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水の空の物語 第4章 春ヶ原と精霊たちの心

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理想の世界のようだった春ヶ原。 そんな春ヶ原にも影があることを、風花と夏澄たちは知ります。
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#少年

水の空の物語 第4章 第1話

第四章  春ヶ原と精霊たちの心  真っ暗な自室で、風花は正座をしていた。  目を閉じて、…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第2話

 あの日から今日まで、飛雨は尽力してくれている。  わざわざ、風花の家に通ってくれる。 …

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第3話

「夏澄は時間がある限り、春ヶ原を見護っているよ。今日は二時間くらいだったかな」 「なにか…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第10話

「あー、すっきりした。ありがとうね。香夜乃、ひろあ」  上履きから靴に履き替え、風花は両…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第12話

 空はよく晴れていた。  まぶしいくらいにきれいな青だ。  ひろあたちと別れた風花は、い…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第13話

 夏澄と逢うのは一週間振りだった。  久しぶりに見る夏澄はまぶしくて、風花は目を細める。…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第16話

「水蒸気の粒はすごく小さいから、光っていても見えないの。でも、絶対光ってるはずなの」 「……だとしたら、雲は光であふれているね。見えたら、どんなにいいだろうね」 「青い空がね、水蒸気の粒で輝いて、海みたいにまぶしい空になるね」  きっと、夏澄くんみたいに……。  風花はずっと、空を見つめていた。夏澄も同じだった。  光を秘めているはずの雲が、風に乗っていく。薄く薄く流れていく。 やがて、オレンジ色の夕日が差してきた。 「ねえ、夏澄くん。巻層雲の次の日は、よく雨が降

水の空の物語 第4章 第17話

 じっと空を見上げていた夏澄が、ふいにぴくりと身じろぎした。  かすかに眉根を寄せ、東南…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第18話

 夕食を終えた風花は、自分の部屋に駆け込んだ。  滑り込むように、床の上にすわる。 ぎゅ…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第20話

 風花は庭の一番奥の、胡桃の木のところまで、飛雨の背中を押した。 「玄関から来るなんて、…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第21話

 わたし、なにやっているんだろ……。  図書館でぼんやり本を眺めながら、風花は鬱々として…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第23話

 風花はそっと、自宅の玄関のドアを開けた。  左にある防音室に、灯りがついている。  覗…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第26話

 飛雨は、風花の服の襟を掴んで、締めあげた。 「夏澄が怪我でもしたら、どうすんだ?」  …

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第28話

 家に電話をし、風花はすぐに帰ると告げる。  自転車のハンドルに手をかけた。 『じゃあ、行こう、風花』 『見えなくても、近くにいるから、安心していいわよ』  夏澄とスーフィアの声が頭の中に響く。  姿が見えなくて実感がないのに、なぜかうれしくなってきた。  初めての体験だからだろうか。わくわくする。 「疲れているのにありがとう。夏澄くん、スーフィアさん」  夏澄たちは姿を消しているが、風花はつい彼らを探してしまう。  そうしているうちに、ふしぎな気持ちになってい