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弱おじの本棚

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2023年11月の記事一覧

大切に思える存在がいる奇跡に感謝して生きていたい。〜「そして、バトンは渡された」を読みました〜

大切に思える存在がいる奇跡に感謝して生きていたい。〜「そして、バトンは渡された」を読みました〜

瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」を読んだ。

家族って素晴らしいな。大切に思える人がいるって幸せだよなと、改めて感じました。
そして、今の自分がいかに幸せな状態にあるのかを、思い出させてくれました。

自分以外の誰かと過ごすことは、一方で苦痛を伴うものかもしれません。
不快な感情を味わうこともあるでしょう。
でも、きっとそれを塗り替えてくれるくらい大きな大きな喜びが、そこにはあると思う

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苦しみをありがとう。苦しんだから、いつか誰かに寄り添うことができる。〜「宙ごはん」を読みました〜

苦しみをありがとう。苦しんだから、いつか誰かに寄り添うことができる。〜「宙ごはん」を読みました〜

町田そのこさんの「宙ごはん」を読んだ。

人間色々あるよなと、改めて思った。

人と人との関わりの中で、苦しみが生まれる。
苦しむ人を可哀想だと思うけど、その人を苦しめる人もまた、苦しみを抱えている同志なのかもしれない。

誰かに苦しめられる時、その人の背景を少しだけ想像できたらいい。

この人がこんな行動をとることには、何か理由があるのだろう。
善意のかけらも見られない人間だけど、本当のこの人は

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母の苦悩を想像できて、ありがとうが溢れ出してきた。〜「かか」を読んで〜

母の苦悩を想像できて、ありがとうが溢れ出してきた。〜「かか」を読んで〜

宇佐見りんさんの「かか」を読んだ。

私自身の母に思いを馳せた。
産み育ててくれてありがとうと感謝の気持ちが止まらない。

物語に出てくる「かか」は、苦しみを抱えている。
そんなかかとの関係性に、主人公も辛さを感じる。

母の偉大さは、大人になってから気づく。
数えきれないほどの、想像もできないような苦しみがあったでしょう。
私を育てることで、大きな負担を感じることもあったでしょう。
それでも私を

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自分自身を道標に、能動的な人生を生きていたい。 〜「夜の道標」を読んで〜

自分自身を道標に、能動的な人生を生きていたい。 〜「夜の道標」を読んで〜

芦沢央さんの「夜の道標」を読んだ。

単なる軽やかなミステリー小説なんかじゃない。
人間が抱える苦悩が描かれた、とても深い物語だ。

苦しみの中にいる時、人はつい、自分以外の存在に人生を委ねてしまいたくなる。

占いに頼ってみたり、転職の判断をよく分からない会社に委ねてみたり。
大体そうやって責任を放棄した決断の中では、その後の人生はうまく進んでいかない。

自分で決断することを大切にしたい。

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死ぬのが怖くなるくらい人生を愛してみたい。〜「恋とそれとあと全部」を読みました〜

死ぬのが怖くなるくらい人生を愛してみたい。〜「恋とそれとあと全部」を読みました〜

住野よるさんの「恋とそれとあと全部」を読んだ。

単なる恋愛小説じゃなく、もう一つのテーマとして「命」や「生死」といった重いものが重なり合っていて、とても面白かった。

主人公が死に触れることで喜びを感じている描写がある。
なんかわかるなと、共感してしまった。
近所の葬儀屋さんの前を通る時、見ず知らずの人の名前が書かれた看板を見て、「あ、人生はいつか終わるんだ」と安心できたりする。

一方で、ヒロ

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今まで一緒に生きてくれた「私」に感謝 〜「私をくいとめて」を読みました。〜

今まで一緒に生きてくれた「私」に感謝 〜「私をくいとめて」を読みました。〜

綿矢りささんの「私をくいとめて」を読んだ。

独身の主人公女性が仕事や恋愛に向き合い、悩み、それでも前を向いて生きていく姿が描かれている。

主人公は悩んだ時や行き詰まった時、脳内の「A」という存在と会話する。
Aは自分自身であり、脳内の自分と会話している感覚に近い。

面白いのが、恋愛に踏み出して他者との関わりが色濃くなってくると、Aが現れてくる機会がグンと減ってしまう点だ。
主人公はそれを悲し

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