月曜日の図書館1 あいさつから始まらない
本を抱えた利用者がゆらゆら漂っている。カウンターのN本さんは内職をしている。気づいているのか、いないのか。意を決した利用者が、カウンターに本をおずおずと置く。
貸し出しですね。N本さんがほとんどささやくように言って、利用者はやっと安心する。正しいカウンターにたどり着いたのだ。貸出券を差し出して、手続きを済ませる。
利用者に本と返却期限票を手渡すと、N本さんはまた、手元の電話帳に目を落とした。背表紙にシールを貼りつけていく。広島は赤い鯉。熊本は辛子レンコン。最近のタウンページは