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弱おじの本棚

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2023年7月の記事一覧

「やさしさを忘れぬうちに」を読みました。

「やさしさを忘れぬうちに」を読みました。

過去に戻れる。
でも起きた現実は変えられない。

僕ならいつの過去に戻るだろうか。

幼い頃に戻って、家族との暖かな時間をまた過ごしたい。
伝えたいことを伝えられなかった人。そんな綺麗な思い出は僕にはない。

パッと出てこない。
そんなに過去に戻ろうとも思えない。

それほどに、今をしっかりと生きられている。
未来の自分が、今の世界に戻ってきたとしたら、どう思うだろうか。

未来の僕はどうなってい

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どうか苦しむ人たちが救われる世界でありますように 〜「やさしい猫」を読みました。〜

どうか苦しむ人たちが救われる世界でありますように 〜「やさしい猫」を読みました。〜

普通に生活できることは実はとても幸せだ。

物語の外国人のように、普通に生きることが制限されてしまう人もいる。

制度のせい。組織のせい。国のせい。

問題が存在するのは理解できる。
その問題をすぐに解決することはきっと難しいし、当事者はやり切れない気持ちで日々を過ごしているだろう。

このような問題が現実に存在しているということを理解できただけで、この本を読んだ意義があったなと思う。

僕に何か

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いつの時代も苦しみはあるけれど、いつの時代も僕たちは生きていていいんだ。 〜「逃亡者」を読みました〜

いつの時代も苦しみはあるけれど、いつの時代も僕たちは生きていていいんだ。 〜「逃亡者」を読みました〜

中村文則さんの「逃亡者」を読んだ。

時代を超えたシーンが多く描かれていて、とても読み応えがある。

運命ってあるのか、考えさせられる。

全て運命で決まっているのか。
それとも自分の行動で運命は変わっていくのか。

僕は運命なんて決まっていると思うタイプだ。
仮に猛烈な努力で運命を変えられたとしても、その運命を変えることでさえ、運命的に決められてしまっていたのではないかと思えてしまう。

時代を

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設定が秀逸な警察ミステリー 「キツネ狩り」

設定が秀逸な警察ミステリー 「キツネ狩り」

寺嶌曜さんの「キツネ狩り」を読みました。

主人公の右眼が3年前のシーンを映し出すという設定で、目に見えているのに実際には捕まえることができない。とても面白い設定だなと思いました。

シーン展開がとてもスリリングで、最後までワクワクして読み進めてしまいました。

続編、映像化も期待される、とても素晴らしい作品だと思います。
みなさん是非読んでみてください!

あ。テキトーに生きていいんだ。 〜「コメンテーター」を読みました〜

あ。テキトーに生きていいんだ。 〜「コメンテーター」を読みました〜

奥田英朗さんの「コメンテーター」を読んだ。

登場人物の精神科医がいい感じにテキトーで、読んでて救われる。
短編の真面目に生きて疲れている主人公たちも、このいい加減さに救われていく。

思うに、僕たちは真面目に生きすぎている。
きっともっと、不真面目に生きようとするくらいでちょうどいい。

本書はもっと肩の力を抜いていいのだと、優しく気づかせてくれた。
もっとテキトーに生きていいし、テキトーに生き

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また生きていたいってのが、僕の本心 〜「本心」を読みました〜

また生きていたいってのが、僕の本心 〜「本心」を読みました〜

平野啓一郎さんの「本心」を読んだ。

自分で人生の終わりを決められる「自由死」がテーマとして扱われている。

もういいや。十分だ。
やり切った人。辛くてもう終わりにしたい人。
様々だ。自由死に対する意見も人それぞれだろう。

僕はどうだろう。
自由死が認められていたとして、今すぐにはその権利をきっと使わないだろう。

まだ生きてみたい。
与えられた人生を、もう少し楽しんでみたい。

過去にはそう思

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未来の自分が過去の自分を愛せるように、今の自分が今の自分を愛していく。 〜「ユーチューバー」を読みました〜

未来の自分が過去の自分を愛せるように、今の自分が今の自分を愛していく。 〜「ユーチューバー」を読みました〜

村上龍さんの「ユーチューバー」を読んだ。

「老いる」ということについて考える。

人は歳をとる。
歳を重ねる。
歳をとってしまう。

それは避けられないこと。
誰にでも平等に訪れる「苦悩」と呼べるかもしれない。

老いた僕が、本書のように過去の自分を振り返った時、どう感じるだろう?

いい人生だった。
色々あったけど、なんだかんだ自分で生まれて良かった。

そう思えるだろうか?
いや。そう思える

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