材が価値をもつための前提条件を指摘したにすぎない。
 学習者である子どもが、学習対象に対して、自らの問題をもち、主体的な追究の過程で認識はたかめられる。このプロセスの中で教材は教材としての意味を形成し、しかもそのさい、子どもの認識を望ましくたかめることのできた教材を、教育的価値があったということができるのである。
科学的な基本概念は、すでに、幼児にも芽ばえているという。それは科学者の専有物ではなく、そのやさしい形でなら、普通の人びとも、幼児もみんな所有しているという。ここにいわれている「やさしい形」が、何を意味するか、その意が十分くみとれないので、もしかすると暴言になるかもしれないけれど、「・・・・・・だから、科学の基本概念は小さいときから教えられる」という原則が打ちだされてしまうならば、若干の飛躍を感ぜざるをえない。
 私自身も、幼児が、大人もびっくりするような事態の核心にせまった思考をすることのある事実を否定するわけではない。しかしそれは、基本概念のやさしい形といったものでなく、基本概念に対応する現象について、やがては基本概念として形成しうるかもしれない主体的な問題意識に芽ばえているといったものでなかろうか。概念は、次元の異なったさまざまな概念との有機的関連のもとに形成されるものであって、子どもが事態の核心にふれる事実を指摘したからといって、それが基本概念の形成に直結しうるかどうか疑問が残る。
 だから、子どもの主体的な問題意識を掘り起こし、問題意識を媒介としてなら、教材の配列を速めることができると考えるべきでなかろうか。

小川正(1971)授業創造の理論.明治図書,東京

やはり,問題意識はかなり重要ですね。
自分の課題でもありますが,導入だけでなく単元として見た時に学習意欲が続いているのか,問題意識がずっと続いているのかということは非常に重要ですね。
そして,持続するような工夫が必要だと考えられます。

子どもの学習のリズムにあった教材の配列を工夫する
 子どもたちの学習をみていると、規則的に緊張を持続して学習を進めているわけではない。あるときは集中し、あるときは、散漫に、学習にリズムを形成しながら進めている。教材の配列はやさしいものからむずかしいものへ論理的に並べるだけでは不十分で、子どもの学習のリズムにあわせる必要がある。
 そのさい考慮しなければならないことは、子どもの心理的な条件もあろうが、私は、思考のリズムと情報理論でいう冗長性の問題が重要でないかと考える。
 前者の問題は、常識的にいえば、頭の回転の速い子、遅い子の問題である。知能の高低ではない。一斉学習がたてまえの授業では、この問題は重大である。後者の問題は、一見不必要にみえる教材(情報)も、子どもの学習のリズムの面から考えて、はたしてそうか、ある役割を果たしているのではないか、吟味してみる必要があるということである。教師は、わざと誤った答えを出したり、支持したりすることがある。この問題の教育的価値を考えることも、あんがい、解決の突破口になるかもしれない。
その他、「間」とか「山場」という型で、学習のリズムの問題が究明されているが、ここに指摘した二つの角度から吟味することも、それにおとらず重要である。

小川正(1971)授業創造の理論.明治図書,東京

授業の山場はどこ?と問われる時がありますが、案外それは難しいことを問われているのかもしれません。
個別最適では、子どもによっても、授業の山場が違うのかもしれませんね。
早くできる子は、何度も問題を解くところが山場かもしれませんし、遅い子にとっては教師がわざと間違えるところが山場なのかもしれません。

児童全員に山場はどこだったと思う?と聞いてみれば、今はいろんなところを指すのかもしれません。笑
教師の意図と合うのかどうかを問題とするのではなく、進度が違うということを注目させるにはとても興味深いです。

本日はここまで!また次回の記事でお会いしましょう!

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nanjolno
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