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求ム次世代ノ人材 (月曜日の図書館214)

郷土資料の担当をしている関係で、図書館の仕事と並行して、郷土愛好会の事務局の仕事も行なっている。読書会や児童書研究など、本まわりの活動の事務局を図書館が担うことは昔からあったみたいだが、今では唯一この会だけになった。

古い時代はあいまいな位置付けだったこれらの活動も、「公務員の仕事とそれ以外」をはっきりさせるべきという時代の流れを反映して、あるいは単に人員削減でそこまで手が回らなくなったという理由で、ほとんどの会は図書館から離れた。

妥当な成り行きだと思う。

できるならわたしも関わりたくない。それでも、この郷土愛好会は、うちの図書館ができた100年ほど前に、当時の館長だった人が呼びかけて発足した特別な会だから、おいそれと手放すことができないのだ。

会の活動自体が悪いとは思わない。会員の人たちは、年に数回発行する会誌に、日頃の調査研究の結果を発表したり、講演会や見学会に参加して、郷土に対する知識を深めている。

得られた知識がまとまれば、それが郷土資料となり、日頃のレファレンスの質を高めてくれる。

問題は、面倒くさい仕事を全部事務局である図書館がやらなければならないということだ。お金の管理、印刷会社との調整、イベントの申込受付や会場の手配。一応それぞれに担当の理事の先生はいるのだが、彼らが決めたことを具体的に形にするのは図書館の人間である。

以前、講演会に人が来すぎて参加できない人が大勢出たとき、申込方法や会場整理の仕方が悪いと苦情を言われたのは図書館だった。当日先着順でいいでしょう、と判断した理事の先生は、怒れる群衆の前で一応謝りはしたものの、苦情の恐ろしさを知らないためにケロリとしていた。

まさか悪いのはこの人です、図書館は関係ありませんとは言えず、講演会が終わってもしばらくは対応に追われた。確か課長はボイスレコーダで謝罪の言葉を録音までされていたと思う。

わたしが担当している会誌も、査読は理事の先生がするものの、執筆者に修正依頼をするのはわたしだ。修正に納得がいかない執筆者から、自分の主張を延々と聞かされる、なんてこともざらだ。

通常の図書館の仕事に支障が出ている。

そんな会の活動も、会員の高齢化とともに、段々と存続が難しくなってきた。講演会はあれから問答無用で事前申込制に切り替えたものの、今では参加者がやっと二桁を越えるくらいしか集まっていない。論文の投稿数も減っている。

若い人たちの入会を呼びかけるべきだ。理事会では毎回のようにこうした意見が出るが、持論を曲げないお年寄りたちの集まりに、今の若い人たちがなじめるとは思えない。

若い人はそもそも郷土史に興味がない、という意見もあるが、それは少し違って、まちづくりや地域再生の観点から、地元の良さを学び、発見したいと考える人たちは実は結構いる。郷土資料コーナーで調べものをしている若い人もちらほら見かける。

愛好会のすべてが悪いわけではなくて、長年蓄えてきた知識は現にあるわけだから、それらを若い世代に共有する仕組みというか橋渡しができたらいい。郷土資料を紹介したり、内容をわかりやすい形にして伝えたり、それが図書館としての本来の役割のようにも思う。

活動の形自体は自由に変えていってほしい。いくら歴史があっても、時代にそぐわないものは、どんな活動をしていたかを記録には残すべきだと思うけど、存続にはこだわらなくていいと思う。


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