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弱おじの本棚

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2023年8月の記事一覧

この世の喜びは意外とすぐ側に 〜「この世の喜びよ」を読みました〜

この世の喜びは意外とすぐ側に 〜「この世の喜びよ」を読みました〜

井戸川射子さんの「この世の喜びよ」を読んだ。

表現がとても綺麗でおしゃれだった。

何気ない日常を切り取った短編たち。
どれもが暖かく、優しさを兼ね備えていた。

きっとこの世の喜びは、そんな日常の中にこそある。

気づいていこう。
僕の人生の中にも、喜びは既にたくさんあるのだから。

色んな目線からから見えてる世界がある 〜「うたかたモザイク」を読みました。〜

色んな目線からから見えてる世界がある 〜「うたかたモザイク」を読みました。〜

一穂ミチさんの「うたかたモザイク」を読みました。

色んなジャンルの短編が収録されていて、楽しく読めました。

ソファの視点で書かれた物語や、猫になってしまった男性の物語とか。

色んな世界が見えて、素晴らしい小説でした。

「あの視点からはこんな世界が見えているかもな」

そんな妄想を膨らませながら、今日も楽しく生きていこうと思いました。

みんな苦しいんだ。みんなに幸が訪れて欲しいんだ。 〜「荒地の家族」を読みました〜

みんな苦しいんだ。みんなに幸が訪れて欲しいんだ。 〜「荒地の家族」を読みました〜

佐藤厚志さんの「荒地の家族」を読んだ。

被災地で生きる人たちの苦しみや葛藤が描かれていて、心がギュッと苦しくなった。

でもその苦しみは、どこで生活する誰しもが抱えているものかもしれない。被災地に関わらず。

苦しみを抱えながら、ただ今日を生きる。
仕事に没頭したり、時には酒に逃げたりして、どうにか日々と折り合いをつけながら生きていく。

どこで生きている人たちにも、幸せが訪れますように。
そう

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普通に生きられていることが、実はめちゃくちゃ幸せ 〜「ハンチバック」を読んで感じたこと〜

普通に生きられていることが、実はめちゃくちゃ幸せ 〜「ハンチバック」を読んで感じたこと〜

市川沙央さんの「ハンチバック」を読んだ。

難しかった。
よく理解できなかった。

たった一つ感じたこと。
当たり前に生きられていることは、実は幸せなことなんだ。

普通に本を読んで歩けてご飯を美味しく食べられて。
当たり前の日々の幸せに人は鈍感になっていく。
当たり前じゃない境遇に置かれた人を見ることで、与えられた幸せに気づくことができる。

健康な人。健康じゃない人。
それぞれが与えられた設定

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お互い様で生きていよう。 〜「夜空に浮かぶ欠けた月たち」を読みました〜

お互い様で生きていよう。 〜「夜空に浮かぶ欠けた月たち」を読みました〜

窪美澄さんの「夜空に浮かぶ欠けた月たち」を読みました。

登場人物たちは皆苦しみを抱えていて、心に傷を負っています。

そんな苦しさを、誰かの優しさがそっと癒してくれる。
そしてその手を差し伸べた人にも、確かに生きづらさや苦しみが存在している。

「お互い様」で生きていけたらいいと思いました。
人生は不条理です。
立ち上がれなくなるほどの苦しみを、前触れもなく人生は与えてきます。

でも、今こうし

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好きに生きる。ただ今日を生きる。 〜「麦本三歩の好きなもの」を読みました〜

好きに生きる。ただ今日を生きる。 〜「麦本三歩の好きなもの」を読みました〜

好きな本を読む。
好きなラジオを聴く。
好きなコーヒーを飲みながら。
好きなソファに腰掛けながら。

この本が好きだ。
別に何か大きな事件が起こるわけじゃない。
この本に描かれているのは「日常」だ。
そして私たちが生きている人生も、「日常」の積み重ねでしかない。

幸せに生きるにはどうすれば良いか。
祭りで騒ぐ。ロックフェスに行く。焼肉を食べに行く。海でバーベキューをする。
刹那的なイベントに幸せ

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言葉は素敵だが、言葉のいらない関係はもっと素敵 〜「ゴリラ裁判の日」を読みました〜

言葉は素敵だが、言葉のいらない関係はもっと素敵 〜「ゴリラ裁判の日」を読みました〜

須藤古都離さんの「ゴリラ裁判の日」を読んだ。

言葉を使えるゴリラが主人公の物語。
人間ってなんだろう。言葉ってなんだろう。
動物の命と人間の命、どちらが大切なのだろう。
そもそも動物と人間の境界線はどこにあるのだろう。
様々なことを考えさせられた。

ゴリラの命と人間の命、どちらが重んじられるべきが物語中で議論される。
人間の命が大切だと人間は当たり前のように思うのだろうけど、改めて考えてみると

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