ロボトミー手術の歴史から学ぶこと
こんにちは。特別支援学級教員13年目のMr.チキンです。
昨日は久しぶりに50分間ランニングをしました。20分くらいで切り上げる予定だったのですが、途中で小雨が降ってきて、それが気持ちよくてついつい走ってしまいました。ようやく暖かい季節になりましたね。
今日は、ロボトミー手術についてお話をします。いわゆる情緒障害と呼ばれる方々に関する悲しい歴史です。
脳科学者の友人が教えてくれた悲しい歴史
大学生の頃。心理学の博士号を取得し、主に脳科学を研究していた先輩と遊んでいた時のことです。
と自転車に乗りながら私に言いました。
その時私はロボトミー手術について知らなかったので、そのまま話を聞きました。簡単にまとめると、ロボトミー手術とは、以下のようなものでした。
ロボトミー手術:精神障害に対する治療の歴史
ノーベル賞まで受賞したロボトミー手術とは
コンサータ等の薬物療法が発見される以前。いわゆる”精神障害”と呼ばれるものが脳に起因すると考えた科学・医学者は、脳を手術して外科的治療を行うという結論に達します。チンパンジーへの動物実験により、前頭葉周辺の切除を行うと行動に落ち着きが出るという結果が出たことから、人間への臨床に踏み切ったのです。
それがロボトミー手術と呼ばれる手術です。
そこから、実に5万人程度の人々がこの手術を受けたとされています。
この治療法の確立により、ポルトガル人の医師であり政治家のエガス・モニスはノーベル賞を受賞しています。
ロボトミー手術の結果
ロボトミー手術の結果は以下の通りでした。
そして、これらの症状が不可逆的(もとには戻すことのできない)症状として現れるということから、今では実施されないようになっています。
近年まで行われていた外科的治療
脳科学者の先輩は、前頭葉・前頭前野の切除術までいかなくても、自閉スペクトラム症等に対して近年まで行われていた外科的治療についても教えてくれました。それは”自閉スペクトラム症の原因は脳圧が高まることに起因する”という説から、頭蓋骨に穴をあけ、脳圧を下げるという治療方法です。
感染症等の重大な副作用が伴うため、この治療法も今では行われていません。
ロボトミー手術が今に語り掛けること
非人道的に思えるロボトミー手術
いかがでしょうか。私はこの話を聞いた時に、正直、
と恐ろしく感じました。しかし、おそらく当時の当事者たちはこの一見科学的に見える治療に対して一縷の望みを覚えたのかもしれません。それが5万人という数字に表れたのでしょう。
ロボトミー手術は悲しい精神障碍者に対する歴史ではありますが、一方でその歴史が今に語り掛けることもあります。
脳機能と情緒機能の関連性が深まった
ロボトミー手術が現代に語り掛けること。その一つ目は脳科学に対する貢献です。
およそ5万人のデータから、脳の細かい部位と情緒機能の関連性が分析されました。この手術により得られた研究結果は、現在の脳科学の基礎とされているようです。
今行われている治療・支援に人権侵害は無いのか
また、ロボトミー手術の話を聞いて私たちが感じる”非人道的なイメージ”は、逆説的に”今の治療・支援は人道的なのか?”という問いかけを生みます。なぜなら、当時の人々はロボトミー手術を善として捉えていたからです。
私たち支援や治療にあたる人間は、ロボトミー手術の教訓から、常に学び、何が正しいのかを判断していく必要があるのかもしれません。
では、またね~!