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【二十四節気】(春)立春

立春 三日
(2月4日頃から2月18日頃にかけて)

東風解氷 黄鳥睍睆 魚上氷

はるかぜこほりをとく
うぐひすなく
うをこほりをいづる

東風解氷 蟄虫初振 魚負氷

とうふうこほりをとく
ちつちうはじめてふる
うをこほりをおふ

東風に氷とけつゝ
つちにひそむ虫動きそめ
うをたはむるゝ

節分の翌日あくるひを立春といふ。是正月の節になりて春の陽気を立そむる也。陽気萌し、風暖かになるゆえ氷も解初とけそむる也。これを「東風解氷とうふうこほりをとく」といふ。

春は東を主どるゆゑ、東風とうふう吹なり。此とき寒気おとろへそめ、暖気だんき生ずるゆゑ、氷もとけそめ、今迄 つちのなかすごもりし虫の類も、春の陽気にもよふされて、そろ/\と地上へ出る気生ずる也。是を「蟄虫初振」といひたり。蟄は「すごもる」とよみて、冬の寒気におそれ地中に すごもり 隠るゝ虫を蟄虫といふなり。

魚負水とは、春の気水の中まで萌ゆゑ、鱗までも其気に感じ、動きうかみて氷に背をするを、氷を負に●たるなり。是、うをのたはむる事を謂り。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『永暦大雑書大成:万民重宝


農家年中行事 立春

麦を踏壓すべし。但し、雨後は忌む。
煙草蒔始てよし。朝夕霜覆をして日中取除くべし。

早茄子、此頃まけば四月花さき五月実を結ぶ。
竹の去年の新根を植ゑ置けば、今年筍出づ。
松苗植てよし。

杉、檜の実をまく。土厚きは悪し。
漆櫨の実まきてよし。

典:国立国会図書館デジタルコレクション『日本区分農事暦:一名農家年中行事

※ 「漆櫨」は、ハゼノキのこと。


立春 梅花魁矣
報春弄舌

※ 「報春」は、ウグイス(春告鳥)のこと。
連翅粧黄

※ 「連翅」は、レンギョウのこと。
瑞香傳芳

※ 「瑞香」は、ジンチョウゲ(沈丁花)のこと。
金蓮映礒

※ 「金蓮」は、フクジュソウ(福寿草)のこと。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『七十二候新撰


名花画帖 立春

立春一候 金盞貼地 ふくじゆさう
立春二候 銀眼遍条 かはやなぎ
立春三候 早梅馥郁 うめ

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『七十二侯名花画帖 上


印存 立春

東風解凍 渡邊沙■(■は區+鳥)
蟄蟲始振 釋宗活
魚上氷 竹内久遠

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『七十二候印存



参考:『日用便覧』『書翰文精義 上巻 訂3版』『古事類苑 第2冊』『広辞林 新訂版』『神通発秘:究天極地』『天文運機術:一名・天地人三道極意(四時気候)』『日本区分農事暦:一名農家年中行事』『万暦三世相:永代雑書』『気候案内記』(国立国会図書館デジタルコレクション)

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