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漢字「読み」と「書き」の指導はリズムをずらすべし!
2週間天気の更新を楽しみにしています。
今からちょうど2週間後3月になるそうです。
3月は少し暖かい様子で、なんだかうれしいMr.チキンです。
さて、今日は漢字の読み書き指導についてです。
意外と知られていない、大切なことについてお話ししたいと思います。
「読めるけど書けない」というつまずき
漢字指導をしていると、よくあるのが
読めるけれど、書けない
というつまずきです。
字画や字の形状の記憶が難しい場合は、書字のLDということも考えられます。
LDについては上記記事を読んでみてください。
「漢字を読めるけれど書けないので、書字LDではないか?」と、
特別支援教育コーディネーターに相談がきます。
ただ、「漢字を書けない」からといって即書字LDだとはなりません。
実は、当たり前のことだからです。
実験してみましょう
こちらをご覧ください。
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バラですね。
では、モニターを見ずに書いてください。
漢字の得意な人は書けますね(笑)
でも、「読めるけれど書けない」という人が多いのではないでしょうか。
このように、一般的に漢字は読みよりも書きの方が難しい傾向にあります。
テストの結果を見ても、読みの方が点数が良い傾向にあります。
ただ、読めるけれど書けないという現実を見て、「書くのが苦手」と苦手意識をもつ子は多いのではないでしょうか。
本当は、読みと書きの指導は・・・
それでは、どうすれば
「読めるけれど書けない」を「苦手意識」にしないために、
我々はどうすればよいのでしょうか。
学習指導要領の解説を読んでみましょう。
漢字の読みと書きに関する事項である。
漢字の読みと書きについては,書きの方が習得に時間がかかるという実態を考慮し,書きの指導は2学年間という時間をかけて,確実に書き,使えるようにすることとしている。また,漢字の読みについては,当該学年に配当されている漢字の音読みや訓読みができるようにすることとしている。なお,第6学年に配当された漢字の書きについては,当該学年において漸次書き,文や文章の中で使うとともに,中学校の第2学年までの間で確実に身に付け,使えるようにすることになる。
となっています。
どういうことか。例えば1年生の漢字配当表はこんな風になっています。
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これらの漢字については、
読み:1年生(当該学年)が終わるまでにできるようになる。
書き:2年生(2年間)が終わるまでにできるようになる。
ということです。
他の学年も同じく、書きは次の学年までにできれば良いということになっています。
そうです。漢字の「書くのが苦手」を防ぐには、読みと書きの指導のリズムをずらせば良いのです。
(これは当然、評価についても同じことが言えるでしょう。)
学級の漢字のテストを見てみましょう
それでは、自分の担当している学級の漢字テストを見てみてください。
漢字書き取りの対象となる漢字が当該学年の漢字になってはいないでしょうか。
それは、子どもたちに対して求めすぎている可能性があります。
それで評価される子どもたちは、人によっては自己肯定感を下げてしまう可能性があります。
その指導を続けるのであれば、学習指導要領の解説を否定するだけの理由を添える必要があるでしょう。
特別支援教育コーディネーターとして、驚いた支援方法
特別支援教育コーディネーターとして、様々な学級を見に行った時に、
驚いた支援方法がありました。
それは、漢字テストの下に漢字配当表を載せるという支援です。
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上のような感じです(一年生例。Mr.チキンが勝手に作ったイメージです)。
子どもたちは、下の配当表の中から選択して書きます。
書きに関しては二年間かけて指導しようという、教員側の姿勢が支援として反映されています。
子どもたちに対する指導として、他にも改善できるところはあるかもしれません。
今あるテストや指導の形を疑ってみることも大切かもしれませんね。
書字LDについては
なお、それでも苦手意識が続くという場合、LDも考えられるかもしれません。
書こうと思っても書字の構成が難しいなどの辛さを抱えることに対して
配慮と支援は欠かせないものとなるでしょう。
それらの支援については、今後別記事で書きたいと思います。
書字LDの診断は医師にしかできませんが、
教育的配慮を施すか否かについては、
点画や字の構成、筆圧や見え方など、総合的に判断します。
自分や自分の子ども、受け持っている子どもが書字LDなのではないかと感じた場合、
まずは特別支援教育コーディネーターに相談してみてください。